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2021.04.29

武田真治「見た目だけの美しさには興味がない。性能あってのフォルムでないと意味がない」

90年代に元祖“フェミ男”として一世を風靡した中性的な容貌から一変、その見事な筋肉美で活動の幅を広げている武田真治さん。そんな誰もがうらやむ「理想の見た目」を手に入れた現在48歳の彼が考える、“令和のいいオトコ”とは?

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写真/内田裕介 スタイリング/伊藤伸哉 ヘアメイク/長野一浩 文/大出剛士

舞台やドラマ、バラエティだけでなく、最近ではそのストイックなトレーニングによる筋肉美で注目を浴びる武田真治さん。「みんなで筋肉体操」(NHK総合)において披露した肉体は、90年代に元祖“フェミ男”として一世を風靡した中性的な容貌や繊細なイメージとのギャップに、大きな話題となりました。また最近ではヤーマンの美顔器のCMキャラクターにも抜擢され、その美しさが再び注目を集めています。アラフィフになった今、武田さんが身をもって体現する“令和のいいオトコ”の条件を伺いました。

必要に迫られて始めたトレーニング

—— 身体を鍛えて、大きく変わったことは何でしょうか。

武田 僕がトレーニングを始めたのは20代後半。顎関節症になり、その際に医師から顎だけに力が入ってしまう癖を治すべく身体全体の筋肉をつけるように勧められたのがきっかけでした。

もし体調を崩さずそのまま芸能活動を続けていたら、今のように身体を鍛えることはなかったでしょうね。おそらくそのまま消費され続けて、情熱も失われ、今のように芸能の仕事を続けられてはいなかった可能性の方が高いと思います。僕の世代には今でも活躍しているスターがたくさんいますし、時代に淘汰されるのは時間の問題だったでしょう。

—— トレーニングは必要に迫られて始めたのですね?

武田 はい。だから、今ではあの時期に体調を崩したことが良かったとさえ思えます。タイムカプセルに体調を崩した時の悔しさと情熱を筋トレで閉じ込めて現在まで持って来られた、そんなふうに考えています。50歳間近で一般的にはどうしても肉体的なパワーは落ちてくる中で、まさか自分の特技がベンチプレスだと知るとは思っていませんでしたから(笑)。

いま、体内年齢は20代後半くらいという数値が出ているんですが、そのことで得られたのは、初対面の人にも“この人は仕事に穴をあけない、やるべきことをやってくれる”と認識してもらえること。それは大きな仕事のチャンスにつながります。普通に暮らしていてもぎっくり腰になってしまうような年齢の僕でも、数多くいる芸能人の中で、今、陳列棚の割と目立つところに並べてもらっている、勝負の土俵に立たせてもらっているというのは幸運だと思っています。
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性能を追求した結果の美が僕の理想

—— “元祖フェミ男”と呼ばれた時代から何十年かを経て、ここ最近の“ジェンダーレス”というキーワードと武田さんへの注目が改めてリンクしている気もします。

武田 時代の先を行ったつもりもなければ、追ったつもりもありません。男とか女とか以前に、体調を崩してしまったことで、人として生きるためにやらなければいけなくなった筋トレによる肉体がたまたま注目され、ラッキーでしたね。

—— 武田さんは、とてもその年齢には見えない美肌を保っていますが、普段やっているスキンケアは?

武田 実はほとんど何もやっていないんです。15年くらい前に鼻にニキビができて以来、ずっと通っている家の近くの皮膚科で処方される化粧水と乳液、保険適用なので3カ月分で2000円くらいのものを使っているだけ。その病院で検査してもらったら、僕は乾燥肌で油性肌という肌質でした。なので基本的にはそこで処方されたものだけを使っています。でも皮膚科に通えない時には、普通にスーパーで売っている安価なクリームを塗ることもしばしば。僕のスキンケアなんてその程度です。あとは特別なことかどうかわかりませんが、日焼け止めはよく塗るほうかなとは思います。

それから、CMにも出させていただいている、ヤーマンの美顔器の中で特に「メディリフト アイ」を気に入って使っていますね。目の二重の幅が分かりやすく変化するので使用頻度は高めです。
—— それは意外ですね。武田さんといえば、高級スキンケアをライン使いしているイメージがありました。

武田 良く訊かれるのですが、実は見た目の美しさを作ることにはあまり興味がないんです。体調を崩したことで、自分の体力や運動能力を根底から見直し鍛えなきゃいけなくなり、それが結果として今のような体形に繋がっただけなので。見た目だけを追求すると、実際結果は意外と現れづらいものではないでしょうか。例えば、オリンピック選手の肉体がとても美しいのは、極限まで能力を突き詰めたからこそ。僕に理想があるとすれば、性能を追求した時に結果、ついてくる美しさですね。

—— なるほど。

武田 フェミ男と言われた頃の僕は、見かけ倒しだったから、見る人が見たら好感が持てなかったかもしれません。細い体形でチビTを着ているよりも、普通にTシャツを着たらパツパツの方が絶対カッコいいですからね(笑)。

—— これから年齢を重ねることへの恐怖はありますか?

武田 食べすぎ、飲みすぎ、栄養不足、睡眠不足さえ気にしていれば、年をとることは怖くないと思っています。これからもう少し知識を深めたいことは、サプリメントの分野ですね。日本人はタンパク質が足りないと言われていて、僕の運動量では肉を最低600g食べないといけないらしいのです。でもこの年齢ではそれを毎日摂り続けるのはなかなか難しい。

その点、プロテインならスプーン3杯×3回くらいで摂取できるという手軽さがとにかく効率的で、そんなところに大変興味があります。ここ2カ月くらい前からパーソナルトレーナのビースト村山さんがYouTubeで紹介しているサプリメント(ビタミンB、ビタミンC、ビタミンÐ、ビタミンE、アシュワガンダ、アルギニン)を飲み始めて、体調がとてもいいです。それにプロテインを毎日摂るようにしています。
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85歳くらいまでは働き続けたい

—— 普段の食事には相当気を使っているのでしょうか?

武田 これも期待を裏切ってすみません(笑)。実は僕、一切食べたいものを「我慢をしない」んです。食べた分だけ体を動かすという「努力をする」だけ。なので食事制限はまったくしないんです。だから撮影現場で差し入れられた甘いものを食べていると、みんなに驚かれます。

口は美味しいけど、実はもうお腹はいっぱいだって感じること、誰にでもあるでしょ? 本当に体が欲しているのかどうかを自分の身体にきちんと問いかけて、それに従うだけで体形は随分と改善されると思いますよ。ちょっと食べ過ぎてしまいそうな時は、僕はお酒が弱いので、あえて飲むことで酔っぱらって食欲を睡眠欲に転換させてしまいます(笑)。もしかしたら僕はとてもつまらない人間かも。でもそれが自分にとって、とても心地いいバランスなんです。 
—— 50代を間近に迎えて、どんな風に年齢を重ねたいと思っていますか?

武田 僕が尊敬している大先輩、俳優の市村正親さんが実は72歳ですが、まったくそう見えずにとてもお元気です。お正月にご挨拶のLINEをしたらスノーモービルに跨った姿で「あけおめ!」って返事が来て、本当にカッコいいなと。

人生100年と言われる昨今、65歳で定年というのは早すぎる。僕はできれば、85歳くらいまでは働きたいです。それくらいまで現役だったら、やっと周りにも偉そうにできるかも(笑)。というのも自分は北海道から出てきて、芸能活動をしながら夜間の都立定時制の高校に通っていたのですが、その頃は給料が安くてとにかく貧乏で、学校の給食や学費など、おそらくずいぶんと税金に助けてもらったんだと思います。のたれ死んでもおかしくないような状況で、夢を追うことができたのは、きちんとした制度のおかげ。だから恩返しの意味でも長年働き続けて、税金はしっかり払い続けたいのです。

—— 今後もその見事な体形を維持し続けるのでしょうか?

武田 体形を維持するという考えは持たずに、今やっているトレーニングメニューは60歳まで続けることは一つの目標です。性能を維持、向上させることで、結果的にある程度の体形でいられたらなと思っています。
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エネルギーをポジティブに循環できる人はカッコいい

—— 武田さんが考える、憧れるいいオトコとはちなみに誰でしょうか?

武田 たくさんいますけど……日本人で言うなら、最近自分が結婚してみて改めて思うのは、木村拓哉さんかな。あれだけの芸能活動を第一線で長年続けていても決してブレない。先にお話した通り、体調を崩したり、心荒んだ時期のある僕からしたら、どうしたらそんなことができたのか不思議なくらいです。

—— それでは、“いいオトコ”の条件っていったいなんでしょう。

武田 オトコに限らずなんですが、出会いのエネルギーをいい方向へ導ける人、かな。わかりづらいですよね……例えば、最近起業する人も多いですが、社員を雇うとなると、仕事を覚えてもらうまでその存在は“足かせ”になりかねないもの。それをちゃんとリーダーシップをとって、太く強く未来に向かっている人、向かわせることができる人は、男女問わずカッコいいと思います。

家庭でも仕事場でも、弱きもの・未熟なものに元気や希望と乗り越えられる課題を与えて、自らもその関係からエネルギーを得ている人は、ただ見た目だけ美しい人よりとても魅力的です。どんな状況でも、自分と関わった人とエネルギーをポジティブに循環できる人は輝いて見えます。そんな人間になりたいものです。
—— 最後にLEON.JP読者にメッセージをいただけますか。

武田 これから趣味を持ちたいと思っている人は、「本番がある趣味」を持つことをオススメします。僕は長年サックスをやっていますが、ライブや番組収録があることで続けられてきたし、上達もしたと思っています。追求し続けたいものがあることは、若さや情熱を保つために必要なのではないでしょうか。ですから、野球なら試合、ゴルフならコースに、バイクならツーリング、ピアノなら発表会など、他者と予定を合わせて、なにかしらの結果を出さなきゃいけない本番があれば、その日に向かって努力しますし、人と交流することで人間関係も広がっていきます。

それは仕事そのものや仕事に向かう姿勢にかなり影響するものだと思っています。モノを集めるという収集そのものが趣味だという人も、ただ集めて終わりということだけでなく、数年に1回は展示会をやるとか販売会をするなど、その趣味を通して人と共有することがあれば、家庭内でその趣味に対する理解も得られやすいのでは。大きすぎる目標は立てずに、何か小さなことでも結果が出る趣味を持つことで、己を鑑み、充実した生活へと繋がっていくのではないでしょうか。

●武田真治(たけだ・しんじ)

1972年北海道出身。1989年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞し、翌年俳優デビュー。「NIGHT HEAD」や「南くんの恋人」など話題作に出演し、注目を集める。1995年、蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』で舞台初主演。映画『御法度』(大島渚監督)では日本アカデミー賞優秀助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞をダブル受賞。ドラマ、映画、舞台と多方面で活躍。また、サックスプレイヤーとしても『Blow up』でデビュー後、数多くの作品をリリース。近年ではNHK「みんなで筋肉体操」が話題になり、2018年、2019年と2年連続で「NHK紅白歌合戦」に出演。2020年は芸能生活30周年を記念してアルバム『BREATH OF LIFE』を9月9日にリリース。

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