彼女の人並外れた経験値と審美眼を深掘りする連載がついにスタート! 知られざる秘境への冒険法や、普段は入れないラグジュアリーホテルの特別室まで、ここでしか見られない世界のセレブ達の遊び方をお届けします。
誰かが経験したことは自分も必ず経験してみたい
もともと好奇心が強く、なんでも自分の目で見ないと気が済みません。誰かが経験したことを、自分は経験したことがない……という状態がとっても悔しい。だから旅先でも、食事やアクティビティを調べ尽くして、面白そうなことはすべて体験してきました。
この連載では、私がこれまでに体験してきた、贅を尽くした旅先での遊び、私自身が考えるラグジュアリーの定義、行っておくべき場所やホテルなどを、独断と偏見を交えてご紹介していきます。と、その前に、まずは私がどうやってここまで辿り着いたのか、簡単にお話したいと思います。
新卒で入ったリクルートまで、六本木ヒルズからベンツで通勤
そのまま新卒で、リクルートに入社。当時は時代も良く、株式投資でそれなりの額を稼いでいましたので、大学卒業と同時に六本木ヒルズに家を借り、そこからベンツで通勤していました。今考えると、世間知らずで生意気な若者だったと思います。給与はリクルートの株式でもらえないのかと、空気も読めず上司に聞いてみたり……(笑)。
まずは飲食店を開業しました。その後も不動産やジュエリーブランドなど、さまざまな会社を立ち上げ、20代は複数社の経営に明け暮れる日々でした。当時は事務所の寝袋で寝泊まりしたり、人が足りない時は自分のBARで朝まで働いたりと、すべてを仕事に注いでいました。
でも30代を前にして、何かが違うと感じたのです。私の実力では、これ以上会社は大きくできないし、本当に好きなことはこれじゃないんじゃないか? そのように思い、一度すべてをリセットすることにしたんです。そうして、30歳を機に全事業を売却し、得た資金を使って、自分が本当に好きだった「世界中を旅すること」に、すべてを注ぎ込む生活がスタートしました。
ドバイでバームクーヘンの輸入ビジネスに挑戦
2カ月後には、日本の自宅も解約し、すべてを放り出してドバイに移住。最終的には世界中にフランチャイズ展開をするつもりで、「どこの国でも通じる味で」「日本からのお土産として」「世界中のギフト需要に応える」という構想をもとに、日本発のお洒落バームクーヘン、という商材を開発しました。
ビジネスとして優位性をもたせるため、賞味期限が長い、原価が安い、宗教の制限を受けない、など複数条件から絞り込んでいった結果です。生クリームやチーズを使わない、ポップコーン、ラスク、カヌレ、クッキーなども候補に上がりましたが、特に「勝ち筋」が見えたのがバームクーヘン。
しかし、ここで新興国にてビジネスすることの難しさを知りました。ドバイと日本はあまりに文化が違い、契約を結んだ翌日に「気が変わった!」などと、一方的に約束を反故にされることもしばしば。裁判しても自国民を優先するので、泣き寝入りするしかありません。更には1年を通じ、最高気温が50度にも達する気候と、あまりにも冷えた室内という寒暖差にも悩まされ、店頭で体力勝負をしていた自分はとうとう身体を壊してしまいました。
こんなことから始まった当社のビジネスですが、本来は高額な会費と引き換えに提供している情報の一部を、本連載では惜しげもなく提供していくつもりです。どうかお楽しみに。
●才津香果(さいつ・かぐみ)
1982年生まれ。早稲田大学法学部卒。学生時代から株式投資で財を成し、 卒業後に新卒でリクルートに入社。2カ月で退職し起業。以来、飲食やジュエリー、IT関連企業など複数社を立ち上げ、30歳で事業売却。得た資金を元に、5億円以上をかけて世界中の富裕層向けの旅や食を体験してきた。その知見を活かし、現在は日本の富裕層向けに、ラグジュアリーで粋な遊びを提案するコンシェルジュ事業を展開している。他にも並行して不動産、化粧品、アニメーションなど多角的に5社を経営。