2019.03.11
京都に行きたい! 日本庭園で料亭デートはいかが?
京都デートのプランに欠かせないのは、美しい日本庭園が見られるスポット。「平安神宮 神苑」などを手がけた、明治期の庭師・七代目小川治兵衛の庭園がある、料亭・料理旅館「高台寺 十牛庵」と「南禅寺参道 菊水」をご紹介します。
- CREDIT :
文/木薮愛 写真/伊藤信
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今回ご紹介するのは、平安神宮 神苑、無鄰菴 庭園、円山公園などを作庭した、近代日本庭園の先駆者・七代目小川治兵衛が手がけたお庭です。豪商や茶人の依頼で明治から昭和にかけて作庭された庭が、料亭や料理旅館に、今も大切に引き継がれています。
食事をしながらだと、お庭をゆっくりと鑑賞することができますし、何より素晴らしい景色のなかでいただく料理の味は格別です。木の葉が風にそよぐ音や、水のせせらぎに耳を澄ませたりしながら、五感で庭を楽しみましょう。
◆高台寺 十牛庵
約2000坪の土地を有する圧巻の料亭
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南禅寺界隈には、七代目小川治兵衛の作った庭園がたくさんありますが、この十牛庵は八坂塔と京都市街を一望できる東山の山麓に立地しており、平地である他の庭園とは異なる条件のもとで作庭されました。主庭は2階の席からも十分に緑が楽しめます。
主庭はモミジを主体に、柔らかな樹形のアカマツが植えられており、春は樹々のさわやかな新緑とさりげなく咲く野花、夏は溢れんばかりの一面の緑、秋は真っ赤な迫力ある紅葉の風景、冬は静寂な山裾の雰囲気と、四季折々に庭園の表情を楽しむことができます。山裾には水が流れており、東山の斜面を利用した滝石組が印象的です。また、橋杭(橋を支える円柱型の石杭)を3本使用した手水鉢や、鞍馬石を使用した大きな蹲踞などが、席からの眺めにアクセントを添えます。
その料理は、ひと皿ひと皿手を抜かず丁寧に作られており、京都という土地の四季折々の情緒が感じられるものばかりです。例えばシンプルなお椀ひとつとってみても、旬の鱧は見事に骨切りされており、透きとおった冬瓜から湯葉が涼しげに浮かび上がります。椀の蓋には、高台寺の臥龍廊を思わせる、龍のモチーフが。夏の風物詩である屋形船に見立てられた八寸には、青紅葉が添えられ、庭に溶け込むようです。
藤原さんに調理のこだわりを聞くと「美味しいものをうつわに乗せるだけ」と究極の回答が。余白を生かした盛り付けには、庭園にも通じる、日本独特の美学を感じます。
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調理の様子が見られるカウンター席もよいですが、ふたりきり、個室で庭を眺めるということであれば、2階の「楓の間」や「山吹の間」、1階の「竹の間」などがおすすめです。夕の部に訪れるのであれば、日が落ちる少し前に訪れて、外の景色が変わりゆく様をじっくりと味わいましょう。
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■ 高台寺 十牛庵
住所/京都府京都市東山区高台寺桝屋町353
営業時間/11:30〜12:30L.O.、17:30〜19:30L.O.
定休/水曜
URL/https://jugyuan.jp/
予約・問い合わせ/☎︎075-533-6060
◆ 南禅寺参道 菊水
モダンにリニューアルした料理旅館
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「菊水」は昭和30(1955)年に創業した料理旅館。宿泊者だけではなく、京料理・会席が味わえる場所として、宴会や披露宴等でも利用されてきました。今年よりピッツェリア、カフェ、レストランなどを展開する「株式会社バルニバービ」の傘下に入り、1階ダイニングの縁側部分にテラスを増設するなど、館内を大幅に改築し、和洋のレストラン&ティールーム、旅館として生まれ変わりました。
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ランチタイムからティータイム、ディナーまで通しで営業。和の昼会席とディナーメニューは要予約ですが、洋ランチやティータイムはふらっと訪れることも可能です。
ポイントは、テラスから庭に出て、そぞろ歩きながら庭を鑑賞できるということです。七代目小川治兵衛は、明治時代の急速な近代化を背景に、ただ眺める庭ではなく、「五感で味わう」近代庭園のスタイルを確立していきました。橋を渡り、築山を登ってみるなどしながら、庭を隅々まで堪能しましょう。
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■ 南禅寺参道 菊水
住所/京都市左京区南禅寺福地町31番地
営業時間/ランチは11:00〜14:00L.O.、ティータイムは14:00〜17:00、ディナーは17:00~21:00 L.O.(コースは20:00 L.O.)
定休/無し
URL/http://www.kyoto-kikusui.com/
予約・問い合わせ/075-771-4101
● 木藪 愛(きやぶ・あい)
エディター&ライター。東京で美術雑誌の編集者を経て、京都でフリーランスに。美しいもの、美味しいもの、好奇心をそそられる新しいものを軸に、アートや工芸からフードまで幅広く雑誌やWEBに寄稿。プライベートではお酒好き。ロケハンのつもりが朝まではしご酒となることも......。