2018.07.06
大人のオトコが恋を語る前にぜひ読んでおきたい恋愛本8冊
大人の恋愛観に幅と奥行きを与えてくれるとっておきの書籍を「歌舞伎町ブックセンター」のプロデューサー、草彅洋平さんにセレクトしていただきました。
- CREDIT :
文/井上真規子 写真/トヨダリョウ
というわけで、今回の大人の恋愛特集に因み、“LOVE”をテーマにした本だけを集めて話題の「歌舞伎町ブックセンター」を訪ね、プロデューサー&選書を務める次世代編集者の草彅洋平さんに、大人のオトコとしてぜひ読んでおくべき恋愛本をセレクトしていただきました。
BOOK 01◆「ロリータ」/ウラジーミル・ナボコフ著
オヤジが若い娘に振り回され壊れていく
ウラジーミル・ナボコフ著
新潮社刊(新潮文庫)
定価/本体890円+税
今の時代に同じことをしたら犯罪ですが、そういう世間的にタブーとされる恋愛にも自由に触れられるのが本の魅力ですよね。もちろん今だって、少女ではないにしろ、年の離れた若い女性を欲するのは男の常。谷崎潤一郎の『痴人の愛』にも通じます」
BOOK 02◆「こうしてお前は彼女にフラれる」/ジュノ・ディアス著
著者が「#MeToo」で告発された浮気男の物語
ジュノ・ディアス著
新潮社刊
定価/本体1900円+税
やっぱりいまは、“女性の時代”。女性関係が激しかった吉行淳之介(1924-1994)が、このSNS時代に生きていたらどうなってたんだろうなんてことを考えさせられます。告発されたあとに、もう一度この本を読み直したら、著者の表現の危うさに気付けて面白かったです。皆さんにも彼が渦中にいることを思って読んでいただきたいです」
BOOK 03◆「オーランドー」/ヴァージニア・ウルフ著
女性の豊かな想像力を実感できる小説
ヴァージニア・ウルフ著
筑摩書房刊(ちくま文庫)
定価/本体800円+税
ちなみに『オーランドー』は学生の時に可愛い女の子から教えてもらった本で、以来、この作品を読んだことがあるという女性に会うと“趣味がいいなあ……”と感心してしまい弱いです(笑)。1992年にサリー・ポッター監督で映画化されているんですが、この映画(タイトルは『オルランド』)も素晴らしいので、ぜひ!」
BOOK 04◆「愛する人に。」/石井ゆかり著
人気占い師が崇高な言葉で紡ぐ恋愛エッセー
石井ゆかり著
幻冬舎刊
定価/本体1200円+税
石井さんは、言葉の選び方がすごく上手くて、悩んで頼ってくる人の心のモチベーションや想いを崇高な言葉で高めていくことができる人なんです。このエッセイにも、そんな石井さんの美しい言葉がたくさん登場します。
石井さん好きの彼女と別れて少し経った頃、僕はふと本屋で石井さんの本を手に取っていました(笑)。何気なく手にする本って、その瞬間にその人が欲しているものだったりするから、本選びはある意味、占いみたいなものでもあるんです。面白いですよね」
BOOK 05◆「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」/花田菜々子著
そんな所で本をすすめられた男の気持ちって!?
花田菜々子著
河出書房新社刊
定価/本体1300円+税
出会い系サイトの男性は、結婚目的と言いつつも、エロ目的で来ている人も多いです。花田さんはそれを知りながら、あえて空気を読まずにひたすら本の話をし続けるところが、とても頭が良い感じがして、そしてズルくも感じます(笑)。いろんなタイプの男性が出てきて、それを花田さんがどう見たのかがわかるのも面白いです」
BOOK 06◆「東京を生きる」/雨宮まみ著
“こじらせ女子の”の赤裸々な本音と心情
雨宮まみ著
大和書房刊
定価/本体1400円+税
主人公は、東京という都市に憧れて田舎から上京してきたひとりの女性。彼女は、東京という現実に翻弄されて、徐々に無茶苦茶になっていきます。憧れの高級ブランドの服を身に纏っているのに、貧乏な安アパートに住んでいたりする不思議な都市・東京。考えてみればなぜこんな馬鹿げたことをしているんだろうという話を、彼女は冷静に女性目線で切り取っていくんですね。
雨宮さんは、人に言えないような女性の本音や心情をものすごく赤裸々に綴れるんですね。男性が読んでも、あ~そうだよねって共感できる理屈や感情もあったりして、文章もストレートなんです。2016年に40歳の若さで事故死してしまったのが、とても残念ですね」
BOOK 07◆「A子さんの恋人」/近藤聡乃著
で、どっちを選ぶのか?
近藤聡乃著
KADOKAWA/エンターブレイン刊
定価/本体620円+税
BOOK 08◆「イケメンホストを読み解く6つのキーワード」/関 修著
ホストの哲学に学ぶべきところはたくさんある
関 修著
鹿砦社刊
定価/本体600円+税
ホストは会話のプロでもあり、愛という夢を売るプロでもあるわけです。僕たちがホストの哲学に学ぶところは、たくさんあるなと思いますね。本書は女性が定義する『イケメン』とは何かを考察しつつ、『隣の嵐くん』などを書いたイケメン研究家がホストを読み解いています。こういう学術本は、なかなかないと思いますよ(笑)」
“ふと手に取る本は、その時、心が欲しているものを占ってくれる”もの。もし気になった本があったら、ぜひ読んでみるべき。自分の思わぬ心情が見えてくるかもしれませんよ。
●草彅洋平(くさなぎ・ようへい)
編集者。クリエイティブ・カンパニー「東京ピストル」の代表取締役。これまでの膨大な読書量や知識、経験をもとに、さまざまなメディア運営や幅広いプロデュース、編集を行う。日本近代文学館にある文学カフェ「BUNDAN COFFEE&BEER」のプロデュース、運営もしている。
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