2021.06.18
VOL.12「スーツを守るモダン右翼」
右へ行くか左へ行くか、アナタの意志が問われています
世界のラグジュアリー人脈に通じ、社交界の裏事情にも詳しい謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の男性諸氏が陥っている、ファッションと恋愛の無自覚・無意識の怠慢に覚醒を促し、読者を洗練へと導く連載です。
- CREDIT :
文/カトリーヌ10世 イラスト/ユリコフ・カワヒロ
■ Theme12「スーツを守るモダン右翼」
カジュアル一辺倒の流行に抗い、古着屋でスーツを買い、サイズ直しをして着はじめたら深い沼にはまりこんでしまった。そんな新世代のスーツ男子たちの格好良さときたら。楽チン全盛の空気に抵抗し、涼しい笑顔でタイドアップのスーツを着こなし仕事をする。エレガンスとは拒絶である、という至言をシャネルもサンローランも語っておりますが、世の趨勢に拒絶の姿勢を示すことで、結果として伝統文化を守る前衛になっている彼らはさしずめ、モダン右翼というところでしょうか。
日本のアラサー起業家とお話する機会も多いのですが、彼らもまた、モダン左翼の考え方を前提としてもっています。
そのうえで、透明性の高いビジネスによって地球環境や人権を保護するという使命感に燃える若い起業家たちは、資金が足りなければクラウドファンディングで調達する。立ち上げのメンバーはプロフェッショナルだけどみな副業。購入者との関係が対等で、コミュニティづくりにも力を入れている。困難でも新しいやり方に挑戦し、後に続く人たちのために道をつくりたいと語ります。風通しの良い未来の希望を感じさせ、支持層を広げています。
世の中が安定している時には、右にも左にも行かず、揚げ足をとられないよう、中道をスマートに泳ぐことが賢いやり方だったかもしれません。しかし現在は、数百年に一度の変革期。人為の努力なしには廃れる伝統を守りぬくために右に振り切るのか、新時代の先頭集団を走るべく左に振り切るのか。両方行き来ももちろん可。ぼんやりとしたまま流されて行方不明とならないためにも、意志ある行動をとるべき時が来ていることに「目覚めなさい」。あ、右へ行く際には老害と呼ばれないよう、モダンにヴァージョンアップしたお手本となってくださいね。
カトリーヌ10世
グローバル化が進む社交界事情にも通じる。密かな趣味は人間観察とコスプレ。好きな飲み物はモンラッシェ。日本ではほとんど知られていない、ある小国の女王とのウワサも!?