2020.08.28
【vol.07】人生初の着物を仕立てる/中編〜仮縫調整・小物選び〜
目指すは健さん!? 着丈から履物の選びまで「着物のカッコ良さ」とは?
いい大人になってお付き合いの幅も広がると、意外と和の素養が試される機会が多くなるものです。モテる男には和のたしなみも大切だと、最近ひしひし感じることが多いという小誌・石井編集長(46歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載です。
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写真/トヨダリョウ 文/井上真規子
▶人生初の和服を仕立てる前編はこちら
着物&羽織の仮縫が完成! いざ、試着
石井「この状態になると、反物の時と雰囲気が変わってさらにイイ感じ。ワクワクしてきました!!」
田中「普通の呉服屋じゃ仮縫いってないんですよ。もとじさんがすごいのは、それをきちんとやってくれるところ。他は採寸したら仕上がりを待つだけだからね」
啓太「おそらく、うちだけかもしれないです。でも、特に男性は対丈(※ついたけ)で着ますし、左右の筋肉のつき方が違ったり、肩や背中、お腹の盛り上がり方に差があったりなど、体格差が激しいので、仮縫は必要だと考えています。それに、生地の垂れ感などもそれぞれ違うので、考慮に入れて仕上げています」
というわけで石井編集長、早速仮縫いした着物を羽織ってみると……。
啓太「素敵ですね!とてもお似合いです」
田中「生地選びが正解だったね! とてもいいと思います」
啓太「それでは、着丈を確認していきます」
石井「着丈はどうするのがいいのでしょう?」
田中「着物は少し短か目にすると、裾さばきがよくなって歩きやすくなるし、粋な感じもでてくるよ」
田中「着丈はとにかく、上がれば上がるほど粋な感じになる。あとは好みです。僕は着流しを学びたくて、高倉健さんの着物をチェックするために『昭和残俠伝』を見たよ(笑)。腰下は逆三角形だし、前もかなりはだけてて(笑)、とにかくカッコいいからお手本にしてます」
啓太「高倉健さんは確かに、前巾を極端に狭くし、丈を短くされていて粋ですよね。参考になると思います。あと、羽織も丈の長さでも印象が変わってきます。通常は膝より少し下ぐらいですが、あまり長いと椅子に座る時とか邪魔になるので、多少短めでもいいと思います。短いと粋な雰囲気になりますよ」
田中「羽織も僕は短めが好きです。あとは、石井スタイルを確立していくべし!」
石井「いや、もう全部粋なほうで!(笑) 確かに羽織も短い方が軽快でいいっすね」
【ポイント】
■衿先の出方は適度に
■着物の着丈は、短めだと粋になる
■羽織の丈も軽快に少し短めで
小物選びがモテを制す! 帯と羽織紐、履物を選ぶ
田中「1本目はシンプルなのがいいでしょう。それから段々、華やかなものやカジュアルなものを増やしていけばいいから」
石井「に、人間国宝? これが欲しい!」
田中「いいね〜! お値段は……54万円だって!!」
田中「じゃあ石井さん、人間国宝の帯は3本目を買う時ね(笑)」
啓太「またのご購入、お待ちしてます(笑)。それから羽織紐(はおりひも/羽織の胸元が開かないように結んで留める紐)はこちらです。右からフォーマル→カジュアルの順に並べています」
啓太「これは昔、侍が太刀につけていた兵庫鎖のデザインを再現したものです。玉付きの無双タイプなども、カジュアルになります。一番右の白い羽織紐は、最もフォーマルで礼装の黒紋付につけます」
田中「初めての仕立てだし、オーソドックスに結びで房ありのものがいいんじゃない? 自分で都度手結びする羽織紐がやっぱりカッコいいよね。色味は、着物か羽織の色を拾うとまとまりやすいよ」
啓太「そうですね! それから羽織紐は、羽織の小さい輪(乳)に直接つける直付けタイプ、金具で引っ掛ける鐶付け(かんつけ)タイプがあります。直付けの方が粋な感じになりますね」
田中「乳の高さは、若干低めの方がいいですよね?」
石井「じゃあ、ちょい下で、ちょい不良(ワル)な感じにお願いします!(笑)」
啓太「了解です!(笑)」
田中「粋を目指すなら、畳表の雪駄だよね〜。かかとが出るほど粋だからサイズは小さめ、私は鼻緒も細くしてます。裏には金具を打ち付けて、歩くとチャラ音が鳴るようにしてる(笑)。でも薄くて硬いから、歩きづらくて鼻緒擦れが日常茶飯事!」
啓太「めちゃくちゃ粋ですね〜。でも、これは慣れないと無理です(笑)」
田中「粋はやせ我慢だからね(笑)。あと、畳表は雨に濡れたら終わりだから」
石井「確かにカッコいい。でも、あんまり我慢したくない……(笑)」
啓太「いきなりそこまでやると、着物嫌いになっちゃう人もいますからね(笑)。草履は、台からオーダーで製作もできますし、初めは履き心地重視でいきましょう!」
石井「レザーの袋がカッコいい!」
【ポイント】
■角帯の1本目は、オールマイティに使えて着物に溶け込むシックなものを
■羽織紐は直付け、が粋
■履物は少し小さめが粋。初めての人は履き心地の良い草履を選ぶべし
■粋の究極は、鼻緒が細めの小さめ雪駄で
長襦袢と肌着を選ぶ。着心地重視で
啓太「あと、扱いやすさを重視するなら、単衣なので腰までの半襦袢でも十分ですね。こちらは胴の部分が白のサラシで、袖は紺のポリエステルになっています。5000円とお手頃で、洗濯もできるのでかなり楽ですよ」
田中「肌着は、Tシャツタイプもあるんだよね」
田中「ちなみに私は今日、肌着に、白の鯉口シャツ(こいくちシャツ/主にお祭りに使用される和装肌着)を着てる! 高倉健が着物を脱いで、鯉口一枚になって殴り込みに行くんだよ! それ見て探したの(笑)」
石井「うわっ! お祭りとかに着るやつだ。任侠感バチバチ!(笑) 欲しい!」
啓太「お〜、カッコいいですね〜! 鯉口って柄も色々ありますしね」
石井「そんなことしてたら、田中さん最終的に和彫入れちゃうんじゃないですか(笑)」
一同爆笑
啓太「では編集長、次回は仕立てが完成しますのでお楽しみに!」
田中「石井さん、いよいよだね! 一式揃ったら自分で着られるようにならなくちゃね。啓太さんに着付けも習ったら?」
石井「それはぜひ、教えていただきたいです! 健さんばりの粋でちょい不良(ワル)な着こなしをお願いします!」
啓太「了解しました!(笑)。では次回は父も一緒に、ちょい不良(ワル)な着物のこなしを伝授いたします!!」
田中康嗣
「和塾」代表理事。大手広告代理店のコピーライターとして、数々の広告やブランディングに携わった後、和の魅力に目覚め、2004年にNPO法人「和塾」を設立。日本の伝統文化や芸術の発展的継承に寄与する様々な事業を行う。
和塾
豊穣で洗練された日本文化の中から、選りすぐりの最高峰の和文化体験を提供するのが和塾です。人間国宝など最高峰の講師陣を迎えた多様なお稽古を開催、また京都での国宝見学や四国での歌舞伎観劇などの塾生ツアー等、様々な催事を会員限定で実施しています。和塾でのブランド体験は、いかなるジャンルであれ、その位置づけは、常に「正統・本流・本格・本物」であり、そのレベルは、「高級で特別で一流」の存在。常に貴重で他に類のない得難い体験を提供します。
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銀座もとじ
1979年創業。銀座に染と織の女性の着物専門店「銀座もとじ和織・和染・ぎゃらりー泉」と、日本発の男性の着物専門店「銀座もとじ 男のきもの」を構え、フォーマルからカジュアルまで、全国の作家・産地とともに現代の街並みに合う装いを提案。世界初の純国産・オスだけの蚕品種「プラチナボーイ」の絹糸による一本の糸からこだわったものづくりも行っている。
■「銀座もとじ 男のきもの」
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