2020.12.08
銀座の高級クラブのママさんに聞く、いまどき銀座の常識、非常識
数ある銀座のクラブでも一流店はごくわずか。そんな指折りのお店の有名ママさんに、いまの銀座事情から"ココだけ"のハナシまで聞いちゃいました。
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取材・文/東山 始 写真/金田 亮
聞けば、昨今少しずつクラブ事情も変わりつつあるのだとか。そんな気になる最新事情を、銀座の超一流クラブのママさんに伺いました。
今回は銀座で働いて数十年。現在、超一流クラブを取り仕切る大物ママのAさんに、お話を伺いました。Aママに指定された我々は、彼女の行きつけである帝国ホテルのラウンジで待ち合わせ。ドキドキするなか、華やかなAママ(以下ママ)が現われました。
銀座広しといえど、一流と呼べるクラブって実は数店なんです
ママ 「クラブは社交の場なんですよ。特に銀座の一流店は、ご紹介じゃないと入れないから、普段は会えないような方がいらっしゃる場所といいますか。
政財界から芸能人、文化人もいらっしゃいますね。お客様の年齢層は30代から70代と実は幅広いんです。本当にお客様は大物が多いから、今人気の若い俳優さんやタレントさんくらいだと店内にいても霞んじゃうくらいです」
ママ 「今、銀座でAランクというのはほんの数店です。私が勤めるピロポをはじめ、Club麻衣子、サードフロア、ファーストクラブあたりでしょうか。一流店の基準はどれだけいいお客様を持っているか。一流企業や一流の人々が銀座を支えていると言ってもいいんじゃないでしょうか」
銀座広しといえど、一流と呼べるクラブが数店とは! 一流クラブとは本当に厳選された存在といえそうですね。
最高の接客を望むならラウンジではなくクラブです
LEON.JP 「本人はクラブで遊んでいるつもりが、プロから見ると『それはラウンジ』ってこともあるようですね。クラブとラウンジとの違いってどこにあるんでしょうか?」
ママ 「ラウンジはスナックとクラブの中間的なお店。普通、クラブって指名制じゃないんです。そこもラウンジとの大きな違いですね。クラブは永久指名制だから、初来店のときに決めた人がずっと担当させていただきます。
と言っても、1年や2年と顔を見せなかったお客様は、再来店のときに担当が変わることもありますね。あとはラウンジとは接客の質も違います。うちでは私の目に適った女の子しか使わないことにしています。新聞を読まないとか、教養がない子は絶対ダメ。近頃は総理大臣の名前を知らない子がいてビックリしちゃうこともありますから」
素人っぽい接客がお好みならラウンジでもいいのかもしれませんが、最高の接客を味わってこその銀座。クラブのよさを知ってしまうと、もう後戻りはできないかも。
デキる大人はなぜ接待でクラブを使うのか?
LEON.JP 「クラブに接待で訪れる人は多いと思いますが」
ママ 「お客様の来店目的を早く見抜くことが私たちには重要です。それに応じて対応も変わりますから。女の子にはお礼のメールや、ご挨拶の仕方は接客するうえでとても大事と常に言っています。
接客の質がクラブとラウンジでは違うと言いましたが、女性は容姿だけじゃありません。賢さが重要。ただ口説かれているだけという子は会話のセンスがないから。昔から人気のある子は頭が良くてお話上手で、努力を惜しまないんです。」
なるほど。確かに機転の利く女性をブレーンにつけているとなれば、商談もうまくいくに違いありません。ただ、はいはいと返事をしているだけでなく、相手の気分も自由自在に操れるスマートな女性がいてくれれば、百人力といったところ。どうしても勝ち取りたい商談があれば、クラブの最高のもてなしで、商談相手を味方につけるのは策士のテクニック。
また、Aママによればそれ以外にも社交の場ならではの利点もあるのだとか。
ママ 「一流企業の方から『○×会社の△□さんに一度会いたいんだけど』。なんて相談もよく受けます。そういう場合、もちろん信頼できる人同士であることが条件ですが、間を取り持って一席設けるお手伝いをするのもママの仕事です。申し込まれたほうも『ママの頼みならいいよ』って引き受けてくれますしね」
一流企業が銀座を支えているというのも納得ですね。デキるビジネスパーソンは、クラブが社交の場であることを理解して、自分のビジネスツールのように使いこなしているわけです。
リーマンショックと3.11が銀座を変えた?!
ママ 「まず大きく変わったのがリーマンショック。そこで大きく落ち込んで、次に3.11でさらにビジネスが上手くいかなくなって廃業したお店が多くいらっしゃいました。
3000軒あったと言われる銀座の夜のお店も3.11以降で1500軒になったと言われているんです。そこでお客さんの質も随分変わったように思います。景気が悪くても以前と変わらずいらっしゃる方も多数いらっしゃいますが、派手さはなくなりましたね。
やはり、銀座のクラブの客層は時代を映す鏡ですね。最近、首都圏は高級マンションが高騰していますし、スマホの普及もあってか、ゲーム業界も話題に上ることが増えていますよね。
ママ 「最近は飲み方も少し変化が見られますね。気に入った女の子の誕生日に800万円のシャンパンタワーを注文する方もいらっしゃる。シャンパンタワーなんて昔の高級クラブのサービスにはなかったけれど、まあ、ありがたいお客様なんですが(笑)」
LEON.JP 「昔はツケで、一年に一度まとめて払うなんて大物もいたそうですが、お支払い事情に変化は?」
ママ 「リーマンショック以降、ツケを払っていただけないお客様が増えたこともあって、いまはカードか現金払いが主流です。あの頃は経費削減やら、ツケの取りのがしやら、大変だったんですよ(笑)。今も2~3割くらいの会社はツケだけど、これは一部に限ってのお話ですね」
昔と今では実はドレスコードが変化している?
ママ 「飲み方を見れば身なりなんて見なくても、1流、2流、3流かはすぐわかるものです。ただ1流の方は服装はキチンとしていらっしゃいますが。それは今も昔も一緒。
一流クラブは一見さんお断りですから、たとえ服装がカジュアルであっても、おかしな人は入店していないはず。と思えば、ほかのお客様も他人のかっこうを、さほど気にしていないのかもしれません。
しかし、周囲への配慮もありましょうから、カジュアルすぎる場合は、ママへの相談を入れて置くのが大人の気配りというものでしょう。
今のホステスにあって昔のホステスにないものとは?
ママ 「この20年くらいで一番変わったと思うのは、女の子の服装がチープになってきたことでしょうか。もちろん私の店はそんなことはありませんが、ほかの店はそう見える時が多々あります。
そういえば、夜のお仕事をしていた女性のTV局入社がニュースになったこともありましたね。無論、昔と変わらぬ強い目的意識を持つ女性は、ちゃんといるそうなので、若いうちには難しい人脈づくりを一流クラブで叶えるというのも、高学歴女子の一つの戦術かもしれませんね。
● Aママ
銀座で働き、数十年。現在は銀座の超一流老舗クラブのママを務める。ご本人も一流企業の社長や重役、政治家をはじめ、トップレベルの医師、弁護士、芸能人、学園経営者など、あらゆる業界に太い人脈を持つ超一流ママである。
Aママが勤めているお店
■ 銀座 会員制高級クラブ ピロポ
お問い合わせ/☎︎03-3572-6971
URL/http://piropo.co.jp/
銀座のクラブは時代が過ぎようとも銀座のクラブ
このほか、書くに書けない裏事情なども多々飛び出しましたが、そこはご容赦を。貴方も一流クラブに通ってみると、もしかすると意外な裏話を聞くことが出来るかもしれませんよ。