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2025.03.08

第4回 有森也実 【vol.02】

美しい人、有森也実。「葛藤やもどかしさも含めて、女優って人間っぽい仕事だと思います」

大人の女性の美しさに迫るグラビア連載「美しい人」。第4回目に登場いただくのは有森也実さんです。「東京ラブストーリー」の関口さとみ役で大きな話題になった後も、イメージに囚われることなく様々な役に挑戦して表現者であることにこだわり続けてきた有森さん。ますます情熱溢れる有森さんの「美」の秘密とは? そのvol.02です。

CREDIT :

文/渡辺朋子 写真/野口貴司 スタイリング/佐伯敦子 ヘアメイク/福沢京子 編集/森本 泉(Web LEON) プロデュース/Kaori Oguri

有森也実 美しい人 WebLEON

表現者であることにこだわり続ける有森也実さんの情熱溢れる美しさに刮目せよ!

グラビアと言えば女性の若さとボディを売りにした企画が多いなか、女性であるKaori Oguriさんをプロデューサーに据え、豊かな人生経験を持つ女性たちの、内面から醸し出される“大人の美しさ”に迫る、ファッションと融合した新たな連載グラビア企画「美しい人」。

第4回ゲストとしてご登場いただいたのは有森也実さんです。人気ドラマ「東京ラブストーリー」で演じた関口さとみ役で大きな話題になった後も、イメージに囚われることなく様々な役に挑戦して、表現者であることにこだわり続けてきた有森さん。いまも映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍し、ますます情熱とエネルギー溢れる有森さんの「美」の秘密とは?
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【interview 02】

人間が触れ合いながら作っていくものにちゃんと価値を見出していきたい

── 19歳から女優という仕事を続けてきたなかで、迷いなどを感じることはありましたか?

有森也実さん(以下、有森) それはありますね。私にとって女優というのは表現の仕事だから、与えられたものをどれだけ自分のものにできるかの試行錯誤というか。そのなかで、自分としてはこういう表現は好きではないけど、それが求められていて、それをやることで成立するなら仕事としてやるという時の葛藤やもどかしさみたいなものはあります。でも、今思えばそれは、役の人格を多角的に捉える勉強になっていたのかなと思います。
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── そういう思いに対しては、どのように折り合いをつけているんですか?

有森 自分が思うようなものにしたいなら、自分でお金を集めてフィーリングの合う人たちと好きなように作品を作ればいいという話だと思うんですけど、それでは商業ベースではなかなかうまくいかないだろうし。でも、失敗しても評価されなかったとしても作品としては残るわけで、それは財産だし。そういうものがダメだっていうのは悲しいじゃないですか。だから、自分やみんなの思いが乗ったものを作っていかないといけないんじゃないかなという気持ちはあって、いつかどこかで日の目を浴びれたらいいなとも思います。だから、表現者として突き詰めていくと難しい部分もあるし、楽しい部分もあるし。その折り合いの部分も含めて、女優って人間っぽい仕事だなと思います。
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── 表現者としての有森さんの、とてもピュアで真摯な思いが伝わってきます。

有森 役者っていくつになっても何かを表現したいという気持ちがあればずっと続けていける仕事ではあるので、それをどうやって形にしていけばいいかということも考えていかなくてはいけないという過渡期に、今ちょうど来ているんだと思うんです。今はAIでなんでもできるけど、私たち人間が悩んだり意見を言い合ったり触れ合いながら作っていくものにちゃんと価値を見出せるということだけはなくせないなと思うから、そのためにはどうしたらいいんだろうっていうことですよね。
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── 時代も変化していますからね。

有森 コロナ禍以降、人と人が触れ合わなくなって、肌感とか触れ合いの温かさや逆に冷たさみたいなセンサーがなくなっちゃうんじゃないかと思うと、ちょっと怖いなと思うんです。だから、いつまでもそういうことを発信したり、感じてもらえたらと思っています。今回の私の写真も、皆さんがどんな風に見てくださるかわからないですけど、きれいに作られただけのものじゃないおもしろさや魅力みたいなものを感じてもらえたらと思います。

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── こういう撮影は2年ぶりぐらいだそうですね。

有森 私はお芝居の仕事も好きだけど、こういう撮影って、今、自分が持っているものを素直に表現できるから、すごく楽しいし大好きなんです。お芝居はセリフがあって相手役の人がいて、その世界に自分を持っていかなくちゃいけないんですけど、今日みたいな写真のお仕事って、こういう服で、こういうヘアメイクで、この場所に立って、カメラマンさんとのフィーリングで何が出てくるかを楽しむ場じゃないですか。だから、たまにこういう仕事があると刺激になるし、撮影が決まった時点から今日まで、どんな衣装が来るのかな、どんなところで撮るのかなってすごく気になってウキウキしてました(笑)。
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── 女優さんは役を演じる楽しさもあると思いますが、有森さんはご自身を表現することも好きなんですね。

有森 そうですね。ダンスもそういう理由でやっているんだと思います。

── 今後、女優としてもっとこういう表現をしてみたい、こういう作品でこういう役をやりたいといった欲はありますか?

有森 それはいっぱいありますよ。やっぱり長いこと演じられてきた作品をやってみたいという欲はありますよね。たとえばチェーホフの『かもめ』のアルカージナ役や『欲望という名の電車』は、いつかどこかでやりたいなと思うし。『化粧二題』という舞台もまたやりたいと思っているし、映画でもやりたい題材はいっぱいあります。
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── 有森さんが幸せを感じるのは、どんな時ですか?

有森 いっぱいあるけど、お仕事をしている時はやっぱり幸せですね。セリフを覚えている時も幸せだし、稽古をしている時も幸せだし、今日もすごく楽しかったし、最高に幸せだよね(笑)。
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● 有森也実(ありもり・なりみ) 

1967年12月10日、神奈川県生まれ。雑誌『mc Sister』の専属モデルを経て、1986年に女優としてデビュー。同年『キネマの天地』でヒロインを演じ、ブルーリボン賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。1991年にドラマ『東京ラブストーリー』で大きな注目を集める。ほかにもドラマ『翔ぶが如く』、『明日さがし』、『わが町』、『都合のいい女』、『最高の片想い』、『HOTEL』、『秀吉』、『北ホテル』シリーズ、『ゲゲゲの女房』、『監察医 朝顔』、『嘘解きレトリック』、映画『いぬむこいり』、『天上の花』、舞台『放浪記』、『化粧二題』、『フラガール-dance for smile-』、『ある八重子物語』、『かへり花』、『片づけたい女たち』など出演作多数。

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