という実に頼もしい本なのです。これは気になる女性に好意を伝える時にも使える=モテる!ということで、さっそく野呂さんをお訪ねしました。
人間の能力の差は微差。でも微差こそ大差
それはちょっとしたコツを知らないから。僕はただ、小さな気遣いができるかどうかの違いだと思うんです。ほんの少しの気配りや言葉の選び方なんかの、一ミリのところに差が出るんだと思う。
そもそも恋愛でもビジネスでも、競い合う相手の中で相対的に良い結果を得られればいいわけで、世界で一番を目指すわけじゃない。例えば気になる彼女にどうにかして好意を伝えたい。そしてあわよくばお付き合いしてもらいたいと思った時、その目標に対してどう詰めていくか。その道筋をどこまで気を遣って考えられるか。そこで小さな気遣いの積み重ねで大きな差が付くわけです。そう、LEON的に言えば「微差こそ大差」なんです。
例えばダメな例。よく業界にいるんだけど、女子ウケしそうだからって、大して親しくもない女性に最初から「アマンのプールに行かない?」なんて言っちゃう人。普通、相手は引くでしょう(笑)。
何回かご飯にでも行って、ちょっと近い関係になって、手ぐらい握っても怒られないかな、怒られちゃっても修正効くだろうってグレーゾーンを作ってからならいいけれど。急に一足飛びでドーンといくと、これはダメですよ。
会話を自分のカッコつけのツールに使うな
だから僕は、一気に距離を縮めようとするんじゃなくて、効率よく縮めていく戦略に変えました。1打目から7番アイアンを使うとかね。修正が効く範囲で刻んでいくんです。それが僕の戦略。
会話もこれに似ていて、最初に大きい話をしてしまうと取り返しがつかなくなることがある。「アマンのプールだったら来るだろ」みたいな会話は、現実を冷静に見ないで、ただの自分のカッコつけのツールになっちゃってる。「俺カッコいいだろ」って言いたいだけ。
大体、カッコつけてる人は自分のことしか考えてないことが多い。でもそれは相手からしたらいい迷惑ですよね。会話は人との距離を縮めるためにあるはずなのに、相手のことを考えずに、自分の欲を押し付けるだけだったら受け入れてもらえるわけがない。
例えばセクハラで女性に訴えられるのも一緒。これはあくまで個人的な意見ですが(笑)、そういう人って意外に自分がイケてると思っている人なんじゃないかなと。
芸能人でも、不倫したら人生が狂ってしまう人もいれば、ビートたけしさんのようにキャラで許される人もいる。同じことを言ってセクハラで叱られる人もいる。ちょっと自信過剰になってしまって相手のことを考えられないままいろんなことをすると、変なことになるんじゃないかなと。
女性には、自分のために時間を使ってくれてありがとうと思え
女性を食事に誘った時でも、「よく来てくれたな、自分に時間を使ってくれたな。ありがたい」とそう思わないとダメなんです。だって来てくれたらうれしいじゃないですか(笑)。それだけで幸せなはずなのに、自分がイケていると思ってしまうと、ギュンと一歩踏み出しちゃう。
“クオリティの高いお店に連れてきた俺、偉い”みたいな勘違いをしちゃってね。それ、俺が偉いわけじゃないから。お金なんて誰でも払えるんです。それこそ借金してでも見栄を張ろうと思えば払える。
例えばスポーツカーに乗っているのと、運転が上手いのとでは話が違うでしょ? 高級外車に乗っていても運転が下手だったら迷惑なだけ。軽自動車だって上手な運転で紳士的に乗っていれば人には好かれると思うんです。
有名なブランドの服を着ているのと似合っているのも違う。自己満足じゃ人には伝わらない。肩書も持ち物も関係ないんです。
極論ですけど、遭難して無人島にたどり着いたらどうするか。下手したら言葉も通じない誰かと一緒かもしれない。そうしたらジェスチャーでもなんでも使って、必死に助け合って一生懸命コミュニケーション取るじゃないですか。
でも、都会に住んでいるとそれに気付かず、根本的な気遣いみたいなものが足りなくなる。それ故に勘違いが生まれ、自分を過信して傲りが出てしまうんです。
俺にじゃなくて、お金とか人脈に寄ってきたんだなと気づかされて
やっぱり自分でも傲っていたなと思います。その結果、30代でいろんなものを失った時期があって。そこで気づかされた。昔を思い出したんです。
僕は小学生の時、全然モテなくて、バレンタインのチョコもひとつももらえなかった。だから銀座でみんなが寄ってきたのも、「これ俺にじゃなくて、お金とか人脈に寄ってきたんだな」と。本質として好かれたんじゃないなと気づきました。
キャバクラのお姉ちゃんとかに、「野呂さんすご〜い!!」って言われても、俺が凄いわけじゃなくて、シャンパンを入れるお金が凄いってだけで(笑)。俺と酒を飲んでることがうれしいのかって言ったらそういうことでもない。
それが見出せたのが30代後半からです。今もモテている訳じゃないけど、それでも努力すればみんなが本当に相手をしてくれるってことはわかった。相手の気持ちを考えること、感謝の気持ちを忘れないことは本当に大事です。感謝の気持ちを持っていれば相手に失礼な態度は取らないですよね。
※後編に続きます
●野呂エイシロウ
1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。放送作家・戦略的PRコンサルタント。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ! 鉄腕DASH!!』『奇跡体験アンビリバボー!』『ズームインスーパー』などにたずさわる。30歳の時から“戦略的PRコンサルタント”としての仕事をスタート。クライアントには「SoftBank」「ライフネット生命」「GROUPON」をはじめ国内外の企業150社以上があり、“かげの仕掛人”として活躍している。著書に『終わらす技術』(フォレスト出版)、『毎日〇×するだけでお金が貯まる手帳術』(集英社)など。
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