2024.12.27
倉科カナ「いつもニコニコしていると、みんな私に“裏がある”と思うみたい」
大人たちの“情事と事情”が複雑に絡み合った恋愛群像劇『情事と事情』(Lemino)で性格の正反対な双子の姉妹を一人二役で演じている倉科カナさん。実生活でもいつも笑顔でいることで、裏があるのではと思われるそうです。
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文/井上真規子 写真/内田裕介 スタイリング/高木かなえ ヘアメイク/尾曲いずみ 編集/森本 泉(Web LEON)
今回のゲストは、ドラマや映画に立て続けに出演し、男女双方に熱烈なファンを抱える俳優の倉科カナさんです。これまでもさまざまな役どころを演じてきましたが、新たに12月から配信がスタートした恋愛ドラマ『情事と事情』(Lemino)では、大人の複雑な恋愛模様に身を投じる性格の正反対な双子の姉妹を一人二役で怪演しています。実はこれまでにも一人二役を度々演じてきたという倉科さん。最新作の見どころやプライベートでの意外な生態まで、樋口さんがたっぷり伺いました!
「今回の作品で、いろんな恋愛があるんだなって学びました」(倉科)
倉科カナさん(以下、倉科) そうですよね。彼女の人生の価値基準は「美しいか否か」。それが極まると、ちょっと怖さを感じますよね。
樋口 そこを表現できるのが倉科さんなんですよね。すごいなと思いました。
倉科 ありがとうございます。今回の井樫彩監督は女性で、ご一緒するのは2回目なんですけど、撮影中にトコトコって私の前まで歩いてきて、「愛里紗は倉科カナのまんまだ」って言うんです。嘘でしょ? と思って(笑)。私は違うと思っていたんですけど、考えてみたらちょっと似てるところはあるかなって。
倉科 私のパブリックイメージって「ニコニコ笑ってる」、「なんか明るい」とかだと思うんです。でもやっぱり人間だから、実は冷めた部分や俯瞰した部分、達観した部分もあって、そこは愛里紗に似てるのかなと思います。
樋口 そうなんですね。
倉科 愛里紗は世界をいつも上から見ていて、「人が頑張っている姿なんて美しくない。なんで頑張るの?」みたいに思っている。私はそこまで思わないけれど、俯瞰して見ているところはありますね。監督に似てるって言われたのは、喜んでいいのかわからないですけど(笑)。
樋口 え、もっとワルイ方がいいですか⁉
倉科 いやいや、私は安心できる方がいいです(笑)。ファッションがちょい不良(ワル)なのはいいんですけど素行がワルいのはね。だから、今回の作品は自分の生活ではありえない非日常感が味わえて面白かったですけど(笑)。
樋口 普段は、そういう裏があるような男性は寄せ付けないですか? もう埒外な感じですかね。
倉科 いや、現在進行形なワルでなければいいかなとは思います。改心して私だけを見てくれるなら(笑)。
樋口 当然ですよね。てか、倉科さんだけ見てるに決まってるだろ! って思います。
倉科 アハハ(笑)。でも大人のいろんな事情で、いろんな恋愛があるんだなっていうのを本作で学びました。
倉科 日本ならではの「こうあるべき」っていう考えはもう古い気がしていて、私はもっと自分の本能に従っていいと思うし、それが禁断の愛とかじゃない限り、素敵だなと思う人にはいくつになっても心が赴くままにときめいていいと思います。そのほうが人生は豊かになっていくので。だから私はずっと 恋愛していきたいし、自分に正直でありたいですね。
倉科 残念ながらないです(笑)。でも、そういう出会いも素敵ですよね。人づての出会いってどうしても限られるし、羨ましいなって思います。インターネットやSNSが発展した社会の中での新しい出会い方ですよね。
倉科 いやいや(笑)。でも素敵ですね〜。
「正反対の二役を両方演じるのは、すごく楽しかったです」(倉科)
倉科 楽しかったですね。でも実は二役って過去に何度かやってるんです。だから比較的慣れてますね。
樋口 本当ですか! どの作品ですか?
倉科 ドラマ『婚姻届に判を押しただけですが』では、顔がそっくりで性格が真逆な二役をやりました。あと、『霊験お初~震える岩~』でも現世と過去の生まれ変わった女性を両方演じました。別人だけど同一人物っていう。
倉科 ただ同じシーンに2人が存在しているのは今回が初めてだったので正直、難しかったです。
樋口 同じシーンで二役演じるのって、メイクも服も変えなきゃいけないし、自分に話しかけるシーンと答えるシーンも撮影するってことだから相当複雑で大変ですよね。
倉科 そうなんです! めっちゃ時間かかりました。自分で相手役を演じた時のお芝居だけでなく、旦那役の芝居とかも全部覚えておかなくちゃいけないから難儀しました(笑)。
樋口 ファッション的には姉の愛里紗がコンサバで、妹の英里華はイケイケな感じ。感情を表に出さない姉と、喜怒哀楽がすごく明白で爆発的でもある妹でしたが、 どちらかに感情移入したりとかは?
倉科 感情移入はしなかったですけど、共感できる部分はどちらにもありました。 愛里紗は感情を表には出さないけど内に抱いている感情は理解できたし、英里華の姉にコンプレックスを抱いていたり、激しいなかにも寂しさを感じたりする気持ちにも共感しました。
倉科 両方演じることで感情のバランスが取れて、リフレッシュになりましたね。
樋口 ご本人としては、愛里紗と英里華のことは俯瞰して見ている感じですか?
倉科 同じシーンで二役演じる時は、確かに俯瞰しているかもしれないです。でも、1人を演じるシーンではそうでもないかな。
樋口 先ほど1人二役のキャスティングが多いと伺いましたが、 キャスティングをお願いする側も多分倉科さんにそういう「二面性があるんじゃないか」「あってほしい」っていう願望を抱いているんだろうと思いました。
倉科 多分そうだと思います。私は明るいイメージを持たれることが多くて、実際自分でも本当に楽しくてこれが素なんです。でもあまりにもニコニコしすぎてると、裏があるんじゃないかってみんな思うみたいです(笑)。
樋口 それ、わかります!
倉科 「倉科さんって、裏でタバコ吸ってそうだよね」って言われたこともあるくらい。私、本当に吸ったことない! って思って(笑)。
樋口 それ、言う人も言う人ですね!
樋口 でもそう感じてしまう人の気持ちも、わからなくはないな〜。こんなに完璧に美しいと、「ドロドロした面を持っていてほしい」「裏があって欲しい」って、汚れた願望を抱いてしまうんですよ。これは仕方ないことなんです! 大衆の下卑た願望と思って、上から見下ろしてやってください!
倉科 アハハ(笑)。いやいや。でも、そうやって二面性を感じていただけるのは役者冥利に尽きるので、面白いなと思ってます。
※後編(12/28公開予定)に続きます。
● 倉科カナ(くらしな・かな)
1987年12月23日生まれ、熊本県出身。’09年NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」のヒロインに抜擢。以降ドラマ「Mother」「名前をなくした女神」「花のズボラ飯」「刑事7人」「奪い愛、冬」「正直不動産」「婚姻届に判を捺しただけですが」「隣の男はよく食べる」などに出演。ほかに主な作品として映画『遠くでずっとそばにいる』『あいあい傘』『三日月とネコ』、舞台、こまつ座『雨』『ガラスの動物園』『お勢、断行』など。'22年には第29回読売演劇大賞にて優秀女優賞を受賞。
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● 樋口毅宏(ひぐち・たけひろ)
1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新刊『無法の世界』(KADOKAWA)が好評発売中。カバーイラストは江口寿史さん。現在雑誌『LEON』で連載小説「クワトロ・フォルマッジ-四人の殺し屋-」を執筆中。
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■ Leminoオリジナルドラマ『情事と事情』
大人たちの秘めた“情事と事情”が複雑に絡み合う恋愛群像劇。昼下がりの高級ホテルに偶然集まった7人の男女が、欲望と葛藤に抗いながらも翻弄されるさまを描く。原作は小手鞠るいの同名小説。裕福な家庭の娘で、装幀家としても活躍する主人公・結城愛里紗と双子の妹・島崎英里華を倉科カナが演じる。ほか、自分を律し過ぎているフリーライター・中条彩江子役をさとうほなみ、その恋人で売り込み中の新人カメラマン世良晴人役を佐藤寛太、ホテルのラウンジでピアノを弾いている玉木まりも役を森香澄、ピアノバーの経営者バーテンダー水無月流奈役を真飛聖、その恋人で店のピアニスト佐藤玲門役を寺西拓人、愛里紗の夫で、まりもと愛人関係にある結城修役を金子ノブアキが演じる。
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