2019.03.25
知ってる? 桜の豆知識・雑学【歴史編】モテるうんちく集めました
毎年、日本各地を賑わせる桜なのに、その種類や歴史など、意外にご存じない方もいらっしゃるかと。ここでは、お花見デートを盛り上げる、桜にまつわる小話をまとめてみました!
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取材・文/木村千鶴 取材協力/森林総合研究所 多摩森林科学園
前回同様、森林総合研究所 多摩森林科学園に協力をいただきながらまとめました。ここぞ!のお花見デートで、ぜひ披露しちゃってくださいませ。
豆知識1:平安以前、花といえば梅だった!?
「日本でいちばん古いお花見って、知ってる?」
その証拠に、奈良時代につくられた万葉集には梅を詠った歌が118首、桜が44首だったのに対して、平安時代の古今和歌集では梅が18首、桜が70首と、桜が梅を逆転しています。
そして、記録に残る我が国で最古のお花見は、嵯峨天皇主催の「花宴の節」。宮廷文化の中に取り入れられたことにより、桜は日本を代表する花木として不動の存在になりました。
豆知識2:桜は1200年前の貴族も魅了した
「桜で恋心を歌った平安時代の伊達男って誰だと思う?」
その人の名は在原業平。平安京を開いた桓武天皇のひ孫という高貴な出自でありながら、かなりのプレイボーイだったようで、平安初期に男女の恋愛について多く描かれた歌物語「伊勢物語」の主人公は、在原業平ではないかという説もあります。
― 世の中に耐えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし ―
そして、こちらは古今和歌集に収められた、在原業平の詠んだ桜にまつわる歌。現代語訳は「この世の中に桜などなければ、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに」とありますが、裏解釈のようなものもございまして……。桜を“女性”に置き換えてみると、あるいは特定の女性の名前を当てはめてみると、急に色気が増した感じがしませんか?
豆知識3:5000人を招待した花見の宴とは!?
「豊臣秀吉は盛大な花見が好きだったそうだよ」
吉野の花見は1594年に行われた盛大な花見。大阪から運んだ1000本の桜が植樹され、5000人が花見に召喚されたとのこと。醍醐の花見は、1598年に京都醍醐寺の裏の山麓で行われた花の宴です。やはり近隣から多数の桜を移植し、1000人以上を招待したというのですから、秀吉は本当に派手好きだったんだなぁ、ということがうかがえます。
各武将はコスプレして場を盛り上げる、なんてこともしていたようですよ。
豆知識 4:花見を奨励した徳川吉宗
「花見が庶民に広まったのは江戸時代なんだよ」
庶民に花見の習慣が広まったのは、8代将軍徳川吉宗のとった政策がきっかけ。隅田川堤や飛鳥山(王子)、御殿山(品川)に桜を植樹して、庶民に花見を推奨しました。現在の花見に近い様式はこのころにつくられたんですね。
豆知識 5:新品種の桜は「与謝野晶子」!?
「今年、新種の桜ができたんだって」
― 清水へ祇園をよぎる櫻月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき ―
彼女の浮き立った心が伝わってくる、絵のような情景が目に浮かぶ歌ですよね。
そして今年、平成30年2月20日付で(公財)日本花の会により「与謝野晶子」として品種認定。“染井吉野”と比較すると、がくが濃紅色をしていて、彼女の情熱的なイメージにぴったり! 大仙公園(堺区)には約120本の「与謝野晶子」が育っているとのことなので、見ごろをやや過ぎましたが、お出かけしてみてはいかがでしょうか。
参考文献/『桜』(勝木俊雄著/岩波新書)『桜の化学』(勝木俊雄著/サイエンス・アイ新書)