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「高校を卒業するまで、まだ4年間はあるから大変なんですよ」と自嘲的に話しながらも、実はまだ弁当を作れる環境を喜んでいたのですが、アメリカに旅立つときに機内弁当を持たせたのが最後で、私の弁当生活は唐突に終わりを告げたのです。
娘はかねてからアメリカで勉強したいと言っていましたが、サマープログラムに参加したボーディングスクールにご縁をいただき、秋から渡米。出国間近は手続きで忙しく過ごしたのですが、あと数日というときに「もう弁当を作ることはないんだなあ」と実感。妻からも「機内食食べるよりあなたが最後の弁当を作ったら」と言われてメニューを考え始めました。
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それから一年ほど。料理は相変わらず作っているし、いまでも弁当なら毎日作りたいと思います。あくまで娘のためのものなら、ですが。
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いまの冷凍食品も、既成の調味料も美味しい。子供だって美味しければ同じものを食べたいことも知っています。でもこれは単に私が楽しく作るために掲げたハードル。だから逆に「おかずはすべて冷凍食品」で一週間作ってみてもいいのです。世の中にいかに便利な冷凍食品がたくさん流通しているかがわかり、楽しいと思います。
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というわけで私の弁当は、帰宅して冷蔵庫を見回し、あるもので作る「ひとり料理の鉄人」。もちろん肉や魚は冷凍しているので、寝る前に解凍し、寝床に入って明日の弁当のメニューを考えるのです。
その基本は彩りと食感。気をつけないと茶色になってしまうのが弁当ですから、赤、黄、緑などをバランスよく取り入れるのが肝心です。赤はトマト、パプリカ、人参、タラコ、鮭あたり。黄色はパプリカ、かぼちゃ、卵焼き。白は鶉の卵やササミ。緑はブロッコリー、インゲン、スナップエンドウあたりをよく使いました。なかでもプチトマトとブロッコリーは幅もあるので、最後の空間に押し込むだけで全体が締まった感じになります。
そして食感とは噛んで硬いものと柔らかいものをうまく組み合わせること。違う料理を食べたときに食感が違うほうが、気分がリフレッシュするからです。
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豚の生姜焼きを作ったら、鶏のササミとインゲンをあわせておかかで和える。これで三品が出来上がり、色味的には茶、緑、赤が揃ったわけですが、もう少し欲しいですね。冷蔵庫を開けたらかぼちゃが。なら挽肉と炊き合わせて黄色を加えてみようか……これでおかずは終了。
あとは盛り付けるだけです。もしもスカスカだったらプチトマトでもいれ、ごはんにも色味が欲しければ、煎りゴマでも振りましょうか。これなら30分もあれば出来るはず。こう考えると弁当って簡単だし、楽しいでしょう。鶏のササミとインゲンはマヨネーズで合えたっていいし、タラコは明太子にしてもシラスにしてもいい。バリエーションはいくらでも出来ます。
要はまず、作ってみる。それも冷蔵庫の中にあるもので。レシピはクックパッドを見たっていいんです。せっかくなら楽しむ工夫をしながら作ってみる。そうすれば弁当作りは継続できると思いますよ。
● 柏原 光太郎
1963年東京生まれ。(株)文藝春秋でウェブ事業、宣伝部門を担当する傍ら、十数年前から食の魅力にはまる。食べるだけでなく、作る楽しみを普及させようと男性が積極的に料理をするコミュニティとして、「台所男子の会」「軽井沢男子美食倶楽部」「日本ガストロノミー協会」を立ち上げる。インスタグラム:kashiwabara_kotaro