2017.09.19
LEON.JP新人女子編集が「秘書検定」に挑戦して分かった、秘書のお仕事
秘書には、その仕事の質を測る「秘書検定」なるものがあるのをご存知ですか? LEON.JP新人女子編集が挑戦してみました!
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写真/亀和田良弘 文/LEON.JP 協力/「こちら秘書室」powerd by ぐるなび
そもそも秘書とは、仕事・プライベートとあらゆる面で上司を手助けする、いわばサポートのプロフェッショナル。そんな彼女(彼)らには、その仕事の質を測る「秘書検定」なる資格試験があります。
(1) 上司の身の回りの世話や仕事の手助けを適切に実行するための感覚・判断力といった" 必要とされる資質"
(2) 上司の留守をどのように預かるか、上司の仕事をどのように手伝うかなど、秘書特有の"職務知識"
(3) 上司の仕事を手助けするために知っておくべき"一般知識"
(4) 目上の人への接し方、言葉遣い、来客へのお茶出し、弔事・慶事などの"マナー・接遇"
(5) ビジネスの場で必要な文書、ファイリング、事務用品、会議などについての初歩的な知識・用語。またオフィスの環境整備について常識を問う"技能"
この5項目を「理論」と「実技」に振り分けて、それぞれ60%以上の得点で合格となります。

そこで今回は、「こちら秘書室」さんとのコラボ特集ということで、秘書の日常業務にはどんな希望が求められるのか、LEON.jpの新人女子編集が「秘書検定」に実際に挑戦してみました! 試したのは最も受験者の多い2級。選択問題が31問、記述問題が12問あります。
秘書検定の内容やいかに?
Q:秘書A子は上司から頼まれて、「秘」の印が押してある文書を他部署に届けに行くことがある。次はこのような場合にA子が行ったことである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
1)他部署に行く前に内線番号で、これから行くと伝えてから届けた。
2)相手が外出中だったとき、いつ戻るかを周囲の人に尋ねて出直した。
3)封筒に入れて持っていき、上司から頼まれたことを伝え、「文書受渡簿」に受領印を押してもらった。
4)相手は不在だったが秘書がいたとき、封筒に入れた秘文書を渡し、「文書受渡簿」に受領印を押してもらった。
5)相手が離席中だったとき、「秘文書を届けにきた。戻ったら連絡をもらいたい」と書いたメモを机の上に置いてきた。
Q:秘書A子は上司に指示されて作成した会議の資料を、昨日他の書類と一緒に上司に渡した。ところが上司は今日になって「頼んでおいた資料はできたか」と言う。このような場合、A子は上司にどのように言うのが良いか。次の中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
1)昨日渡したと思うが、もう一度印刷して渡そうかと言う。
2)昨日渡したので、手元の書類をもう一度確かめてもらえないかと言う。
3)一緒に渡した書類を伝えて、それに紛れていないか確かめてもらいたいと言う。
4)昨日渡したとき他の書類と一緒だったので、よければ自分が探してみようかと言う。
5)昨日渡したときのことを話して、そのときどこにしまったかを思い出せないかと言う。
Q:次は上書きの言葉と、それが使われるときの組み合わせである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。
1)御玉串料 = 神式の葬儀に現金を包むとき。
2)祈御全快 = 入院した人に見舞いを送るとき。
3)謹呈 = 自分の著書などを差し上げるとき。
4)御布施 = 仏式の葬儀の香典返しをするとき。
5)お花料 = キリスト教式の葬儀に現金を包むとき。
などなど、秘書の実際の業務に関わるものだけでなく、マナー知識を問うものまで。

1問目の理由は、
秘文書とは、文書の存在そのものが関係者以外に知られてはいけないものなので、相手が不在で持ち帰ったとしても、秘文書を届けに来たなどと書いたメモを机の上においてくるのは不適当だから。
会社の上層部の間で交わされる秘文書を預かるというのも秘書ならではの仕事ですね。
2問目の理由は、
「資料をどこにしまったか思い出せないか」は、しまった場所を忘れてしまったのかと上司を問いただしていることになる。秘書としては、上司を手助けする対応でないといけないので、このようなぶしつけな言い方はそぐわないから。
この問題のポイントは"上司を手助けする対応"。常にその姿勢が求められることがこの問題から伝わってきます。
3問目の理由は、
「御布施」は、葬儀や法要で僧侶へ読経などの礼をするときの上書きなので不適当。ちなみに、香典返しのときは「志」など。
上司の参列する弔事までサポートするのが秘書の仕事。急な場合でも正解の対応が出来るよう、マナーをインプットしておくのですね。

また、実際に現役の秘書の仕事に秘書検定は役立っているのかを探るべく、「こちら秘書室」の会員の方々にアンケートをお願いしました。答えてくださったのは、20代から50代までの約300人。秘書歴にすると、1年目から20年のベテランまでです。
その声によると、秘書業務の基礎として役立てている方が多いようでした。ひと言で「秘書」と言っても、業種や上司によって働き方はさまざまだそう。そういった応用能力が求められる仕事のなかで、基本を押さえておくことはやはり重要のようです。また資格をもっていることが、ある種の対外的なブランディングの確立にもなるようで、「自信をもって働ける」「周囲から信頼を寄せてもらえる」という答えもありました。
興味深かったのは、
「(秘書検定には)秘書は偉くないということがしっかり書かれているので、勉強すると自分は一社員だと認識をもっていられる。しかし勉強せず配属などで秘書になった方は、勘違いして自分が偉くなった気持ちになっている傾向が強い」(30代・秘書歴10年)
「秘書検定を勉強して、『秘書は影』だと思った。その心構えは役に立っている。」(30代・秘書歴5年)
という声。サポート役である彼女たちは、ボスの仕事のしやすさを常に考えて行動しなければならない反面、必要以上にでしゃばってはいけないもの。"影"という表現は、まさに秘書のあり方を示されているな、と納得しました。
上司をサポートするのに適切なラインを見極めるには大変な心遣いが必要とされます。秘書検定とは、秘書業務の「理論」と「実技」の根底にある「秘書としての心遣い」を養うものなのかもしれません。

◆ こちら秘書室
全国の秘書または秘書業務従事者が無料で登録できる、会員数約3万5000人の秘書コミュニティサイト。会食や接待に最適な飲食店・手土産情報のほか、秘書業務に役立つコンテンツを発信し、セミナーや懇親会も開催。『「こちら秘書室」公認 接待の手土産2017-2018 』(日本経済新聞出版社)も好評。
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