2024.03.01
監督・仲 里依紗、主演・秋山竜次。これで面白くならないワケがない!
俳優の仲 里依紗が監督、主演はロバートの秋山竜次。WOWOWの人気企画「アクターズ・ショート・フィルム」で実現した異色のコンビが作り上げるのは芸能スキャンダルをテーマにしたホラー映画! 一体どんな作品なのか?
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文/牛丸由紀子 写真/トヨダリョウ スタイリング/黒瀬結以(仲)、古澤 愛(秋山) ヘアメイク/本岡明浩(仲) 編集/森本 泉(LEON.JP)
その第4弾として今回監督を務めるのは、千葉雄大、仲 里依紗、福士蒼汰、森崎ウィンの4名。彼らが制作したオリジナル作品は、3月1日(金)よりWOWOWオンデマンドにて配信、3月8日(金)よりWOWOWプライムにて順次放送開始されます。
今回、監督初挑戦となる仲 里依紗さんの作品『撮影/鏑木真一』はなんとホラー。スキャンダルを暴露して女優を死に追いやった主人公、週刊誌カメラマン・鏑木にはロバート・秋山竜次さんが扮することに。実は秋山さんの出演を口説くために、大胆なオファーをしたという仲さんと、初めてのホラー作品に挑戦した秋山さんに話を聞きました。
好きなものを集めた中に僕が入ってるなんて!(秋山)
仲 里依紗さん(以下、仲) もともと私は、役者として演じるだけで精一杯のタイプ。作品のすべてをジャッジしなきゃいけない監督よりも、監督に言われたことをやる方が自分には向いていると思っていたんです。でもこのお話をいただいて、普通ならやりたくてもやれない“監督”という仕事をできることもありがたいですし、ならば何か面白いものを作れたらいいなと思って挑戦しました。でも自分が好きじゃないものはやりたくなかったので、好きなものを全部集めたのがこの映画です。
── それがホラーというジャンルだったんですね。
仲 ホラーは本当に好きなんです。この間も妹とこっそりレイトショーに行ったぐらい(笑)。そういうのが昔から好きで。だからお話をいただいた時に、ホラーと秋山さん主演でできるなら挑戦したいですってお伝えしたんです。
仲 そう、その2条件(笑)。本当ですよ! 最初からそれだけは決まっていました。ホラーだったりサスペンスだったり、ちょっと暗い方が好きなので、そういうジャンルを演じる秋山さんを見てみたいっていうのもあったんです。
秋山 好きなものを集めた中に僕が入ってるなんて! そういう経緯でオファーいただくなんて、なかなかないですからね。ありがたいです、本当に。しかも仲さんがこちらの負担のことを考えて「大河ドラマとか重なっているし、セリフ少なくします。対策がありますんで」と聞いた時は何の対策なんだろうと思ったんですが、セリフをゼロにする対策だったんですよね(笑)。
秋山 いやいや、さすがに無理です、当日来ただけじゃ(笑)。最初はセリフを覚えなくていいから楽なのかなと思ったんですけど、やっぱりお芝居はそんなに楽じゃなかった。いざ演技に挑むと、表情だけで見せるという難しさを感じました。いつもなら、変なふざけた表情でひと笑いさせて逃げるという感じですから(笑)。でも今回はガチホラーなので、おふざけの顔はいらない。逃げようがなくて、めちゃくちゃ難しかったです。
仲 そうだったんですね(笑)。
秋山 でも、仲さんの演技指導がすごく面白くて。仲さんは僕らのコントをすごくよく知ってくれているので、無になる顔を造らなくちゃいけなかった時の演技指導が「あのロバートの『邪念0(ゼロ)研究所』※の顔で」って僕らのコントネタで指導されたんです。邪念なんぼですか?と聞くと……。
秋山 演技していると「それだとちょっと多いっすね、もう1で」みたいな謎の指導でしたよね。周りの人にとっては、何を指導してるんだろうみたいな感じ(笑)。でも僕にとっては「ああ、あれですね」って、わかりやすかったです。それに、ここの顔ってどうやるんですかと聞くと、「こんな感じ」と伝えるだけじゃなくて、仲さんが1回やってくれるので、それを見て完コピすれば答えが出る。“仲 里依紗演技スクール”みたいな感じでした。
── 仲さんは実際の監督の仕事はどうでしたか?
仲 監督ってすべてを決めなくちゃいけないんですよね。だから、ずっと何これっ? えええ無理~ってなってました(笑)。
秋山 当たり前でしょ(笑)。監督はそういうもんなのよ(笑)。
仲 周りのスタッフからも、すぐ呼ばれるんですよ。監督、監督! って至るところから探されて、びっくり。ご飯ひと口食べたら「監督!」「はい!」みたいな(笑)。
秋山 そうそう、妹さんとYouTube撮って、その隙間にご飯食べている時に「え、もう???」みたいな感じになってましたね。でも監督に「楽屋にいてください」はないから(笑)。
仲 監督って、こんなに大変なんだって実感しましたね。だから今後も監督に言われたことをちゃんと聞こうとより強く思いました。監督の撮りたいものを撮らせてあげたいという気持ちが芽生えました。
その人にも家族がいたり、その人だって誰かの子供だし……(仲)
仲 杉本さんは大先輩なので、そんな方に演技指導してるなんて……(笑)。でも衣装合わせの時に、「哲太さん、ほんっとにご負担がないように」とお願いしました。
秋山 そんなこと言う監督いないですよ(笑)。気を遣いすぎですよ、本当に(笑)。
仲 あと、画角上見切れちゃうと次のカットの撮影まで残る必要があるので、見切れないようデスクの位置を動かしたりして、なるべく早く帰っていただくような撮り方をしました。例えば手元を入れた絵を撮っちゃうと、その寄りはだいたい最後に撮るので、必要なければ手に持たないとか。
秋山 おい、そんな裏ワザがあんの? すげえな、それ! そっちの世界すぎるよ(笑)。
── 今回のストーリーは、芸能スキャンダルということがひとつのテーマになっています。そのアイデアはどういったところから生まれたのでしょうか?
仲 やっぱりそういうことによって当事者や周りの方が悲しい思いをしたり、心を病んでしまうこともある。記事に書かれる方も記事を出す方も、その人にも家族がいたり、その人だって誰かの子供だし……ということを考えちゃうんですよね。いい思いをする人っていないよなと思っていて。
仲 ジャンルとしてホラーをやるうえで、病んでいく主人公を描くにはそういう題材がいいんじゃないかと思ったんです。最初にストーリーをバ~ッと書いて、原案を出したんですが、最後にどう思うかは見ている人に決めてもらいたいと思っています。
秋山 やっぱり鏑木の人物像みたいなものはイメージしましたね。僕もクリエイターズ・ファイルの時には、服やカツラ、メイクなどが出来上がった瞬間に「あ、こいつなんだな」という感覚になるんです。だから今回も、衣装を仲さんに選んでもらって鏡を見た時に「ああ、こいつは人との付き合いも下手くそそうで、写真の事ばかりに時間を費やしていて、ガサツな部分がかなりあるヤツだな」と。風貌を見てると、何か見えてくるんです。この役も恰好がけっこうヤバいですからね(笑)。
仲 けっこうヤバい(笑)。ずっと一緒のフリース着てて、たまにシャツ替えるぐらいで。
── お互い人物像の細かい打ち合わせをしなくても、例えばそのフリースひとつで人物像を作ることが出来たんですね
秋山 そうですね、ファッショナブルで社交的なワケがない、あいつが(笑)。
仲 あと自分が役者をやっていて感じていたのが、出演者が服を変えすぎだということ。普通の人はそこまで服は持ってないんじゃないかという疑問もあったんです。だからリアリズムというか、同じ感覚にしました。
仲さんはどんだけあらゆる方向に興味がある人なんだ(秋山)
仲 秋山さんに出てもらうためというのもありましたが、役者としていつも思うのが、主演の人はめっちゃ喋ってるなと(笑)。さらに主演の人って、すごくいい人が多いんですよね。でも、3番手ぐらいの役の方が癖があったりちょっと嫌な感じだったりして、インパクトに残ることが多い。自分もそういう普段体験できないようなことや人物の方が、やってて楽しいんですよね。
── そんな日頃から役者として疑問に思っていたことを、今回は変えてみたと。
仲 そうですね。主演はたくさんのセリフがあって、説明があって、さらにいい人で……みたいなことが、正直疑問だったんです。主演って何でこんな八方美人なんだろう、そんなヒーローみたいなヤツはいないぜって(笑)。
秋山 毎回衣装もいろいろ変えて、華やかでね。
仲 だから今回、秋山さんのその才能を知らしめたかったんです。今まで何度もお仕事をご一緒してて、見つけたその才能を他の人に「すごいだろう!」と伝えたかったんですよね。
秋山 いやいやいや、何それ。めちゃくちゃうれしいオファーじゃない!
仲 私が一番先に認めてる、第一人者だよって言いたかったんですよ。だからなるべくオファーを受けてもらえるように、セリフを少なくしたんです(笑)。
秋山 でもマジでホラー映画の主人公でまったく喋らないなんて、とにかく今までやったことない経験。ましてや監督は現役の女優さんと、全部が全部やったことないことばかり。だから、すごく刺激的でした。普段やっているようなコミカルな芝居だけでは、切り抜けられない箇所がいっぱいありましたから。改めて、全然出来ないことがめちゃくちゃあると思い知りましたね。
── 秋山さんは様々なコントやクリエイターズ・ファイルなどをやっていても、映画の演技となるとやっぱり違いましたか?
秋山 クリエイターズ・ファイルでは、それこそ大仏とか犬とかキャラクターを作り込んで演じてますけど、あれはただただやりたいようにやっているだけなので(笑)。映画はちゃんと脚本があって、その中で演技するというのはやっぱりまったく別のもの。勉強になりましたね。でも楽しかったです、本当に。
仲 秋山さんの美声に改めて気づきました。でも今回は台詞ゼロにしちゃって、素敵な声を出せずもったいなかったと思いました(笑)。
仲 そう、だからやりたいことばかりで時間がないんです(笑)。
── 今後おふたりで何かまたやりたいことはありますか?
秋山 バラエティとかで、仲さんが振り切った衣装や顔面にいろいろ描いたようなメイクしているのとか見ると、つい吹き出しちゃうんですよね。だからコントっぽいものを一緒にやってみたいと思います。仲さん、僕の「邪念0研究所」とか、変なコントが好きなので(笑)。
仲 うわ~! やりたい!
秋山 仲さんが僕に「あれ面白かった」って言ってくれるネタが、「え? それ?」っていうぐらいマニアックなやつなんですよ。他の人にはあまり言われないようなものばかりで、僕としてはすごくうれしいんですけど。僕のアンテナ的には、仲さんはここが好きなんだということが何となくわかるんで、そういったコメディもやってみたいですね。
── 秋山さんからのオファーがあったら?
仲 もう何でも受けます!
秋山 顔面ペイントも?
仲 全然やりますよ!
仲 里依紗(なか・りいさ)
1989年生まれ。2010年には、実写版『時をかける少女』『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。役者業だけでなく、大人気YouTubeチャンネルやアパレルブランドのプロデュースまでも手掛ける。今回、映画監督、初挑戦となる。
秋山竜次(あきやま・りゅうじ)
1978年生まれ。1998年、山本博、馬場裕之とともにロバートを結成、『キングオブコント2011』で優勝。個人としては自身が様々な職種で活躍する人物に扮する『クリエイターズ・ファイル』などを発表。現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」の藤原実資役も話題を呼んでいる。
『アクターズ・ショート・フィルム4』
2021年にWOWOWが開局30周年を記念して行なったプロジェクト。予算・撮影日数など同条件で人気俳優たちが25分以内のショートフィルムを制作、世界から6,000本超のショートフィルムが集まる米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)のグランプリ:ジョージ・ルーカス アワードを目指すというもの。今回の第4弾では千葉雄大、仲里依紗、福士蒼汰、森崎ウィンの4名が監督に挑戦した。
3月1日(金)WOWOWオンデマンドで全作配信開始!
https://wod.wowow.co.jp/program/192734
3月8日(金)より毎週1本ずつ放送! WOWOWプライム
https://www.wowow.co.jp/detail/192734
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