日本とは違い、マンハッタンのあちこちで無料のPCR検査が受けられるということもあり、日本よりも感染しているかどうかをすぐに確認しやすい環境であるということは確かではあります。
アメリカ人たちはPCR検査慣れをしていて、クリスマス休暇で田舎に帰ろうという人が帰省前にPCR検査を受けて「陰性」を家族に証明してから帰省、なんてことも多いのです。
第一波の訪れた春からニューヨークを離れた人は45万人以上と言われていますが、こうした状況もあって、ニューヨークで冬を越さない選択をする人たちが急増しています。
アメリカ人はサイドビジネスやパラレルキャリアが当たり前という社会。自由な働き方をしている人が多いので、荷物をまとめて好きな場所から仕事をしようという「ワーケーション」を実践している人も多いんです。
デジタルノマドビザの取得で好きな国に移動して働く
デジタルノマドとはデジタル機器とインターネット環境があれば、場所と時間にとらわれずに仕事ができるという、新しい働きかたを言います。
カリブ海ではバミューダ、バルバドス、ケイマン、コスタリカなどが導入しています。例えばバルバドスは最低年収5万ドルの証明、バルバドスの外に拠点を置く会社でのリモートをしている、48時間以内にCOVIDテストを受けているなどの条件をクリアしていれば1年間のデジタルノマドビザが発給されます(ビザの申請料金は2000ドル)。
ケイマンは最低年収10万ドルの証明で2年間のデジタルノマドビザ発給、というように各国ともにビザの期間や最低収入の規定など細かく制限があります。中東ではドバイでもスタート。ヨーロッパではエストニアが世界でも最初にデジタルノマドビザの導入を決めたと言われており、6月にビザの開始をアナウンスしました
従来の就労ビザは、エストニアの企業で働く雇用者へ向けたものや、起業家、日本など国外の企業で働く駐在員などに向けて発給されているものでした。しかしデジタルノマドビザは、国外の雇用主との雇用関係があるか事業活動をおこなっていて、それがリモートワークで遂行できるということであれば、最大1年間にわたってエストニアへの長期滞在が許されるのだそうです。
この他ヨーロッパではジョージア、クロアチア、チェコがデジタルノマドに門戸を開いています。2021年からはギリシャも新規でデジタルノマドビザの発給を開始するそう。国によっては滞在したい期間によってビザなしで滞在できる場所もあるので、一概にデジタルノマドビザを取得しなければいけないということではなさそうです。
リモートワークが可能なかたは日本との時差が問題なければ……ぜひトライしてみてください!
実際ワーケーションってどうなのか、経験者に聞いてみた
■ Case A エランさん
10月からプエルトリコのアグアディヤ在住です。
── 出身とプエルトリコに行く前の滞在先は?
カリフォルニアのアーバイン出身です。プエルトリコの前はブルックリンに住んでいました。その後、ユタ州やワイオミング州、モンタナ州をロードトリップしていました。
── なぜワーケーションをはじめましたか?
プエルトリコは一年中気候も良く、探索するところもたくさんあるので! プエルトリコとニューヨークは時差がそれほどないので、リモートが可能な私の仕事には問題ない場所。朝、サーフィンをする余裕があるほどです。プエルトリコはアメリカの領土なのでビザを取る必要はありません。リモートが続く限り住もうと思っています!
目の前が海なので、ローカルなスポットでサーフィンをします。自然も豊かなので休みの日はハイキングをするのも楽しみのひとつです。
── ワーケーションをする利点は?
リモートになったことで仕事以外の時間を最大限に活用できるようになりました。毎朝数時間、仕事の前にサーフィンをするのですが、仕事でストレスが溜まっても、翌朝が楽しみなのでリセットできます。また、新たな場所で暮らすことで新しい場所の文化や習慣を知ることができます。そうした習慣を教えてくれる地元の人がいるのがラッキーです。
リモートによって人との繋がり、チームとの繋がりなどのコミュニケーションを今まで以上に取るように意識しないといけないと感じています。
■ Case B キムさん
ホリデーシーズンを前に地元のトロントに戻ってきました。
── トロントに戻ってくる前の滞在先は?
ここに帰ってくる前はエアポートハブなのでニューヨークに滞在していて、その前はバミューダに住んでいました。
── なぜワーケーションをはじめましたか?
リモートワークが可能なので、仕事をしながらより多くの都市を訪れたいと思うようになりました。バミューダは就労ビザを取得しましたが、ニューヨーク滞在はビザがいらない期間にしました。今後もアメリカには一定期間滞在する予定です。
── 滞在先での過ごしかたは?
バミューダは海を眺めながら映画を見てリラックスいました。ニューヨークでは友人宅を訪れたり、レストランやバーを探索しました。
そこでの食事や住んでいる人々など、各都市のさまざまな魅力を発見することができることです。
── 今後もワーケーションを続けますか?
次はヨーロッパに滞在したいなと考えています。ポルトガルのリスボンがいいかなと計画を立てています!
みなさんフットワーク軽く世界を飛び回りながら仕事をしています。私もニューヨークの寒さから逃れてカリブ海行きを企画したいものです!
● 菅 礼子
LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、ニューヨークでクリエイティブエージェンシーのAYDEAを主催(www.aydea.co)。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。