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2020.08.04

■ローランド/実業家

落ち込むことだってある。だから自分にハッパを掛けるためにビッグマウスを叩くんです

「俺か、俺以外か」の名言とともに歌舞伎町、いや日本一のホストといっても過言ではないローランドさん。現役を退き、実業家として名を馳せる彼に、今の時代を生き抜く術を伺いました。

CREDIT :

写真/前田 晃 文/池田保行(04)

時代はデジタル? だったらむしろアナログを貫きます

世界的にコロナの影響から、アナログからデジタルへの転換が否応なく進んでいます。テレワークやリモート会議など、仕事や生活様式が大きく変わり、価値観も混沌とする時代に、覚悟をもって生きている「カッコいい大人」を紹介していく本特集。今回はローランドさんに話を伺いました。

歌舞伎町のホストとしてナンバー1を極め、その名言は書籍として上梓。現在は実業家として飲食、美容、慈善活動や投資事業、サッカー関連と幅広く活躍するローランドさんは、いまの時代をどう捉えているのでしょう。
▲ローランドさん。オフィスにて。
── コロナの影響で、ご自身の周辺がデジタル化していると感じますか?

ローランド  世の中が変わっていくことは肌で感じますが、それでなにかを変えようとは考えていなくて、自分の生き方の根本は変わらないですね。僕自身はもともと接客業という、シンプルかつエッセンシャルな世界にいたし、大切な人へはメールではなく手紙を書くようにもしています。

LINEが広まったことで、紙の手紙を書くことの価値が上がっていますよね。さらに実際に人と会うとなったら、その価値がより高まる。むしろ、そういう時代に入ったと思います
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ローランドがSNSでフォローしている人は・・・!?

SNSの発達によって、コミュニケーションの取り方が変化している今。ローランドさん自身は仕事でSNSを発信することはあっても、他人の発信を受け取ることはしないようです。オフィシャルアカウントはTwitterで90万人、Instagramは50万人を越えるフォロワーをもつ彼がフォローをしている人は・・・・・・ゼロでした。

── ローランドさんがSNSで一人もフォローされていない理由は?

ローランド  SNSって、人を後ろ向きにする傾向がありますよね。お洒落なところで写真を撮って、こういう私でいたいとか、こういう私ってスゴイとか、くだらない価値観に左右されていると思うんです。石器時代なら、隣の村の知らない誰かが大きなマンモス捕まえて食べていたとしても、知る術なんてなかった訳ですし。きっとそんな知らない誰かと自分を比べて、羨ましいなとか、俺も食べたいな、なんて劣等感を感じる事もなかったと思います。

今は、可愛いと思って買ったバッグも、SNSを見たら他の人がもっと高いバッグを自慢してるのを見て、さっきまで可愛かったはずのバッグが途端に愛せなくなる……そういう悲しい価値観で世の中が回ってるように思うんです。

他人と比較したり、他人にアピールすることで、自分自身の価値が変動する。絶対的価値より相対的価値によって、すべてが動く時代であることを見抜いているローランドさん。言葉はどれも、前向きで積極的です。

── ローランドさんと同世代にしてSNSを活用する著名な起業家やスポーツ選手などが多数います。世代的な連帯感は感じますか?

ローランド  自分と同世代、あるいは若い世代が頑張ってることは素晴らしいことだと思うし応援もしています。でも俺自身はエゴサーチもしないし、SNSを気にすることはないですね。世間の評判を気にせず、自分がやりたいことを、楽しくひたすら続けているだけなので。

そんなローランドさんは2018年にホストを引退。現在は社長業に専念している。
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社長は100点とって当たり前。プレッシャーが嫌なら社長は務まらない

── これまでホストとして店に雇われる側から、社長として人を束ねる立場になられました。社長になって変わったことはなんですか?

ローランド  俺自身が変わったというより、周りの目が変わりましたね。これまでは加点方式だったのに、減点方式になったという感じに。社長って完璧な仕事をするのが当然で、少しでもマイナスがあれば追求されるじゃないですか。98点の社員は褒められるけど、98点の社長は、そのマイナス2点を責められる。そこにギャップを感じますね。

完璧な仕事を求められる立場は、緊張感、プレッシャーがそれまでとは違うのか。しかし、そんな立場をも、ローランドさんは楽しんでいるのだという。

ローランド  俺は100点とってアタリマエ、99点なら追求されて仕方ないと割り切っています。プレッシャーが嫌なら社長なんてできないですよ。プレッシャー含めて、やりがいだと思って楽しんでますから。自分が方針を決めたり、自分の手元でスタッフが成長していく姿を見ることができるなんて、幸せすら感じます。こんな気分を味わえるなら、プレッシャーなんて妥当だし、むしろもっとくれって思います。こんなに毎日楽しくて、いいのかなってね。
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仕事は儲けより、楽しさ優先。これが続けやすいコツ

── 企業を運営する上で、時代に合わせて適宜調整していく必要はありませんか?

ローランド  時代に合わせたり、こっちのほうが儲かるからといって、いちいち修正するより、流行に左右されずに決めたことを貫いたほうがいいです。働き方やモノの価値が変わってきた時代でも、そのほうが楽しいし、なにより続けられますから。

何度も修正するコストや、そこから得られるメリットよりも、停滞することのデメリットのほうが多いと考えるローランドさん。誰もが不安を抱える時代に、この確固たるスタンスは得難いものではないでしょうか。

ローランド  もちろん流行に対しての感度が高いのは悪いことじゃありません。でも感度が高すぎると右向け右になって、みんなと同じことしかできなくなってしまう。本当にやりたいことがあるのなら、時代に合わなかったとしても、自分の尺度で世界を変えるぐらいのつもりで続けるべきだと思いますね。
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努力していない人ほど、夢を追いかけがち!?

▲サングラスはディータ、時計はパテック フィリップを愛用。
──とはいえ私たちの日常は不安定で右往左往しがちです。ローランドさんは、なぜそこまで強くなれるのでしょう。

ローランド  幼い頃から、こういう性格なんです。物心ついたときから、分かれ道があったら自分が信じた道が正しいと思うタイプ。それと、あとは、これだけやったんだから、負けないという自負があるんじゃないかと。毎日ほわっと生活して、勝手に自信だけ持ってるわけじゃないですから。

かつて本気でプロのサッカー選手を目指しながら挫折を味わった経験と、ホストとしてナンバー1にまで登り詰めたサクセスストーリーは、いたるところで語られているのでご存知の方もいるでしょう。ローランドさんの揺るぎない自信を担保しているのは、あの頃の真剣にサッカーと向き合った経験、その圧倒的な練習量があったからなのです。

ローランド  努力をしたことがないやつほど、いつまでも夢ばかり追いかけがちです。力を出し切って初めて見える世界ってあるんですよ。俺は同世代のネイマールのサッカーを見た時に、圧倒的な才能の差を感じて、サッカーを諦める決心がつきました。それは本気で取り組んだからこそわかったこと。いつまでも本気を出せば勝てる、なんて思ってダラダラやってるより、100%の力を出し切ってダメでしたって負けを認めるほうがカッコいいし、迷うことなく次のステージに行けますよ。
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自分は決して強い人間じゃない。だからビッグマウス

前を向いて生きていくために、常に目の前のことに全力を尽くすことがすべてと語るローランドさん。では、そのモチベーションをどのように保っているのでしょうか。

── ローランドさんは強靭な意思の持ち主ですよね?

ローランド  俺はそんな人間じゃないです。人間って、そんなに強くないですよ。100人いたら98人は弱い人間です。自分も褒められれば調子に乗るし、落ち込むことだってあります。俺はそんな自分に発破を掛けるためにビッグマウスを叩くんです。負け方なんてわかんないよってね。

ときに有名なローランド語の数々は、自分に責任を与えるためのものだったのです。前の晩、散々偉そうなこと口にしながら、翌朝やっぱり無理かも、と思うことを前日のビッグマウスで喝破する。常に自分にプレッシャーを掛けることでモチベーションをキープしているようです。

ローランド  かといって、これが誰にでも通用するメソッドだなんて、思っていませんよ。たまたま俺には有効な手段ですけど。ただがむしゃらに間違った方向に走り出しても意味がないし、正しい努力をすることも大切でしょ? 野球選手になりたいのに、バスケの練習してもしょうがないですからね。
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自信を持つための裏ワザ? それがあったら教えて欲しい

── 自分に自信が持てない人は、どうすれば自信が持てるようになりますか?

ローランド  そういうこと聞く人、よくいるんですよね。その質問をする人って、自信を持つための簡単な方法とか、裏ワザがあると思って聞くんですけど、人間、努力しないで自信を持てるようになんてなれないし、努力する意外に道はないことに気付いていない時点で、自信は一生持てないと思います。誰かに教えてもらって自信が持てるようになるぐらいなら、今頃、自信の普及率はスマホと同じぐらいになってるんじゃないですか。

バサリと切り捨てるような答えには、圧倒的な重みがありました。それはローランドさんの、ここまでの道が順風満帆ではなかったことを物語っています。18歳までサッカー漬けの日々を送りながら、プロへの道を断念したのは、自分の限界に気付いたからと言います。

テレビで知っただけの、ホストという職業には、ほかの道を考えることなく飛び込み、最初の1年は苦労ばかり。それでもいつか1番になることを誓って努力した日々は、サッカーに打ち込み続けた過去の自分に重ねていたようです。しかし、努力している姿を見せないのもまたローランド流。経営者になり、接客する立場を離れたとはいえ、いまも日課のトレーニングを欠かしていないことが、パンプアップされたTシャツ姿から伝わってきます。


ローランド  いまのステージで頑張れるのは、あれだけ練習してもプロになれなかったという過去を振り返ったとき、自分のなかで反骨心が湧き上がってくるからです。つらいとき、もうあんな思いをしたくない、だから全力で今に打ち込めるんです。サッカーに未練を持ったままなら、今頃なにも成し遂げられていないと思うし、あのとき、きっぱり諦めをつけたからこそ、ここまで来れたと思っています。

── 冷静かつ謙虚にご自身を見つめているのですね。

ローランド  それも違うんですよ。謙虚って傲慢と紙一重ですよ。同級生にプロ野球選手(※横浜ベイスターズ山﨑康晃投手のこと)がいるけど、彼はドラフト一位で入団して、めちゃくちゃ活躍しててるのに、俺なんかまだまだって言うんですよ。俺は、なんて傲慢なやつだって思ってます。だって今よりももっと上に行こうとしてるんだから、相当強欲だし、傲慢なやつでしょう。

「傲慢」とは、積極的な向上心を表す言葉。対して「謙虚」とは、消極的な態度を表す。「謙虚である」が後ろ向きな自虐の意ならば美徳でもなんでもない。傲慢に生きることは、むしろ時代の成功者になるため、堂々と前を向く強靭な意思の表れでした。
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すっごく嫌なことがあった時、ローランドならどうする?

ローランドさんは決して特殊な人間というわけではありません。プロサッカー選手の夢を諦めたとき、一時はサッカーを目にするのも嫌だった時期があるそうです。それでも這い上がることができたのは、そこで100%を出し切ったという自信と前を向くモチベーションをしっかりキープできたため。

── 仕事でとっても嫌なことがあった時、自分の中でどう解決していますか?

ローランド
  嫌なことがあった時、考え方は3通りあると思うんです。ひとつは、もうだめだと思うタイプ。2つ目は、なんとかなるだろう、時間が解決してくれるだろうと思うタイプ。そして3つめは、自分でなんとかしようと思うタイプ。明けない夜はないと言いますが、俺ならそこで待たずに東へ走ります。やまない雨はないとも言いますが、濡れたくなければ俺は雨雲の上へ行く努力をします。そう動けるか、そうじゃないか、ですかね。

●ROLAND/ローランド

1992年7月27日生まれ。帝京高校サッカー部出身。高校卒業後、進学した大学は早々に自主退学し、18歳で歌舞伎町ホストデビュー。名実ともにナンバーワンになると26歳で独立し、ホストクラブ『THE CLUB』をオープンさせる(現在閉店中)。実業家として美容や飲食、アパレル、投資家や慈善事業家として活動する傍らメディアにも多数出演。
HP/https://roland-official.com/

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