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2021.12.18

19歳で起業した若きCEOの目指すモノとは?

起業家の中でも特に若い弱冠19歳で「株式会社Adfox(アドフォックス)」を立ち上げた岩下大智さん。人と違う道を歩むことへの恐れは? 今後の目標は? ポジティブに挑戦し続けるそのメンタルに迫りました。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ スタイリング/稲田一生 文/井上真規子 取材協力/漆畑慶将

先が読めない時代にありながら、新しいビジネスで世の中を前向きに動かそうとしている若き起業家たち。次世代を担う彼らは、どんな過去を経て今に至り、新しい未来を描くのか?

今回は、弱冠19歳の若さで「株式会社Adfox(アドフォックス)」を創業した、代表取締役の岩下大智さんの素顔に迫ります。

僕、めちゃくちゃポジティブなんです(笑)

── Adfoxは、インターネット広告事業から、様々なウェブメディアやメディアサイトの売買プラットフォームの運営などを行うIT企業とのことですが、早稲田大学在学中の19歳で創業するに至った背景を教えてください。

岩下大智さん(以下、岩下) 小学生の頃から、将来欲しいものを自由に買えないような生活は送りたくないと思っていました。それで「お金を稼がなくては」と焦りに近い感じで、小学5年生で転売を始めたんです。祖父は経営者でしたし、幸い、家庭もそれなりに裕福で、お金に困っていたわけではないのですが。でも、自分で家事ができないなら人を雇う、くらいの額が、将来の僕には必要だろうと漠然と思っていました。

それからしばらくして、高校2年の時に「25才で億稼ぐ」という明確な目標がパッと天命のような感じで降ってきて。その頃に読んだ本の影響もあって起業を決めました。早稲田大学では専攻していた心理学に興味がもてなかったこともあり、2年の時に休学し、ベンチャーで働いたあと19歳でAdfoxを創業しました。
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── 子供の頃から自立心がものすごく強かったんですね。起業して失敗することへの恐怖はなかったですか?

岩下 僕、めちゃくちゃポジティブなんです(笑)。だから、商売を怖いと思ったことは一度もないですね。起業の時点で10年商売を続けていて、自分の力で稼ぐという成功体験を積んできたので自信もありました。陸上も野球も、小学生から10年続ければプロになれるレベルまでいけますよね。商売も同じで、10年やったら自信がつきます。

── 確かに、野球でも高卒ルーキーがいますね。おじいさまが会社経営をされていたことも起業の後押しになったのでしょうか。

岩下 祖父とは小さい頃からよく一緒に過ごしてましたが、特別そういう話をしたことはないです。それよりも、収入の上限を外すために経営者になることを自然と選んだ感じでした。僕としてはやりたいことをやってるだけなんですけど、今振り返ってみると凄い選択をしてきたと思います(笑)

借金に対しても恐怖心はないです。むしろ、借りられるなら借り続けたいし、返せなくなったら破産すればいいという考え。お金の稼ぎ方を知っているから、稼げなくなる恐怖がないんです。だから、借りることも怖くないんだと思います。
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僕にとってのリスクって、死ぬことくらい

── なぜ、そんなにポジティブでいられるんですか? 子どもの頃からですか?

岩下 いや、高校卒業から大学入学までの期間、フィリピンに語学留学して価値観が変わったんです。フィリピンは貧富の差も大きいし、地域によっては治安が悪く、殺人事件の多い場所もあります。そういう現実を目の当たりにして、人間はこんなにも簡単に死ぬんだと強いショックを受けたんです。多感な10代の時期だったので、より強烈に感じました。

その経験から、自分の人生で許容できるリスクのレベルがものすごく下がりました。今の僕にとってのリスクって、死ぬことだけなんです。ホームレスになっても全然構わないですし。僕がポジティブなのは、リスクと感じるレベルが低いからだと思います。死ぬこと以外、全部リスクじゃないんで(笑)。そういうことを10代のうちに感じられたのは大きかったですね。

── そう思えるのは、本当に心が強いと思います。事業で失敗する可能性も、岩下さんはリスクとは捉えないということですよね。
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岩下 仮に、今の会社が倒産しても、日本は生活保護があるから死ぬことはないですよね。だから、僕にとっては日本で生きてる限り、リスクはないに等しいんです。それに倒産したら、もう一回会社を作ればいいだけ。むしろ失敗じゃなくて、いつかは経験するミスをしただけ、と思うはずです。

例えば、めちゃくちゃ仕事がキツい時期があっても、下手したら1年後には覚えてなかったりするじゃないですか。僕にとってはお金をなくすこともそんな感じで、所詮忘れる程度の悩みなら、ただの誤差だと思うんです。

── そこまで自分を信じ切れるのはなぜですか?

岩下 アメリカのNASAには、「宇宙で散っていった英雄たち」といった旨の石碑が敷地内にあって、今までに亡くなった宇宙飛行士や開発の人たちの名前が刻まれています。NASAで働く人々は、事故で命を落とすリスクがあっても、人類のために宇宙に行きたいと思っている。彼らは仕事の中での死を許容しているんです。これは本当に凄いこと。

一方で、日本で死が求められる仕事はほぼないでしょう。だから、日本では死ぬ直前までリスクを取れるってこと自体が大きな強みなんです。僕は死ぬまでの時間を使えるのだから、絶対に成功できると思ってます。
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過程を楽しむ方が人生は楽しくなる

── 自分が稼いだお金で、一番はじめに手に入れた自由ってなんですか?

岩下 それが結局、何も買ってないんです(笑)。19歳の頃に一度だけ友達と服を買いに行ったら、買い物中は楽しかったけど、家に帰ったら虚無感の方が強くて。それ以降、物欲はなくなりました。むしろ今は、お金で何かを手に入れることより、稼ぐこと自体が楽しいです。

── 一般的には生活をするため、何かを買うためにとか、立場が欲しい、などの目的があってお金を稼ぐと思いますが、岩下さんはそれ自体が楽しみなんですか。

岩下 目標って達成しても、また次の目標が出てきますよね。そうなった時に、僕はその過程を楽しむ方が人生は楽しいんじゃないか、って考えるようになったんです。実際に学生時代にお金を稼いで楽しかったのも、その過程が面白かったからだなと。だから学びとしては、服を買う瞬間を全力で楽しむべきだったんだなと思ってます。

── 過程を楽しむ方がいいというのは、いつ気づいたんですか?

岩下 会社をやっていく中で、気づきました。起業して間もない頃、周りに勝つことが目的になっていた時期があって、業界トップのサイバーエージェントと自社を比べたりしていました。「なぜうちは上場してない?」「売り上げが100億ない?」って考え始めて。でも、サイバーエージェントだってどんどん成長し続けるから、普通に考えて追いつけないし……、って苦しくなってくる。

そうやって周囲と比べたり、競合に勝つことを目標にやっていると、強迫観念で精神が摩耗してくるんです。それでは10年、20年という長い間、この仕事をやっていくことはできません。だったら日々の仕事を楽しむ方が自分にとっても、会社にとってもいいだろうと気付きました。
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── とはいえ、業界内での立ち位置や競合をまったく気にしないわけにも行かなですよね。その辺りはどうやって考えているんでしょうか。

岩下 ものの見方には、一人称視点と客観的なメタ視点がありますよね。僕は、事業目標を立てる時はメタ視点で考えて、日々の業務は一人称視点で考えるようにしています。例えば「Apple社の時価総額が200兆円を超えて世界ではインフレが続いていくから……」「この市場の今後の動向は……」という風に、事業目標は外側から考えていきます。

一方、普段はその日の仕事に熱中するだけ。それで1ヵ月後にエクセルを見直したら結構進んでた、っていう方が楽しいんです。日常にメタを持ち込むと、どうしても焦りが生まれてしまうので使い分けるようにしてますね。

── 視点を使い分けることで、メンタルコントロールしているんですね。さすがだと思います。普段、嫌なことがあった時はどう対処していますか?

岩下 自分はポジティブだって言いましたけど、ポジティブに転換する方法を習得してそうなったんだと思います。嫌なことがあっても基本考えないし、そのことに対して感情を入れないようにしてます。考えても、悩んでも、現実は何も変わらないので。

嫌なことがあったら感情を入れずに、息を吸って吐くみたいに淡々とこなします。それにさっき言ったように、10年後にどうせ覚えてないんだったらただの誤差ですから。だからもう、大体のことが誤差だと思ってます(笑)。
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世の中でいう幸せは、自分の幸せではないと気付いた

── そんな岩下さんにとっての幸せとは?

岩下 成長し続けることが僕にとっての絶対的幸せで、生きるモチベーションなんです。何年か前に1週間の休暇を取った時、何もしない状態をすごく苦しく感じたんです。刺激や学びがないから飽きるし、自分が成長してないって感じる状態も辛かった。休みってそういうものなのでしょうけど、その時に、世の中で言う一般的な幸せは自分の幸せではないと気付きました。のほほんと生きるのはいつだってできるから、今はめちゃくちゃ頑張ろうと思いましたね。

それにこの資本主義の社会構造って、成長したい人にとっては凄く良く出来たシステムだと思います。会社が大きくなって、上場したら時価総額が上がって、扱える額も大きくなって、いろんなことができるようになる。自分が頑張る限り、ずっと成長し続けられる構造になっている。だから僕は今がすごく楽しいですし、将来を逆算しても楽しい未来を描き続けられるから、終わりのない成長ができそうだなと思っています。

── 岩下さんにとっては成長し続けること、変わり続けることが、本当に楽しいことなんですね。今後の事業展望はどのように考えていますか?

岩下 今の会社で日本での基盤を作りつつ、アメリカでもう一つ会社を作りたいと思っています。実は、明日から資本家や経営者に会いに行くために渡米するんです! すごいタイムリー(笑)。向こうではTikTokやインスタグラムのような、若い世代に向けたサービスを出していきたいんです。

例えば、TikTokの手法って、番外の手の極みですよね。15秒の動画を次々に視聴することが楽しいって、普通の思考だとなかなか気付けないと思うんで。ああいう斬新なものって、知識がないからこそ思いつく可能性が高いですよね。膨大なデータ量を持ってる業界既存の大企業が番外のものを生み出すことももちろんありますが、基本は既存のサービスを改善するとかそういう方向に行きやすいので。

そう考えたら、知識や経験が少ないことも価値だし、だからこそ今しかできないことをやりたいんです。世界に出れば若い世代は30億人ぐらいいて、日本でやるのとは規模が違いますかから、どうせやるなら世界に出てやってみたいです。
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アメリカで失敗したって、それが経験値になる

▲ ジャケット12万1000円/ボリオリ(三崎商事)、ニット3万8500円/ラルディーニ(トヨダトレーディング プレスルーム)、パンツ4万700円/ジャブスアルキヴィオ(エフイーエヌ)、ネッカチーフ3万800円/スローン
── 世界の若い世代にヒットせさるために、アメリカで挑戦するということですね。

岩下 アメリカはチャレンジする起業家に対して非常に寛容で、失敗してもみんな「ナイストライ!」ぐらいにしか思わない。仮に僕が、既存にない事業を打ち出して、高い評価をもらって多額の出資を受けるとします。で、それがダメになっても次の会社の評価が少し落ちるぐらいで済むんです。

20代前半で、アメリカで大きなリスクとって莫大な借金して、それがダメになったとしても、そんな経験をしてる人間って凄く少ないでしょう。しかも今後、平均寿命がさらに伸びて、120才まで生きられる時代になったら、20代前半のそんな経験、失敗どころかむしろ経験値だと思っています。

だから、アメリカでめちゃくちゃリスクをとって挑戦したいですね! 自分には成功するか、大成功するかぐらいしか選択肢ないので。
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● 岩下大智(いわした・だいち)

1998年生まれ。早稲田大学在学中に起業し、その後M&A。株式会社Adfox CEO。現在は次の事業の立ち上げを目指し、世界各国への視察旅行を予定中。
株式会社Adfox

※掲載商品はすべて税込み価格です

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トヨダトレーディング プレスルーム 03-5350-5567
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