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2022.04.13

ブライアン・アダムス「ロックを愛して40年」そのカッコよさの秘訣

独特のハスキーな声、そして魂を昂らせるロックンロールなサウンドで、40年以上音楽シーンの最前線で活躍し続けるレジェンド、ブライアン・アダムス。デビュー当初から変わらない「カッコよさ」や「輝き」をキープしている秘訣に、日本独占公開の本人撮影のポートレートを交えて迫ります!

CREDIT :

文/松永尚久 写真/Bryan Adams

1984年にリリースされたアルバム『Reckless/レックレス』が全米で500万枚、日本でもミリオンセールスを獲得するなど大ヒットを記録。その後も全英チャート16週連続首位を獲得しギネスに認定された映画『ロビン・フッド』のテーマ曲「(Everything I Do)I Do It For You / アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー」(91年発表)、ロッド・スチュワート、スティングと共演した映画『三銃士』のテーマ曲「All For Love / オール・フォー・ラヴ」(93年)など、多数のヒット曲で知られる、シンガー・ソングライター。

そのセクシーな声を生かし、常に骨太なロックンロールを追求するブライアン・アダムスが完成させた最新アルバム『SO HAPPY IT HURTS』は、エモーショナルで高揚感をもたらす楽曲がメイン。長年のキャリアで培った力強さ、そして未来に向けたポジティヴなメッセージの詰まった作品に仕上がっています。

また、フォトグラファーとしても活躍する本人撮影によるヴィジュアルも見応えあり。その姿には、経験を積み上げたからこそ生み出せる「カッコよさ」があります。

完成した瞬間に、ツアーを終えた時のような充実感が湧き上がってきた

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—— 最新アルバム『SO HAPPY IT HURTS』制作中は、パンデミックが起こるなど世界の状況が大きく変化しましたが、どんな時間だったのでしょう?

パンデミックが起こった当初、以前のようなライヴ・パフォーマンスが二度とできなくなるのではないかと危惧していましたが、幸いなことに徐々に元の状態に戻りつつあります。自分にとっては、家族とともに過ごす時間が増え、曲作りに集中することができたので、充実したものになりました。ミュージシャン人生において、これほどまでにクリエイティヴな時間はなかったほどです。

—— このアルバムでは、どんなことを描こうと思いましたか?

常々、その時に思う最高の音楽をアルバムとして発表したいと考えています。つまり、私の真実を閉じ込めているんです。今回はリズム・セクションに重きを置いて、それを追求したつもりです。奇妙なことに完成した瞬間に、ツアーを終えた時のような充実感が湧き上がってきました。結果、とても高揚感がありロックな仕上がりになったと思います。

—— 全体にとてもポジティヴな気持ちになれるアップテンポのナンバーが中心ですね。やはり、コロナの影響はありましたか?

正直なところ、パンデミックの影響を音に表現すべきか迷いました。でも、考えてしまうと暗い気持ちに陥りそうになるので、排除することにしました。世間の状況から「ロックダウン」して、自分に向き合うことにしたのです。

—— 今回はシンプルでストレートなロックにこだわっている気がしました。

その通り! 思わず頭を振りたくなるようなサウンドになりました。渡航禁止などもあり、バンドメンバーとのセッションが思い通りにできなかったので、初めて自分でドラムなどのさまざまな楽器を演奏したんです。
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—— オープニングを飾るタイトルトラック「So Happy It Hurts」は、ライヴで一体感を味わえる、シングアロングできる痛快ナンバーですね。

この楽曲では、開放感を作り出したいと思っていました。人生は、幸せと不幸せがコインのように表裏一体であることを描いています。韻を踏んだ歌詞も気に入っています。

—— 「Never Gonna Rain」は、ゴスペル風のコーラスが印象的なスケール感のある仕上がりです。

やんわりと楽観的なメッセージが込められています。「友人を誘うなど大切な人と今夜出かけたい。そこで新しい思い出を、これまでの人生にはなかった輝きを感じてほしい」という願いです。

—— 「Kick Ass」は、イギリスを代表するコメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーである俳優のジョン・クリーズのナレーションからスタート。とても感情を昂らせるロックンロール・チューンになっています。

彼の声が素晴らしい効果を生み出してくれました。お互いのことを良く知る仲でもあるので、ジョンがこの楽曲のイメージにぴったりだと思ったんです。

—— ラストの「These Are The Moments That Make Up My Life」は、ドラマティックです。あなたのキャリヤや音楽とともに過ごしてきたリスナーは、自分の人生を重ねるのではないでしょうか。

ソングライティングをするにあたって、個人的な思いを楽曲に反映させながら制作している部分は常にあります。同時に、素晴らしい絵画や映画みたいに、私の世界と皆さんが一体になれるように、どの楽曲もそれぞれの人が体験した世界とリンクするものにしたいと思っているんです。

—— さまざまな楽曲が収録されていますが、どれも根底にあるのは「ロックンロール」へのまっすぐな愛。「ロックンロール」とはどんな存在ですか?

周囲に何を言われようが“ロックンロールは死なない”! 現在の音楽シーンにおいて、最もストリーミング再生されるジャンルじゃないかもしれないけれど、そんなことを気にする必要なし! なぜなら、これが私のできることであり、人生ですから。

クルマは自由の象徴。ロックダウン中に失った人々の自発性を体現している!

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—— アルバムジャケットのクルマの上でギターを高く掲げる姿が印象的です。今回の写真はすべてご自身で撮影されたそうですね。

自分の中に湧き続けているロックの魂を表現したいと思い、カナダのフリマサイトで古いクルマを購入しました。そもそもクルマは自由の象徴。さらに古いクルマは、ロックダウン中に失ってしまった人々の自発性を体現していると感じたのです。

また古いクルマを登場させることは、これまでの自分やロックの歴史を背負っているような、何か特別な気もしました。完成したアートワークは、自分で撮影した中でも最高の出来ではないかと思うくらい、想像以上の仕上がりになりました。

—— ミュージックビデオを含め、本作はモノクロメインで構成されています。

モノクロ写真のほうが色褪せない気がしました。もちろん、カラーのほうが今の時代に受け入れられることは知っていますが、そんなことはどうでもよくて(笑)。自分の納得のいくアートワークを追求したい。それだけなんです。

—— 音はもちろん、ヴィジュアルからも、変わらないカッコよさが伝わってきました。キープの秘訣、原動力は?

それは音楽への愛を持ち続けているからこそ、生み出せるのかもしれません。これまで音楽スタイルをほとんど変えていません。常にギター、ベース、ドラムが基本です。

皆さんには、私のキャリアの中で最高と言える、2000年に日本武道館で行った3人編成でのパフォーマンス(『Live At The Budokan』として映像作品化)の中で特に「I Don't Wanna Live Forever」を観てほしい。曲のタイトルを含め、私の生き方を体現しているステージになっています。

地球のためによいことを実行し、次の世代に道筋を示す姿勢が「カッコいい」

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—— 今思う「カッコいい」生き方とは?

できる限り、地球のためによいことを実行していく姿勢でしょうか。より多くの野菜を摂取し、肉や魚に頼りすぎない。次の世代に向けてどういうことをすべきなのか、道筋を示さなくてはいけないですね。今の自分たちの生活がどういう過程で構築されていったのかを、語り継ぐ義務を全うすべきなのではと思います。

—— 今後のミュージシャンとしての目標を教えてください。

とにかく活動を続けていくのみ。年内にはまだまだアルバムを発表していく予定です。

—— しばらく日本公演がないですが、来日の予定は?

私も日本の皆さんと再会したいと強く願っています。2023年には叶えられるとよいのですが。

—— 日本のファンへメッセージをください。

本当に皆さんが恋しい。一緒にロックできる日が訪れるまで「マタアトデ!」。

—— 日々刻々と世界が変化していく状況下で、『SO HAPPY IT HURTS』というアルバムがどんな風に響いたらよいと思いますか?

少しでも多くの人に、このロックを通じて幸せを噛み締めていただけたらうれしいです。
『SO HAPPY IT HURTS』ブライアン・アダムス

『SO HAPPY IT HURTS』

輸入盤のみ(オープン価格)/BMG
https://silentlink.co.jp/sohappyithurts09

● ブライアン・アダムス(Bryan Adams)

カナダ生まれ。1980年より活動開始。40年以上にわたる活動の中で作品は、40カ国以上で1位を獲得し、6500万枚を売り上げている。ツアーでは6大陸を周り、グラミー賞、ジュノー賞に輝き、アカデミー賞とゴールデングローブ賞にもノミネートされた。また、カナダ勲章を受け、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム、カナダ・ウォーク・オブ・フェームに名を連ね、ウェンブリーのスクエア・オブ・フェームには手形が刻印されている。世界で最も高い評価を受けているシンガー・ソングライター。

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