2020.08.15
【第27回】
永野芽郁似のウェブデザイナー「なぜ私はおじさんが好きなのか」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真・構成/木村千鶴
テーマは今どき美女たちの“悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第27回のゲストは、ウェブデザイナーの芽郁さん(28歳)です。
私はやりたくてしていただけですから
「はい、私人見知りなのでうまく話せるか心配です。大丈夫かな」
── お任せください。ここでは僕がひらめいた芸能人の名前でお呼びすることになってるんですけど(笑)。え〜っと、永野芽郁さんに似てる感じがするので、今日は芽郁さんでいきましょう。
「本当ですか(笑)。なんか照れくさいけど、よろしくお願いします」
── はい。早速ですが、芽郁さんはいつ頃からモテ始めましたか?
「う~ん、私、同世代には全然モテないんです。大学に入るまで恋愛経験もなかったし。でもおじさんにはモテてました(笑)」
── その感じは何となくわかります(笑)。だけど、おじさんとはどこで出会うんですか?
「以前、出版業界や音楽関係の人が集まる、渋谷界隈の飲み屋でアルバイトをしてたので、そこに来ていた人たちですね」
── なるほど。業界のおじさんが集まる店だ。それは仲良くなりますよね。芽郁さんのお仕事は夜がメイン?
「今はウェブデザイナーの仕事専業ですが、当時はデザイナーの仕事と並行しながらですね。駆け出しだったので」
── そうか、そうするとお店にはいろんな人が集まるし、友達にもなれるし。
「はい、出版系の人に紹介してもらって、仕事をもらえることもあるし。ただ、それで公私混同になってちょっと後悔している部分もありますけど」
「仕事関係の人とそういう関係になっちゃったり(笑)。その後、仕事相手になるパターンもあって、なんか全部混ざっちゃったんで」
── あらら(笑)。でも枕営業したってわけではないですもんね。
「そういう認識ではないですね。私はやりたくてしていただけですから(笑)」
── ワハハ。でも、男性からすると、した以上は仕事回したほうがいいな〜って気持ちはあるでしょうね。僕だったらそうだな。
「向こうにはそういう忖度があったかもしれませんけど、こちらとしては性への興味がわ〜っと湧いた時と、仕事を増やしたい次期が重なっちゃっただけなので。今はそれをクリーンにする作業をしています(笑)」
── クリーンにですか!
「はい。体の関係のない人だけと仕事ができる環境づくりですね(笑)」
── あ~、大事かもしれませんね。
「それがあまりないんですよね。お付き合いした人はみんな優しくていい人で。逆に私が最低って思われてるかもしれないというのはあります。浮気とかして(笑)」
── え?っと、その優しくていいおじさんに対して浮気しちゃう、と。
「しちゃってましたね」
── そうですかー。おじさんちょっとかわいそう。最低と思われてるってことはバレたんですよね?
「はい、身なりに気を使い出したりとか、ちょっと席を離れる時に携帯持って行くとか、よくあるやつです(笑)。で疑われるとうまいこと言えなくて、ごめんって」
── 浮気って、相手に求められるのが楽しいんでしょうか。それとも好きになっちゃうのかな。
「楽しいからですかね〜。今思えば、なんか悪いことしたなって思ってます」
おじさんは枯れ草みたいないい香りがします
「え!おじさんは臭くないですよ!」
── いやいや、臭いですよ〜(笑)。おじさんの匂いってするじゃないですか。
「私はあまり臭いって思ったことありません。若い人の方が臭くないですか? 皮脂とか分泌されてるから」
── あ〜そういう臭さ?
「はい、おじさんは枯れた香り? 枯れ草みたいな。そういうのは臭くないんです」
── ……えっと(笑)。芽郁さんはいつからおじさんが好きなんですか。
「ん〜、物心ついた時から」
── 本当ですか(笑)。それ、 変わってるって言われませんでした?
「表には出してこなかったから。大学でも2、3コ上の先輩と普通に付き合ってたし。卒業して飲み屋でバイトして、いろんなおじさんを見るようになってから開花しました」
──そうなんだぁ……。もう一回聞きますが、おじさんってどんなところがいいんですか。
「私、自己肯定感が低いのか、おじさんだと素が出せるんですね。安心できる。同じ歳だと緊張しちゃうんです」
「そう。若いってだけで認められて、なんか喜んでくれるじゃないですか。それで満たされるんです」
── な〜るほど〜! そしたら、おじさんとしては、デートとか食事にはどんなところに誘えば良いのかな。
「1回目のデートは普通の焼肉屋さんとか。特に気を張らないで良い感じの」
── おじさん的なお店で(笑)。
「そういうおじさんっぽさ含めて好きなんです」
──自然派ワインを出すお洒落ななんとかバルじゃなくて。
「良いんです。若い子だからこういうの好きでしょ、みたいな感じで来られると、いや~そういうんじゃないんだ、それ求めてないんだわって思っちゃう」
── やっぱりそうなんだ(笑)。おじさん的世界が好きなんですね。
「そういう世界を教えてもらえるのがうれしい。『このお酒がどうのこうの』みたいな。元々感覚が近いんです。私、温泉とかも好きだし」
── 需要と供給が合ったんだ。だからお互いに無理しないでやっていけるわけか〜。
共通の話題なんて結局アレしかありませんよ(笑)
「どうやって知り合ったかにもよりますけど、最終的には下ネタに落ち着きます。共通の話題なんて結局それしかありませんよ(笑)」
── えええ〜〜!
「性の目醒めは何だったかとかそういうエピソードを聞くのが好きなんです。お互いに言い合って」
── あ〜、初めて借りたAVビデオとか、童貞を捨てた時の話とか。確かに面白いし、アレは盛り上がります(笑)。でもそういう話が嫌いって人もいっぱいいますよね。
「私は手っ取り早くそういう話になって欲しいって思っていました。前置きはいらないって。そういう話って会話のストレスがないんですよね。仲良くなるのに手っ取り早いじゃないですか」
── そうか、打ち解けた感じになるし。でも下ネタとか話していると相手もギラギラしてきそうですが(笑)。
「それ“込み”で楽しいんです」
── それがいいのか! するとそのままそういうことになったりもして?
「ときには(笑)」
「私、尽くされるのがあまり好きじゃなくて……どちらかといえば自分が気持ち良くなりたいって思ってる人とするのが好きなんです」
──それもちょっと変わってますね(笑)。何で?
「気持ち良くなってる相手の顔を見るのが好きなんですよ。一生懸命になってる、おじさんの必死な感じを見たいというか」
── それ初めて聞いた(笑)。じゃあセックスがうまいとかでジャッジする気持ちは持ってないんだ。
「そうですね、相手が本当に楽しんでるかどうかがグッと来るポイントです」
── へ〜! 男性目線に近いというか、そういう女性もいるんですね。
自分の女側だけを使って遊んでる感じが良かったんです
「やらないです。いや一回だけやってみて、同世代の子と試しに会ったんですけど、これがもうつまんなくて! やりたい感じも出さずにただお酒を飲んで、しょうもない話をして、時間の無駄だな〜って思っちゃいました」
── 具体的にはどんな話を?
「どんなお仕事されてるんですか〜、休日何してるんですか〜って感じの。駅で待ち合わせたけど行く店も決まってないし、何となく入ったお店もしょうもなくって。私よりも先に酔っ払っちゃってそれ以上の展開もなく、本当にしょうもな〜い感じで終わりました」
── 男子たち、その辺頑張って! しかし、そうか、おじさんの方が楽しいんですね、いろんな経験もしてるし。良いお店を知ってるとかも重要ですか。
「はい、それにも惹かれます。仮にデートした人がつまんなくても、新しいお店を一つ知れるというメリットがありますからね。特に進展しなくても時間を無駄にしたとは思わないじゃないですか」
── そうか〜、まとめると、知識や経験があって、リラックスできるところがおじさんの良いところ、と。えっと、丁寧に扱ってくれる感じはありますか。
「そうですね、褒めてくれる感じの人が多いし。私に興味があって、いっぱい質問してくれるといいですね。興味がない時にはわかっちゃうから」
「飲んでる時に軽くイチャイチャがあって、2軒目に行って、大体そんな感じなんですけど。ん〜、どうやってラブホテルに行ってるんだろう。酔っ払ってるからな〜、もしかしたら私がグイグイいってるのかもしれない(笑)」
── ワハハ。そうか〜! 2軒目で酔っ払っちゃってたら自分が「もうやりたい!」ってなっちゃって。
「その時にはそうなってることが多いです。でもそこまできて、そういう気持ちになってなかったら帰りますからね」
── ないこともありました?
「そうですね、気持ちが盛り上がんないなってことはありました。嫌々では行かないですから」
── 会話が盛り上がらないから?
「相手が私にハマってないのが分かるとつまらなくなる。興味あるぞって嘘でもちゃんと見せて欲しい。セックスしたければそこまでちゃんと伝えるのが礼儀じゃないかなって思いますね」
── なるほど〜! 雰囲気やノリだけではできないよ、そんなに私は軽くないんだってことですね。セフレって結構いたんですか。
「そうですね、その頃は」
「こちらが遊びたいだけだった時に好きって言われると困るんです。そういう関係だけだったら、私自身にまで迫ってこなくていいんですよね」
── その場での口説き文句の方がいいんだ。
「あまりこう、私自身に踏み込ませないで、自分の“女側”を使って遊んでる感じが良かった、楽しかったんです。1年間くらい大売り出しでセールしてる時期がありましたね」
──20代前半にバーっと遊んだ時期がある方が、年齢を重ねてから危険な恋に夢中になったりしにくいっていう人もいます。
「そうかもしれませんね、今はまったくそういう気持ちにならないです」
── やっぱり必要なんですかね。
「私にとっては必要なことでした。学生時代を悶々として過ごしたので、そのまま行ってたら相当拗らせてただろうなって思います」
── その時モテて、自分の女側を評価してくれる人がたくさんいたことによって、自己肯定感が上がるんですか。
「自己肯定感が上がったわけではないですけど、“あれだけ遊んだからもういいでしょ”って、自分に対しての納得感があります」
── へえ〜そういうことなんですね。今日も面白かった〜。ありがとうございました。
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。最新刊「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」(旭屋出版)は、林さんが「このお店はすごい! 」と感じた飲食店のオーナーに自らインタビュー取材。繁盛店の秘密に迫ったドラマティックなビジネス書です。