街頭テレビで力道山に熱中したり、皇太子ご成婚でカラーテレビを購入したころでしょって?(いやだなぁ、それは昭和30年代。40~50年代といえば小・中学生がキャンディーズやピンク・レディーを教室の後ろで踊り狂っていたころです)
チャンネルをひねれば(この「ひねる」という動詞自体意味がわからないでしょう、平成女子には)、出始めたアイドルたちにまじって、幅広タイを巨大なノットでしめた石原裕次郎がブランデーグラスを片手に歌い、菅原文太はまだトラックに乗っていました。
なかでも飯倉の「キャンティ」は六本木族(加賀まりこなど)メンバーがたまり場にしていたことで知られていますが、もう1軒、多くのスターが集まり、壁に落書きをしていたお店が残っています。
石原裕次郎が愛した元祖イタメシ
六本木 シシリア
このイタリア料理が東京で一般的になったのは弊誌調べで昭和30年代。六本木にオープンしたピザハウス「ニコラス」と、これからご紹介する「六本木シシリア」の2店はともに昭和29年のオープン。
当時東京のイタリア料理シーンを牽引する双璧でありました(余談ですが筆者の母は学生時代にこの「ニコラス」で生まれて初めてピザを食べ、どんなに美味しかったか今も熱く物語ります)。
コチラの名物がキュウリを芸術的なまでに薄くスライスした「グリーンサラダ」と四角いピッツァ。初代オーナーが「潜水艦でコックをしていたイタリア人から習った」というもので、狭い窯でも効率よく焼けるように四角くなっているんだとか。
この“昭和イタリアン”はミシュランで星を獲るような派手さはないかもしれませんが、一周回って、いま食べるとかえって新鮮に味わえるから不思議です。
でもたまにはあえての「イタメシ、食べにいかない?」デジタルネイティブならぬイタリアンネイティブたちも、「昭和遺産」扱いするには惜しい、フレッシュな美味しさに心から満足してくれることでしょう。
■六本木シシリア
住所/東京都港区六本木6-1-26 六本木天城ビルB1F六本木
営業時間/16:00~24:00(L.O.23:30)
定休日/なし
お問い合せ・予約/☎03-3405-4653
*2017年6月の情報です。現在は異なる可能性があります。