2021.02.06
VOL.11「脱力感のある太さの『フレンチ・チノ』M-52」
今や大人気のフレンチ・チノ。あえてレアな平織に注目する理由とは?
常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。
- CREDIT :
写真/鈴木泰之(Studio Log) 文/田中知之(FPM) イラスト/林田秀一
■ Theme11「脱力感のある太さの『フレンチ・チノ』M-52」
これはミリタリーアイテムの常だが、フレンチ・チノにも、生産時期や納入業社によってさまざまなディテール違いが存在する。後ろポケットのボタンをループで留めるタイプとフラップになっているもので、大まかに前期と後期とに分類するようだが、私はスタイル的にはフラップが付いている後期のものが好みで、今回紹介するのもすべてそのタイプのものだ。
もともとしっかりと肉厚の生地が使用され、パーンと風船のようにふくよかなシルエットを作り出すのが特徴なのだが、最後期の平織のものはさらに張りとコシがあり、洗濯を繰り返しても生地のヘタりが少ない。しかし、現存数は圧倒的に少ないように思う。
だが、この平織のフレンチ・チノがレアで優れている話はまだあまり認識されておらず、ときどき綾織のものより安価で売られていることもあるから、本音を言えばこの情報は明かしたくなかった。
フランスの衣料メーカーのタグと軍物を示す白いタグの両方が付随していることから、サンプルとして製作されたものだと想像する。もちろん正式な採用にはいたらなかったものだ。ドヤ顔でこの原稿を書き終える私を許してほしい。
存在感のあるシルエットが魅力的だ
田中知之(FPM)
1966年京都生まれ。音楽プロデューサーでありDJ。それでいてクルマも時計も大好物。ヴィンテージにも精通し、服、家具問わずコレクターであり、食への造詣も深い。
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