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2020.12.31

【第6回後編】壇蜜(タレント)

壇蜜さんの驚くべき新婚生活が明らかに!

世のオヤジを代表して作家の樋口毅宏さんが今どきの才能溢れる美人に接近遭遇! その素顔に舌鋒鋭く迫る連載。今回は、タレントの壇蜜さんの後編をお送りします。デビュー前の風変わりな経験を伺った前回に続き、今回は新婚生活など最近のプライベートを伺いました。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ 文/井上真規子 ヘアメイク/妻鹿亜耶子

『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、才能のある美しい女性の魅力を掘り出す対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」。

第7回のゲストは、前回に続きタレントの壇蜜さんです。和菓子店勤務、銀座のクラブホステス、遺体衛生保全士など風変わりな経験を積んだのち、2010年にグラビアデビュー。美しく妖艶で謎めいたグラビアアイドル、という新境地を築き、現在は映画やドラマ、バラエティにも引っ張りだこです。

前編(こちら)では、芸能界に入るまでの話を中心にお聞きしましたが、後編は昨年結婚した人気漫画家の清野とおるさんとの新婚生活など最近の私生活のお話を中心に。これがまたなんとも摩訶不思議な夫婦関係で……。

「清野さんは仕事場と家を行ったり来たりで、週の半分くらい家に来ますね」(壇)

樋口 壇さんはいろんな動物を飼っていますよね。インコ、蛇、ナマズ……。ナマケモノの「浜平」は元気ですか?

 浜平、死んじゃったんですよ……。突然死でした。

樋口 ええっ! 享年おいくつだったんですか?

 3歳くらいです。でもナマケモノの寿命って、本当は30年くらいあるんですよ。で、なんでだろうって思って、色んなアニマルサイトを見ていたんです。そしたら、今年に入って各地で次々にナマケモノが死んでいるみたいで……。

樋口 ナマケモノの死が相次いでいる? 怠け者がコロナにかかりやすかったのでしょうか?

 そうなんですかね?  でも、まさかそんなことって思ったんですけど、実際は解剖でもしないとわからないじゃないですか。とにかく私の中で、ペットに対しての執着と、死に対しての執着は同じくらい強いんです。だって、人、いらないですもん。

樋口 え!? ごめんなさい、壇さん。人、いらない方がどうして結婚されたんですか?

(一同爆笑)
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樋口 結婚された当初は別居婚っておっしゃってましたけど、今は週のうちどれくらい会ってるんですか? 清野さんは、売れっ子漫画家さんだからお忙しいですよね。

 清野さんは仕事場と家を行ったり来たりしていて、週の半分くらい家に来ますね。

樋口 ひめごとぽくていいじゃないですか!

 この間、清野さんが家に来た時に鼻がムズムズすると言い出して。最近、私の家でオカメインコの「ざくろちゃん」を飼い始めたのですが、まだ毛が生え揃ってないから痒くて掻いちゃうんですね。それで毛の塊が出ていたから、ざくろちゃんが原因かも? ってなったんです。で、私が「どうしよう、捨ててこなきゃ」って言ったら、「俺を?」って清野さんが(笑)。

樋口 ワハハ!  面白いね〜、清野さんは。作品も面白ければ、本人も面白いんですね。食事は、家でするんですか? 赤羽のB級グルメのお店を2人で回ったりしたって話も聞きました。

 デートの時は外へ食べに行ってましたけど、私は外食があまり好きではないので、結婚してからは家で作って食べることがほとんどですね。
樋口 壇さん、何を作るんですか?

 この間は、鶏の脚とゆで卵をポン酢と醤油で色がつくまで煮込んだものとか、じゃがいもを細かく刻んでチーズで薄焼きにしたガレットとか作りました。あと、シャケとキノコのおこわも。

樋口 いいですね〜!

「実は壇さんが、清野さんがモテるのを心配されているんじゃないかと」(樋口)

 樋口さんは奥様にごはん作ってもらわないんですか?

樋口 家事は基本、僕がやっています。妻は弁護士で、時にはテレビも出たりして、仕事が忙しすぎるので。台所に立つ時間があるならゆっくり休んでほしいんですよ。

 相手を思いやりながら、自分のできることをするって素敵ですよね。一番簡単なことなはずなんだけど、夫婦だとお互いが近すぎて一番難しくなっちゃうから。

樋口 ありがとうございます。でも、僕はこんなつもりじゃなかったんです!! 壇さんと初めてお会いした日に妻と会って、“セフレ以上恋人未満”みたいな期間を経て、「樋口さんの子供が欲しいです。籍も入れないくていいです。お金もいりません。一切迷惑をかけません」って妻に言われて。それでいつの間にか、妻のいる京都に僕が引っ越して、籍も入れることになって、気づいたら子供まで育てていたという……。

 気づいたら!(笑)

樋口 三百代言の口車に乗って、まんまとやられました!

 でも一番いい選択だったと思います。だってそうじゃなかったら、私かオザケンですよ。もしかしたら、目の前のテーブルで、ざくろちゃんでくしゃみしてて、捨てられるのは樋口さんだったかもしれない。

樋口 そうか〜!!(笑)
 もしそうだったら、ざくろちゃんと仲良くしてくださいね! まだ喋れないので、言葉を教えてあげてください。

樋口 ざくろちゃんと半同棲でね!(笑) 
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樋口  でも、清野さんは壇蜜さんを奥さんにして羨ましがられたり、綺麗な奥さんで心配じゃないのとか色々言われたりすると思うんですけど、やっぱり清野さんの“壇さんと結婚する胆力”はすごいと思います。

 胆力ですか(笑)?

樋口 はい。でも実は、壇さんの方が、清野さんがモテるのを心配されているんじゃないかなって。清野さんはいつもマスクつけているけど、きっと超がつくぐらいのイケメンだと思います。

 顔は、カマキリっぽいです。よく2人で「蝶々いる?」「いらな〜い」って言ってます。ただ、確かに清野さんは一部の人からは絶大にウケますね。

樋口 どんなヤバイ夫婦ですか(笑)。でも一部から絶大な人気って、わかるような気がする。壇さんが結婚してがっかりした男の数と同じくらい、清野さんの結婚にがっかりしている女性ファンがいると思います。心配じゃないですか?  モテる旦那さん。

 そうですね。でも、なんかあったら週刊誌が見つけてくれるだろうから、私が見張っている必要はないかなって(笑)。

樋口 でも週刊誌が出ちゃった時は、浮気した後ですからね。許さないでしょ?

 まあ、私も真っ当な人生を送ってるわけじゃなし、いいかなって(笑)。仕方ないですよね、男の人だから。怒りはするかもしれないけど。

樋口 ずいぶんあっさりしてますね!(笑)

「世間が自分を求めているなら、求められる分だけお応えしようと」(壇)

樋口 僕は“壇蜜”というキャラクターは、かつて存在しなかったある種発明のような存在だと思うんです。だから結婚した今も、グラビア、映画、ドラマとメディアに引っ張りだこの状況が続いているわけで。次のステージを考えたりしますか?

 仕事は基本的にマネージャーさんに任せているので、明確な何かがあるわけではないです。ただペットをたくさん飼っているので、連泊の仕事はキツいなって。ざくろちゃんが生後3カ月なんで(笑)。

樋口 ざくろちゃんね。旦那じゃなくて(笑)。

 過去にこの仕事をやめてもいいかなと思ったこともあって、じゃあ何するの? って考えたら特にやることもなくて。解剖の仕事に戻れなくもないかな、と考えたりしました。でも今は、世間が自分を求めているなら求められる分だけお応えしようと思っています。仕事しか次の仕事を産まないですし。だからマネージャーも私も、それなりに出ていかなきゃいけないとは思っています。

樋口 なるほど、そうかもしれない。

 あとは、限りがあるものには逆らわずに、ゆっくり歳をとるような見せ方をしていけたらとは思っています。アンチエイジングで無理やり若さを保つとかではなく。
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樋口 家庭で「あれ、私“壇蜜”やってた」みたいな時ってありますか? あれほど現人神だったジョン・レノンも、ジュリーも、結婚でそれぞれ伴侶を見つけて、キャラクターが変わったじゃないですか(よく考えたらふたりとも2回目の結婚でした)。いわば人間宣言ですよね。だから壇さんも、結婚して人間宣言したのかなって。

 ジュリーは変わっちまった〜! (テーブルドン!)

(一同爆笑)

樋口 そんな世代だっけ!?(笑) あれだけ妖艶だったジュリーも、すっかり年相応のオヤジさんになりましたからね。天才なのは変わらないけど。むかし阿川佐和子さんの対談で本人が「田中裕子的生き方に染まっています」って言っていて。ず~っとカッコ良くいなきゃいけない、っていうことから解放されて、ジュリーは楽になったと思うんです。

 ジュリーは仕事に真摯に向き合っていた結果だと思うんですよ。向き合いすぎて仕事と自分ががっちり同化しちゃって、着ぐるみ脱げなくなっちゃって。それを今の奥さんが脱がしてくれた。でも、やっぱりジュリーは「おはよう」から「おやすみ」までジュリーでいなきゃいけないんです!

樋口 ジュリーは田中裕子さんに出会ってなかったら、とっくにいなくなっていたかもしれない。「みんなが認めるジュリーでいなきゃいけないんだったら、もう俺はジュリーを続けられない」って。

 ジュリー病ですよね。私の場合は、結婚してから、夫を立てるとか、食事をちゃんと作るとか、“妻”としてちゃんとするように心がけていますが、結果としてその妻を“壇蜜”として演じている部分があるかもしれないです。清野さんは逆に私の壇蜜病を支えちゃってるんですよね。あ、でも一番支えてるのはざくろちゃんかもしれない。ざくろちゃん「わ〜お」って言うんですよ。

樋口 誰の影響なんですか、それは(笑)。

 そう言うざくろちゃんや清野さんが、より“壇蜜”の着ぐるみをフィッティングさせてくれちゃってます。
樋口 よりフィッティングですか! ところで“着ぐるみ”で思い出したんですけど、うちの妻も、まだグラビアやってるんです。

 ええっ!

樋口 初めてお茶した時に、手ブラをやっている週プレ掲載号をもらったんですけど、出産後も15kg増えたままの体で『フライデー』のグラビアセミヌードに出たり。止めても無駄だし、やりたいことをやらせてあげようって思ってます。最近も、漫画家の倉田真由美さんと2人でやっているyoutubeの「みわたまチャンネル」に水着で出演してました。

 いいことじゃないですか〜!

樋口 その水着を買うのに僕も付き添いました。もっと胸の谷間を強調できるこっちの方がいい! なんて僕も言っちゃたりして(笑)。

 そういうのがいい! はしたないと言って、渋い顔で止めるより何倍もいいじゃないですか! そうやってお互いの大事なものを守って尊重し合わないと、あっちゅう間に離婚です!  簡単に。

樋口 そうですよね。本当に。

 大事にしている優先順位がまず相手自身にあって、その次にそれぞれの仕事や趣味っていうのが理想ですよね。

樋口 すごいな〜。まだ結婚してから1年弱くらいなのに、結婚のなんたるかを悟っているじゃないですか。
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「清野さんも、いいことばっかりだとキツいからって、大事なものを壊すんです」(壇)

樋口 ところで僕、『壇蜜日記』(文藝春秋)のことで聞きたいことがあって。「2019年6月19日」の記述に出てくるこの人は誰なんだ? と。その部分を読みますね。

「彼はずっと音楽一筋である。その傍らで、演技や演出などをしているという。私が彼を初めて知ったのは、お昼のバラエティ番組だった。奇抜だが美しい容姿は衝撃的だった。今まで見てきたミュージシャンの中で誰とも違う。バンドを組んで音楽を操る姿は魔法使いのようにも見えた。その上、言動もエキセントリックでこの人をテレビで見ることはいいことなのかと言われたわけでもないのにドキドキした。背徳のタネを持つ人だった」(『壇蜜日記』P.95から抜粋)

 それはローリー寺西さんですよ。

樋口 えっ! ローリーさんなんだ……。2019年って、清野さんとお付き合いしている頃ですよね。ローリーさんもいいなと思ったりしたんですか?(笑)

 マリリン・マンソンが嫌いじゃない私からすると、ジェネリック・マリリン・マンソン的な感じで、言葉が通じるし、いい! って思いますよ。お育ちもいいし。

樋口 ジェネリック・マリリン・マンソン!(笑)  ローリーさんって、物事が悪くならないと不安になるそうなんです。ある時、六本木の高そうなお店に飲みに行って1時間10万円ぐらい取られるだろうと思いながら、2時間滞在したらお会計が19万だった。それで、「こんなんでよかったのかな」と思って自分のクルマにトボトボと歩いて戻ったら車上荒らしにあっていた。それを見てローリーさんは「よかった!」って思ったそうなんです。

 清野さんとまったく一緒ですね。

樋口 えっ!  きた!!
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 清野さんも、いいことばっかりだとキツいからって、大事なものを壊すんです。10年ぐらい大事にしているガンプラを床に叩きつけたり、やっと手に入れた師匠の貸本を破っちゃったり。

樋口 ローリーさんとまったく同じだ……。でも、壇蜜さんと幸せな生活を送っていたら、家に火をつけるくらいしないと割りが合わないですよ! 

 だから今は、うちの一番の荒れ鳥と言われているインコの「カーラちゃん」に、積極的に指を噛まれに行ってます。

樋口 ワッハハ!  でも、それでも割に合わないですよ。確かに、指は漫画家にとっての命ですけど、指切ってなんぼです。やっぱり、ニュースで「清野さん、家燃やす」って流れるのを毎日期待したいと思います。あとは、今持っている漫画の著作権をフリーにするとか、ある日、隕石が落ちてきて清野さんにだけ当たっちゃうとか。

 あ〜、なるほど。赤羽のマンションめがけて隕石がね(笑)。
樋口 そうそう。そしたらみんなが「隕石が当たったの清野さんのマンションだって!」「あ〜、やっぱり幸せの量って限られてるよね〜」って思うでしょうね。清野さんにお伝えください。

 ちなみに、最近もう一人似ている人がいて気になってるんです。韓国のプロデューサーで、J.Y.PARKさん。もしかしたらこの人は、ローリー・清野族の亜種かもしれない。笑っちゃいけないところで笑っちゃうタイプだろうと踏んでますね。

樋口 ワハハ!  壇蜜さんは面白すぎるわ。いや〜まいった、まいった。

 いや、ただの普通の人です。

樋口 それは絶対にないです。世間が認めないです。あと僕としては、将来出馬しちゃったりするんじゃないかって思ってます。

 ジェネリック・チッチョリーナ。

樋口 なんでチッチョリーナを知っているの(笑)!? 1980年代イタリアのハードコアポルノ女優で、おっぱい出して出馬宣言して、下院議員になっちゃった人ですよ。

 お父さんの影響です。お父さんドスケベなんで。出馬する時はおっぱい出すもんなんだ!って学びました。
樋口 チッチョリーナは、子供心にホントびっくりしました。当選させるイタリア人も、お前らどうかしてるよ! ってね。今日は、お腹いっぱいです! ありがとうございました。

 こちらこそ、お粗末さまでした。

【対談を終えて】

檀さんごめんなさい。僕は壇さんを誤解していました。世間は檀さんを「頭が良くて綺麗な女性」だと思っていますが、いやいやそんなもんじゃない。壇さんは、こちらが斬られたこともわからないほど鋭利な知性を持つ、「才色兼備の最強女子」。プロレスもガチも両方できる。今回は手玉に乗せてもらうどころか、懐にずっぽり入れさせてもらいました。ああ、それにしてもテレビの掉尾を飾ったのが、マツコデラックス(性別の超越)と壇蜜さん(女性性のデフォルメ)だったというのは、自分の中で自然の理でした。「壇蜜の前に壇蜜なし。壇蜜の後に壇蜜なし」。これからも「壇蜜」業を独占して下さい!

● 壇蜜(だんみつ)

タレント。秋田県出身。1980年生まれ。東京の某有名小中高大一貫女子校を卒業後、ホステス、遺体衛生保全士などを経て、29歳で「週刊SPA!」でグラビアデビュー。2012年頃からTBS「サンデー・ジャポン」を始め、多数のテレビ番組で幅広く活躍。女優として、映画やドラマにも出演する。代表作に、主演映画「私の奴隷になりなさい」、「甘い鞭」など。著書に『壇蜜日記』『三十路女は分が悪い』ほか。日本舞踊師範や調理師の資格も持つ。

● 樋口毅宏 (ひぐち・たけひろ)

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新作は月刊『散歩の達人』で連載中の「失われた東京を求めて」をまとめたエッセイ集『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』
公式twitter https://mobile.twitter.com/byezoushigaya/

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