2017.06.23
昭和のいい女が愛したあの店、あの場所【3】安井かずみの場合
- CREDIT :
文/川田 剛史 撮影/角田 進
安井かずみが遺した指定席

六本木は文化・流行の発信基地だった
キャンティ(飯倉片町本店)
それが作詞家、安井かずみさんです。まだファッションリーダーなる言葉はありませんでしたが、当時の彼女はまさにそれ。ファッションだけでなく、類まれなる美意識、自由奔放かつエレガントな生き方など、すべてが人々の憧れだったのです。
そんな安井かずみさんを語るうえで欠かせない名店が飯倉片町にある「キャンティ」であります。

安井さんは学生時代から梶子さんを慕って「キャンティ」とその一階にあったブティック「ベビードール」(梶子さんが運営。現在はアル・カフェになっている)に出入りし、交流を深めたのだとか。時代を切り取る独自の審美眼、美意識、着こなし方など、エレガントな人生を歩む彼女が独自に得たものは多いでしょう。
でも、その感性が培われたのは「キャンティ」と梶子さんという存在があったからこそ。1990年に製作された『キャンティ30年史』には安井さんのエッセイが掲載されています。その内容はお店の具体的な説明よりも、梶子さんへのリスペクトにあふれたものでした。
「『いい女はね……』と云うのが彼女の口癖だった。(中略)いい女……とは生活レベルでのエレガントな女なのだと、このことは私が肝に銘じたタンタンの名言である」(『キャンティ30年史』)
そんな安井さんがいつも座っていた席は2番テーブル。開店からしばらくして店が増床した後も、安井さんの席と言えば変わらず2番がお決まりだったとか。

ほどよい分量が華奢な安井さんには丁度よい塩梅だったのかもしれません。これなら体型が気になる平成女子にも安心してオススメできそうです。


いまや、「キャンティ」は安井さんの足跡をたどれる、貴重な場所と言えるでしょう。「いい女になれる指定席、座ってみない?」なんて誘い文句で、平成女子を「キャンティ」にご招待してはいかがですか?

■キャンティ 飯倉片町本店(レストラン/B1F)
キャンティ 飯倉片町本店(レストラン/B1F)
住所/東京都港区麻布台3-1-7
営業時間/11:30~23:00(L.O. 22:00)
定休日/日曜
問い合わせ/☎03-3583-7546