2021.05.01
6時間睡眠の人は、「酔っ払い状態」で仕事しているのと同じだった!?
じつは日本は世界一睡眠時間が短い国。毎日6時間睡眠以下の人は、徹夜明けや日本酒を1~2合飲んだのと同じくらい低いパフォーマンスで、日々仕事をしていることになるという……。
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文/樺沢紫苑(精神科医、作家)
6時間睡眠続けるだけで「酔っぱらい状態」に
これは具体的には、日本酒を1〜2合飲んだときの「酔っぱらい状態」での認知機能に相当します。つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている」「お酒を飲みながら仕事をしている」のと同じくらい低いパフォーマンスで、日々仕事をしているということです。
さまざまな実験や研究の結果から、睡眠不足の人は、本来持つ自分の能力の1〜2割も低い能力で、毎日仕事をしていることがわかっているのです。
がんばっても仕事がはかどらない。ミスや失敗が多く叱られる。疲れやすい。感情が不安定。人間関係も悪化する……。睡眠時間を少し増やしただけで、仕事や人間関係の悩みが解決するとしたら、どんなに素晴らしいことでしょうか。
多忙な人にこそやっていただきたいのが、「1週間限定、睡眠時間1時間アップチャレンジ」です。今日から、「ずっと」睡眠時間を1時間増やさなければいけない、というと「難しい」と感じるかもしれません。なので、ずっとやる必要はありません。「1週間限定」でいいので、いつもより1時間早く寝て、1時間だけ睡眠時間を増やしてください。
たった1時間睡眠を増やすだけで脳の機能は著しく改善します。仕事のパフォーマンスは上がり、仕事の生産性は上がります。仕事のミスも減り、仕事は効率化し、仕事が早く切り上げられるようになり、そこで睡眠時間が確保できるようになります。
「しっかり眠ると、こんなに調子がいいんだ」という気付きを得るだけで「睡眠改善」へと、大きな一歩を踏み出すことができるはずです。「睡眠時間を1時間増やす」は、最も簡単で、最も効果が得られる最強の仕事術なのです。
「26分の仮眠」で能率が向上する研究も
アメリカでは、Googleやナイキなど、仮眠室やナップポッドと呼ばれる睡眠マシンを導入する企業が増えています。
では仮眠の場合、何分眠るのがいいのでしょう? 仮眠についてさまざまな研究がありますが、20〜30分が効果的と考えられます。30分を超えると効果が徐々に悪くなり、1時間を超える仮眠は、脳のパフォーマンス的にも健康的にも悪影響を及ぼします。
1時間を超えると深い睡眠に入ってしまうため、その後、目を覚ましてもすぐに脳は正常のパフォーマンスには戻りません。また、1時間を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼします。仮眠の健康に対する影響ですが、1日30分以下の仮眠が、アルツハイマー病の発症リスクを5分の1にするという研究があります。しかし、1時間以上の仮眠は、アルツハイマー病のリスクを2倍に増加させます。
まとめると、1日30分前後の仮眠は、疲労回復、認知症予防、心臓病予防、糖尿病予防、身体の健康という観点からも、非常にいい。1時間を超える仮眠は、健康によくない、といえます。
「正しい仮眠」を取るための5つのルール
60分を超えないように注意してください。
2:眠る前にカフェイン摂取
眠る前に、コーヒーや緑茶などカフェインを摂取しておくと、約30分後にはカフェインの効果があらわれるため、自然に目覚めやすくなります。
理想的には平らなところで眠るのがベストです。難しい場合は、リクライニングチェアで60度くらい角度をつける。できるだけ身体をリラックスさせたほうが、身体の疲労回復効果が得られやすいです。
4:15時までに終了
15時以後の仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすので、マイナス効果となります。
5:30分で食事、30分仮眠
60分の昼休みがある方は、30分で食事をして、残りの時間を仮眠に当てると、ちょうど、20〜30分を仮眠時間として確保できます。
『ブレイン メンタル 強化大全』
「仕事のミスが多い」「評価されない」「定時で終わらない」……あなたが本来のパフォーマンスの半分しか発揮できないのは、「生活習慣」が原因かもしれません。
じつは日本は世界一睡眠時間が短い国。日本人の4割が睡眠不足です。睡眠時間6時間以下の生活をしている人は、徹夜明けと同程度まで脳のパフォーマンスが下がりますが、働き盛りのビジネスマンの約半分が、そんな状態に陥っています。
生活習慣を整えることは、「最強の仕事術」。それは、たった1週間でも変化を実感できます。生活習慣を整えるだけで、「脳のパフォーマンス」が高まり、「仕事のパフォーマンス」が圧倒的に高まります。そして、うつ病、認知症といったメンタル疾患のリスクも飛躍的に下げることが可能です。
総フォロワー50万人に、毎日「ヘルスケア」についてアウトプットしている精神科医・樺沢紫苑が、睡眠、運動、食事、休憩など、科学的に正しい生活習慣について、100の方法を紹介します。最新研究にもとづきながら「脳と心を強くする方法」を完全に網羅した超決定版。
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