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2021.08.06

VOL.13「アズーロ&マローネはなぜ素敵なのか?」

海外のお洒落コーデはなぜ日本で格好良く見えないのか?

世界のラグジュアリー人脈に通じ、社交界の裏事情にも詳しい謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の男性諸氏が陥っている、ファッションと恋愛の無自覚・無意識の怠慢に覚醒を促し、読者を洗練へと導く連載です。

CREDIT :

文/カトリーヌ10世 イラスト/ユリコフ・カワヒロ

謎の有閑マダム、カトリーヌ10世さんが、日本の迷える男性諸氏を洗練へと導く連載。今回のテーマは……。

■ Theme13「アズーロ&マローネはなぜ素敵なのか?」

異国で出会ってファッションセンスに感激した人と自国で再会すると、なんだか相手の輝きが失せて見えたことってありませんか? 

イタリアで最高に格好良く見えたアズーロ&ビアンコのコーデを現地でワンセット買ったものの、大阪で着るとどうにも浮いて見える、という経験ももしかしたらおありかもしれません。格好良くなれると思って雑誌のコーデをそっくりそのまま模倣したのに、ドン引かれた、という過去もあるいはおもちかもしれません。
つまり、ある装いが素敵に見えるかどうかは、環境に左右されることが非常に大きいということです。生活し、動いている人間の格好良さは、その人のコーディネート単体でキマることはむしろ少ないのです。考慮すべきは、背景、環境、光。そうした周囲の要素と調和がとれ、装いがパズルのピースのように環境のなかにピタリとはまる時、その人は素敵に見えてきます。

イギリス紳士がタウンとカントリーで靴を含めたワードローブをうるさく使い分けるのも、雑誌がファッション撮影のためにわざわざロケ地を注意深く選ぶのも、同じ理由からです。イタリアやイギリスの直輸入品でキメたお洒落な男性が、日本ではコスプレ視されてしまうことが少なくないのは、そもそも建物も光も違いすぎるところでソレを着るかという問題があるためです。

では、どうすればよいのか?  これはむしろ日本のアパレルメーカーにお願いすべきところですが、日本の光に映える色や柄をじっくり研究してみてはいかがでしょうか? グレーは墨色、ネイビーは紺青色、赤は茜色、緑は浅葱色というふうに、ニュアンスを少し変更するだけで違う見え方をすることがあります。ベタに“和”に転ばず、全体のテイストはそのまま保つのがポイントです。

イタリア男のアズーロ&マローネは、イタリアの土地や建物を背景にした時に最高にシックに見える色彩です。建物も、人も、豊かに見える。自らが目立つというよりもむしろ環境をリスペクトする節制がそこにあり、だからこそ美しく見えるのではありませんか? 

あなたの生活する環境をよく知り、愛するという基本に立ち返る、これが実はお洒落の基本にしてゴールでもあることに「目覚めなさい」。海外との往来がままならないこの時期は、足元を見つめ直すチャンスですよ。

カトリーヌ10世

グローバル化が進む社交界事情にも通じる。密かな趣味は人間観察とコスプレ。好きな飲み物はモンラッシェ。日本ではほとんど知られていない、ある小国の女王とのウワサも!?

2021年4月号より

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