2020.11.07
【第30回】
「男性に期待も理想もないです」。ハンター系クール美女が求めているのは?
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林伸次 構成/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第30回のゲストは、作業療法士の美嘉さん(32歳)です。
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昔は、男性に対してあんまりアツくなれませんでした
「ありがとうございます」
──ここではゲストを芸能人の名前を借りてお呼びすることにしているんですけど、中島美嘉さんって感じがしますね(笑)。
「あ〜、昔、言われたことはあります」
── やっぱり! では今日は美嘉さんと呼ばせてもらいますね。よろしくお願いします。
「こちらこそよろしくお願いします」
── 美嘉さんが自分のことを美人だって自覚したのは何歳くらいの時でしたか。
「え〜っと、美人の自覚はしていないんですけど、モテるとは思います(笑)」
── やっぱり〜。いつ頃からモテ始めました?
「専門学校に入ってから、20歳そこそこでしたけどひとりで酒場に行くようになったんです。それくらいからかなあ」
── えっ!? ひとりで飲みに行くんですか。お友達とワイワイする方が楽しい年頃だと思うんですけど。
「私は人とつるむのがあまり好きじゃなかったというか……。中高生の頃からあまり人と深く関わらない、冷めた感じの子でしたからね。今は違いますけど」
── じゃあ女の子同士でトイレに行くとかもなく?
「あ〜行かない、行かない。自分のタイミングで行けよと思う(笑)」
── クール(笑)! 男子とは仲良くできました? 付き合ってる人がいたとか。
「中学2年の時に初めて彼氏ができて、初体験もその人でしたけど」
── え〜!また随分と早熟な(笑)。長く付き合いました?
「いえ全然。付き合うってなんだ?みたいな感じですぐ別れて。高校でも彼氏はいらなかった。楽しく話して、時間が埋まればいいかなって。セックスはしますけど(笑)」
── わぉ(笑)。あの、もしかして、男性のことあまり好きにならないタイプですか。「あ〜あの人今どうしてるかな、会いたいな、凄く好きだな」ってならない?
「今でこそ変わりましたけど、若かりし頃はそうでしたね。付き合わず、ただやって終わり」
── ククっ(笑)。ちょっと男性っぽいのかな。そんな感じだと学校の中で浮いちゃうとか、女子にいじめられるとか、そういうのは大丈夫だったんですか?
「たぶん学校カーストの上のほうにいたので、そうはならない(笑)」
── あ〜なるほど! そうか、中途半端な位置じゃなければ大丈夫なんだ。良かった〜。でもじゃあ男子に媚び売ってる女の子をいじめたりは……。
「いじめとかくだらないことをするのは好きじゃないですね。それと多分、私、同世代からは怖がられてたんですよね。何考えてるかわからないって」
── アハハ、確かに怖がられそう(笑)。
「うふふ、ね。学校にも来たり来なかったりって子でしたから」
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高校2年生の転機。勉強漬けの日々
「医療の専門学校です。私、リハビリの仕事をしていて。作業療法士っていうんですけど」
── あ、リハビリをしてくれる人のことを作業療法士っていうんですか。
「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士って3種類あるんですが、それの中のひとつですね」
── 高校3年生の時にその仕事をしようって考えてたんですか? というか、ごめんなさい、なんか意外だ(笑)。何か理由がありました?
「ですよね(笑)。高2の頃に祖父を自宅介護していて、亡くなるのを看取ったのは私だったんです。その時に喋れない状態だった祖父が、私に謝ってきてね。なんかたぶん、こうなる前にできることがあったんだろうなと思って。それで自分で調べて、リハビリの仕事を知って」
── あ〜、良いお子さんだったんだ。
「学校も全然行ってなかったんだけど、先生に『医療系の専門学校に行きたい』って言ったら学校中がびっくり仰天しちゃって(笑)」
── そうなりそうですよねえ。
「うちの学校は本当に悪いヤツばかりのところで、そこから医療系に行く人なんていなかったから、先生たちもどうしたもんかと。そこから、朝7時からもう部活みたいに先生たちといろんな教科をず~っと勉強して、推薦枠を取って、専門学校に進んだんですよ」
── わ〜、頑張るなあ。
「学校説明会の時にたまたまその専門学校の事務長さんが来てくれて、先生たちからのバックアップもあり、気に入ってはいただいていたんです。でも試験はボロボロだったみたいで、最後は事務長さんが推してくれて受かったらしいです(笑)」
── 凄くいい話だな〜。やっぱりいい大人っているもんですね。
「みんなに助けられて生きています(笑)」
── そうか〜、でもやっぱり医療系ってペーパーテスト大変なんですね。
「めちゃくちゃ難しかったです。国家試験の合格率もとても低いので」
── あ、国家試験もあるんですか。資格がないと仕事ができないんですね?
「もちろんです。まず卒業しないとそもそも受験資格がないです」
── 試験ってどういう内容なんですか。
「生物学、解剖学、生理学、運動学、臨床心理学とかもういろんなことを一通り(笑)」
── それを全部詰め込んで。もしかして途中で勉強が楽しくなりました?
「そうですね、勉強の仕方もわからないけど、やってるうちに人間の体は面白いってことに気づいて、とにかく一生懸命勉強しました。最終的には推してくれた事務長さんに報いるためにも、頑張って主席で卒業しました」
── おおおおお〜!!やっぱり地頭がいいんだ。医療に向いてたんですね。
「そうかもしれないですね」
── 医療に出会えてよかった。しかし主席って凄いな〜、ちゃんと学校にも行って。よく途中で投げ出さなかったですね。
「でも、嫌に思ったこともありましたよ。知人の大学生とかはのらりくらりしてるのに、私はめっちゃ勉強してましたから」
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飲んでる時に雰囲気が変わってきたら「どうする?行く?」って私から言います(笑)
「恋愛ではなく、これまでの延長線上の感じですね。学校の先輩とか、実習先とか」
── それは、向こうが声をかけてくるわけですよね。
「そうですね。それで一緒に飲んでる時とか、ほら、なんかちょっとだけ雰囲気とか空気が変わったなってわかりません?」
── あ〜男性が“そのつもりなんだろうな”って空気、わかりますよ(笑)。
「そう、その時に『どうする?行く?』って聞きます」
── ワハハ! ちょっと待ってください、行く?って要するにラブホテルなりどちらかの家に、っていうわけですよね? 美嘉さんが言うんですか。
「はい(笑)。向こうがしたそうな雰囲気出したらこちらから行きます」
── それってどうしてなんですか。
「ん〜先手を打つのは、マウントを取る意味合いも含まれるのかも(笑)」
── 負けず嫌いですか(笑)。でも相手に「好きだから付き合ってほしい」って言われることもありますよね。
「あ、あります、あります」
── そういう時はどうするんですか。
「そうなったら連絡先を消す(笑)」
── え〜そこまで!
「たぶん恋愛感情とか私に対する高揚感とかを、男性に求めてないんですね。理想も抱いていないし。だって、いい彼氏、旦那さんって言われてる人が陰でこっそり私を誘ってきたりしますから」
── そういう男性の悪いところを見ちゃってきたんですね……。
「私、男女が求め合ってるのは、結局欲求を満たすためのセックスだと思っています。それならば解消される側になるよりは解消する側でいたい。そして欲求を満たすだけの関係を悪くも思っていません」
── なるほど〜、そうか〜。いろんな考え方がありますね。
続く。【後編】「美人作業療法士が遭遇した、とんでもない修羅場とは?」は、こちら。
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■ BAR BOSSA(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/☎ 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。初の小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)も話題。