2018.03.03
大人のオトコが、ジャニーズのモテ方に学ぶべき点とは?
いわゆる男らしさとは別の魅力で多くの女性の心をときめかせているジャニーズのタレントたち。最近は40歳を超えるアイドルも多いなか、大人の男として学べることがあるかも!?
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文/紺野美紀
40代でもアイドルであり続けられるのは日本独特
「そういった現象は、基本的に日本独特のものだと僕は思っています。ジャニーズには、もちろん歌手だけでなく、俳優や司会などさまざまな場で活躍している人がいますが、本来はやっぱりアイドルだと思います」(関さん以下同)
嵐の二宮(和也)さんがアカデミー賞受賞の際に「自分は役者である前に嵐というアイドル」という発言をしたこともあります。30代、40代でもアイドルであり続け、そのファンもまた幅広い年齢が多いのがジャニーズの特徴といえます。
日本ではその大人と子どもの境界がゆるやかであるようです。“少年の心”をもっている男性が魅力的とする文化が日本にはあります。
「確かにそれが男性に対する見方のひとつであることは間違いないですね
ファンがタレントを育て一緒に歳をとっていく
「宝塚もそうなんですが、ファンはそういう早い段階でお気に入りを見つけて、下手でもいいから育っていく過程を見守りたい……という人が多いですね。これが同じアジアでもKポップになるとまったく違います。彼らは数年にわたって練習生とか研究生という形で訓練をして、パーフェクトな形になってから表に出てきますから」
この“育てる”という身内感覚に日本独自のアイドルシステムのポイントがあるようです。
「ジャニーズのファンクラブを“ファミリークラブ”ということからも分かるように、まさに家族なんだと思います。だから、卒業しない。ファンもタレントと一緒に歳をとっていきます。自分の娘と一緒に応援しているというファンが多いのもそのためなんですね」
光GENJIとSMAPの間に境界がある
「ジャニーズでいうと、光GENJIとSMAPとの間あたりに境界があると思います。木村拓哉さんはその両方に足をかけていて、ある意味、カリスマ性のある古典的なアイドルの最後の形なんじゃないかなと僕は思っています」
「バラエティ番組で“素”を出すことで、アイドルが雲の上の人ではなく、身近な存在になったことはあるでしょう。“会いに行けるアイドル”をコンセプトにしたAKBが時代の象徴になったのも今のアイドルのあり方を大きく変えた一因だと思います」(関さん)
昔は“このスターと結婚したい”という熱狂的なファンが多かったようですが、今のジャニーズファンはとても現実的なようです。
「ファンの人たちには結婚している人も多い。コンサートにカップルで行くという人もいますから。だから、たとえタレントの熱愛が発覚しても寛大です。でも、相手のチェックは厳しいですよ。だって、ファミリーなんですから、ファミリーにふさわしくない人は認めません。“○○くんにはふさわしくない”ってなるんですね」
ジャニーズはストレスを発散するレジャー
「今のジャニーズファンは、かつてのようにスターに夢中になり過ぎて日常がおろそかになるということはありません。彼女たちにとってジャニーズはひとつのレジャー。うまく日常生活に取り入れて、ストレスを発散しているんですね。
平壌オリンピックで湧いた日本ですが、そこにもジャニーズ人気に通じる文化が垣間見えるそう。
「ジャニーズにもさまざまなグループがありますが、日本ではグループ、チームというのは人気です。オリンピックでも団体競技は人気がありますよね。西洋人みたいに個人の力強さよりも、ひとりひとりの個性がグループ(チーム)のなかで補い合って力を出すことに感動するんだと思います。1+1+1が10くらいになるという」
年齢不詳なゆるやかな歳のとり方はお手本に
「これからの30代、40代の男性は、ジャニーズのような歳のとり方が主流になっていくような気がします。“永遠の少年”である必要はないけれど、年齢不詳というのがひとつの魅力にはなるんじゃないでしょうか。それは、いつまでも子どもというのではなくて、ゆるやかな歳のとり方ですね。
もちろん、大人の振る舞いやファッションのパターンはありますし、それはそれで魅力だと思います。ただ、歳のとり方が一様ではなく幅が広がるんじゃないかなと思っています」
ジャニーズのタレントたちが年齢を自虐的に語ることもありますが、その肩の力が抜けた自然体な姿がまた魅力的にうつるのかもしれません。やはり、大人の男としても彼らに学ぶべき要素はあるようです。
● 関 修(せき・おさむ)
現代思想学者。専門は、フランス現代思想、文化論(主にセクシュアリティ、精神分析理論、ポピュラーカルチャースタディ)。明治大学法学部非常勤講師。2014年、明治大学で行われた「嵐のPVを見るだけの授業」が話題に。『美男論序説』(夏目書房)、『隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像』、『「嵐」的、あまりに「嵐」的な』(共にサイゾー)など。