2019.09.14
元バブル女子だからわかる! デキるオトコのレストランマナーとは?
女性をどうやってエスコートする? 彼女が遅れてやってきたら? 支払いはどのタイミングで? 元バブル女子が教える、レストランをスマートに楽しむためのマナー術。
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文/秋山 都
そのころ、休日のデートといえば男性が迎えにきてくれて、帰りは自宅まで送ってくれる"完全エスコート"が主体。男女雇用機会均等法が制定される前後の80年代、いまのように「デートは割り勘が基本」ではなかったし、女の子はもう少し庇護されていた存在でした。でも、だからこそ、当時のオトコたちは自分を一生懸命磨き上げていたんじゃないかしら。
いま、女性が男性と同等に強くなったこと自体はありがたく、歓迎すべきことだと思います。でも、だからといって男性が女性を大切に扱わないという法はありません。なにも高価なプレゼントを贈れという話ではなく、ほんのちょっとした仕草やひと言の言葉をかけることで両者の関係を円滑に運ぶマナーの話です。やってみて損はありません、なにしろ「マナーは無料(タダ)」ですから。
◆ 女性を軽く押し出すようにドアをあけて
しとやかな日本女性は先に立つことを遠慮するかもしれませんが、そのときは腰のあたりに軽く手を添えて押し出すようにすれば見た目にも美しくエスコートできるでしょう。ちなみに、女性を先に立たせるのは、入店時だけではなく、席につくまで。これは無防備になりがちな背後を守るためだと、某三ツ星フレンチの支配人が教えてくれました。
ちなみに席は、女性が奥の上座を占めますが、夜景が見える窓際のテーブルであれば、窓を望む手前に席をとる場合もあります。また手前がソファー席の場合はそちらが上座になることも。判断に悩む場合には、お店の人に聞けば助け舟を出してくれるでしょう。
◆ 女性を迎えるときは立ちましょう
1. 「遅かったね、大丈夫?」と気遣う。
2. 「何飲む?」とメニューを渡す。
3. 立ち上がって迎える。
正解は(3)。これができる日本の男性は少ないのですが、イメージは"社長が参加する会議"です。あなたは社長が参加する会議に遅刻しないでしょうし、社長が入室してくる際に座ったまま迎えることはないでしょう。「僕の彼女は上司じゃないし」って? ごもっとも。
でも女性を敬う小芝居(マナーって小芝居なんです!)をしているうちに、両者の間に、尊敬や恋心、愛情が醸成されていくのではないかしら。恋愛も大いなる勘違いのひとつなんじゃないかなって。
この、女性が来たとき起立! は007シリーズなど英国の映画でよく見られるシーン。「遅れちゃったかな、ごめんなさい」と入ってきた女性からすれば、ジェントルに立って迎えてもらえたら、間違いなく胸キュン♡する紳士の上級テクです。
◆ ジャケット、脱いでもいいですか? のひと言
まず気温に応じてジャケットを脱ぐこと自体がNGではないのですが、その際には必ずひとこと「脱いでもいいですか?」とお相手に尋ねましょう。元来シャツは下着なので、黙って脱ぐのはちょっと失礼かなと。同じ理由でネクタイもはずしちゃダメだし、おしぼりは……言うまでもないですよね。ここも前と同じく「社長が参加する会議」イメージでお願いします。
ちなみに食事中のお手洗い利用はなるべく避けましょう。食事前、またはデザートの前のタイミングで行くのがスマートです。また、いくらお腹がすいているといっても、ひとりでパクパク先に食べ終わるのもかっこ悪い。ふたりが同じタイミングで次のお皿へ行けるよう、食べるスピードが早い場合には数口分残して相手を待つのもマナーのひとつです。
◆ 支払いもスマートに
でも「割り勘にしたいんだけど」って? その場合には、女性に「~~円だったよ」と後から伝えてはいかがでしょう。テーブルで紙幣のやりとり、あまり美しいものではありません。
ここでちょっと意地悪な本音を。よく会計時に「あ、私も払います」とお財布を出す女性がいますが、その多くが内心「お願い、私に払わせないで」と思っています。
「払う」といって財布を出しておきながら「払いたくない」と思っている、この裏腹感。これまたひとつの処世術ですし、そのようなしたたかな女性がお好みであれば(実際そういう女性の多くがよい奥さんになります)よいのですが、より善良な女子であればその場は「ごちそうさまでした」と好意を素直に受けとり、「じゃあ食後のお酒かお茶は私が払うね」となるか、後日なんらかの御礼が届くでしょう。
さらに元女子として理想をいえば、女性には高級レストランじゃなくてもいいから、ときどきでいいから、可能な範囲でご馳走していただきたいものだと思います。魅力的な女性であればあるほど、ネイルにまつげ、お稽古ごとや自分磨きにずいぶんお金がかかっています。
もし奥さんだったらなおさら、日頃の家事や育児……ずいぶんお世話になっているんじゃないですか? レストランはお腹を満たすだけではなく、人と人との関係をさらに密にするための劇場でもあります。冒頭で「マナーは無料(タダ)」と言いましたが、かかったコストのパフォーマンスを上げるためにも、マナーという小芝居がその時間をより濃密に、おいしくさせてくれるのでは、と。なにごとも「気は持ちよう」です。
● 秋山 都 / 編集者・ライター
富裕層向けライフスタイル誌「セブンシーズ」、女性ファッション誌「Harper's BAZAAR日本版」、「東京カレンダー」誌で編集長を歴任。アマゾン・ジャパンでファッション・エディトリアル・ディレクターを務めたのちに独立。主なテーマに食べること、飲むこと、旅をすること、および女性のコンサバティブなファッション。趣味は乗馬(エンデュランス競技)と犬の散歩、はしご酒。地元である東京、谷中・根津・千駄木(通称谷根千)の地域メディア「rojiroji(ロジロジ)」を夫とともに主宰。