2021.04.22
福田萌子のいいオトコ論「等身大で生きている人に惹かれます」
日本一発信力のあるバーのマスター、林伸次さんが巷の美人さんの本音を聞き出す人気連載『美人はスーパーカーである』の特別編として、初代バチェロレッテ・福田萌子さんをお招きしました。女性から絶大な支持を受ける福田さんの考える「いいオトコ」を聞き出します。
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写真/内田祐介 文/木村千鶴
そんな、自分の芯をもちながらもしなやかに活躍する福田さんの考える「いいオトコ」とは? 恋愛とは? 日本一発信力のあるバーのマスターにして作家の林伸次さんが話を伺いました。
他人とは比べない。心がけているのはベストな自分
「よろしくお願いします」
── 実はウチに通ってくださるお客さんたちにも、福田さんのファンが多いんです。特に、仕事も趣味も全力で楽しんでいるような女性たちに、とても支持されています。きっと見た目の美しさも憧れられる理由だと思いますが、ご自身では見た目についてどう思っていますか?
「ありがとうございます。でも、私は自分のお顔はいわゆる正統派の美人ではなく、ファニーフェイスだと思っています。モデルの仕事で海外に行くと、アジアの人というのは、表現における一つのアクセントでしかないんですね。私も多分、その路線です。でも、誰かと比べる必要はないと思います。だって、誰だってそれぞれの綺麗さがあるじゃないですか 」
── あ〜、そう思ってらっしゃるのは素晴らしい。
「そして、ありのままの素材も素晴らしいけど、例えばね、プロにメイクしてもらったら、自分のお顔でもまた違った一面が見えますよね。私も、メイクで綺麗にしてもらって褒められたら『本当?良かった!』ってうれしく思うんです。生まれ持った顔、目や鼻の形がどうこうではなく、そこにある事実が美しい。それから、時代によっても国によっても美人の概念は変わります。いろんな国の人と接していると、『美人って一体なんだろう』って思うようになりますよ」
── 多様な美しさを見つけて、受け入れる姿勢を持っているんですね。 人前に立ってみんなに見られる仕事をしていると、綺麗ってなんだろうってきっと毎日思うんじゃないかと想像していたんです。それが行き着いた答えでしょうか。
「そうですね、うん。他人と比べても仕方がないから。もちろん、綺麗な姿勢とかスタイルというのはあると思います。それは常に自分のベストで綺麗にいようとする、その心がけ次第で出来ることじゃないでしょうか」
── 確かに、“自分のベスト”なら誰でもできること。男性にとってもその心がけは大切ですよね。
私にとっては“人として深みがあること”が大切なんです
「タイプは特にないですね。誠実か、人としての深みがあるかどうか、が重要です」
── 恋愛の始まりはどうですか? 福田さんから好きになることが多いか、相手から言われることが多いか。
「私、自分から好きになることがあまりなくて。人として興味があったらお食事や遊びに誘いますが、そこから一歩踏み込んだ関係になるには、相手から来てもらわないと、なかなか恋愛にならないんですよね(笑)。ちなみに、相手に興味を持つときは、性別も、未婚でも既婚でも関係ないです。もちろん、パートナーがいる人を選ぶような倫理的に反したことはしませんけど」
── なるほど。本当に”人として好きかどうか”なんですね。じゃあ、福田さんにとって、結婚と恋愛はつながっていますか? ちょっと前までの日本では、恋愛の先に結婚があると半ば当たり前のように言われていましたが、現代の感覚だと、必ずしも結婚は人生の選択肢の中でマストではない。たくさんの恋愛をし続けるのも人生かもしれませんよね。
── そこまでお子さんを望むのはどうしてなのでしょう?
「理由はひとつじゃないですが、女性として生まれたからには、それを経験してみたい。そもそも子どもが好きですし。この世の中の美しいものを一緒に見たり体験したりしたいです」
── ご自身のお子さん、という形でのお話でしたが、この人の子を産みたい、この人の遺伝子が欲しい、と思ったことはありますか。
「ありますあります。好きな人にはそう思うんじゃないですか?」
── すると、恋愛する時には気持ちが盛り上がって愛が溢れるタイプですか⁉
「そうですね、愛したら、凄く愛します。でもまぁ、ハイティーンの頃の恋愛では、子どもが欲しいとは思っていなかったですよ(笑)。まだ自分も子どもですし。私の場合、子どもが欲しいというフェーズになったのは、30代目前の時。そうして自然と『あ、この人の子どもが欲しい』と感じるようになりました」
── わあ〜、熱い恋愛もされてるんですね。
恋は3年で冷めるなんて、信じちゃダメ(笑)
「マッチングアプリで付き合うのは効率的だと思いますよ。自分はどんな相手を好きになるのかは、ご自身で知っているはずだから」
── 「効率的」というのが、まさに今らしい感覚で、転がり落ちるような恋がちょっと鳴りを潜めているように思うんです。
「その転がり落ちるような恋って、少女漫画にあるような、本屋さんで手が当たって〜☆みたいなのですよね(笑)。そういう恋愛が上手くいくかは、運によるところが大きいかなと。マッチングアプリでは付き合う前にある程度相手のことがわかっているし、そこから本当に恋に落ちるというのもアリだと思います。自分がどういう人を好きなるかちゃんとわかってるって、素晴らしいことじゃないですか」
── では恋とか出会いも、コントロールできる今の時代の方が、効率が良くていいですか? 今までみたいな、隣に偶然座って恋に落ちるみたいなことよりも。
「いえ、それもいいと思います。幅が広がるだけですよ。マッチングアプリなどの登場で選択肢が増えたというだけで、それだけがすべてじゃない。いつの時代にも、偶然始まる恋もあるはずです」
「いや、私だってできることならやりたいですよ。というか、公開でやったじゃないですか(笑)。『バチェロレッテ』はそういう番組でした。マッチングアプリと違うのは、参加者を私自身が選択していないってところですけど」
──そうでした(笑)。福田さんは結局、どなたともマッチしなかったですよね。自分で選択していない方式では出会えない? やはりお相手は自ら選択する必要がありますか?
「う〜ん、ただ、タイミング良く出会わなかった、ということじゃないでしょうか。『バチェラー』ではその方法で出会って結婚した人もいますから。これはもう、タイミングとご縁なので、色々とやった方がいいと思うんです。何十人と会っても気持ちが乗っていなくてうまくいかないことだってあるだろうし、双方の気持ちがハッピーでノリノリな時だったらすぐ恋に落ちるかもしれない。これね、お付き合いしている人がいる、結婚しているというのは奇跡なんですよ、皆さん(笑)!」
── 確かに奇跡ですよね! ですが、そんな奇跡が起こっていたとしても、恋愛感情って3年くらいで終わってしまうという説があるんですよね……。
「そうなんですか? 皆さんね、そういう言葉に惑わされすぎですよ! マンデーブルーとかマリッジブルーとかもそうですけど、誰が決めたんですか、ダメですよ、そんなこと言ってちゃ(笑)。それは自分に暗示をかけているだけで、そんな言葉はないです!」
──ありがとうございます。この言葉でみんなが自信をもてますね(笑)。
「もちろん、ず~っと同じ関係でいられるとは思っていません。恋の初期の燃えるような経験をして、そこから長い時間を過ごす中で、一緒にいて落ち着くような関係になって。例えば、子どもを介して絆ができ、チームとなってこの子を守るような、人生の段階をひとりの人と重ねていけるって、幸せじゃないですか」
── そうですね。家族でチームになる感じはわかります。
相手ときちんと向き合って、等身大で生きること
「はい。お食事で大丈夫だと思います。ただ、その女性の趣味や好みをしっかりと把握して、その人に合った誘い方をした方がいいです。例えば、アクティブな趣味のない人に『今週末お天気がいいから、丹沢の標高2000メートルの山に登ろうよ』って言ったら断られますよね。でも私だったら、『なんて素敵なお誘いなんだろう!行く行く!』ってなるんです(笑)。その人が何を好きで何を求めているか、相手のことをちゃんと見て、誘えばいいと思います」
── そうか、男性って自分のいいところを見せたくて、つい“俺が知ってるお店、景色、クルマ”などを披露したくなるんです。でもそうではなく、相手の好みに合わせて誘った方が喜ばれますよね。それをちゃんと聞かないといけないなあ。
「でも、もう知ってるはずですよね。だって、相手のことを気になっているんだから、好きになっているんだから。その人が何に興味があるかを感じ取る機会はあるはずです。ちゃんとそこに注目すればいいんだと思いますよ」
──確かに、それは間違いないはずです。男性陣はちゃんと相手の話を聞きましょう(笑)。それから、ちょっと抽象的な質問になってしまうんですが、福田さんの思う「いいオトコ」ってどういう人ですか。
「自分というものを理解している人。これは男女ともに共通します。自分自身を必要以上に謙遜することもなく、見栄を張って大きく見せることもなく、ありのままの自分で、自分というものを持っている人でしょうか。出来ないことは人に教えを乞うこともできるし、謝ることもできる。だけど、自分がやってきたこと、自信のあることには、ちゃんと胸を張って言えるような、本当の等身大で生きている人だと思います」
「皆さん自分に厳しすぎるんですよ(笑)。〜ねばならないとか、逆にこうだからできないとか。大抵はフレキシブルでOK。自分の軸さえ持っていれば大丈夫。その軸がわからないまま細々とした『ねばならない』に囚われて、自分自身でがんじがらめにしているから苦しくなるんじゃないでしょうか」
── なるほど。その軸がなかなか見つからないのかもしれません。
「そうですね。人生は一度きりという言葉をちゃんと噛み砕いて、自分の中に落とし込むといいと思います。でも『人生一度きりだから楽しんじゃおう!』って後先考えずにシャンパン抜くとかじゃないですよ(笑)。そんな軽いものじゃない。
本当に、人生は一度しかやってこないんです。だから、自分の大切なものを大事にして、好きなお仕事をして、好きな人たちと一緒にいて、自分のすることに意味を持たせてあげる。どうしてお水を飲むのか、なぜ美味しいご飯を食べるのか、すること全てに意味を持たせることが大切かなって、私は思います」
【林さんから〆のひと言】
● 福田萌子(ふくだ・もえこ)
沖縄県出身、モデル。世界遺産を走り抜くスポーツトラベラーとして発信も行う。恋愛リアリティー番組『バチェロレッテ・ジャパン』の初代バチェロレッテ(Amazon Prime Videoで配信中)。adidas Global Ambassadorや女性のためのマルチスポーツコミュニティのリーダーも務め、2018年にはWoman in Sports Award『スポーツを通じて社会貢献をしている女性』を受賞。
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月~土 19:00~24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。