2022.03.20

【京都の新個性派ライフスタイルホテル Vol.4】

京都の歴史ある小学校をリノベーション！「ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC」

アフターコロナを見据えて続々と新しいホテルがオープンする京都。お洒落で個性的なライフスタイルホテルをシリーズでご紹介します。

CREDIT :: 文・写真／古関千恵子

ウルトララグジュアリー系からバジェット系まで、今、京都はNEWホテルが花ざかり！背筋をのばした特別な旅というより、京都リピーターにおすすめしたい、 “ライフスタイルホテル”をピックアップ。デザイン性と居住性が両立し、しかもお値打ち！ 4回目は廃校となった小学校の校舎をリノベーションしたユニークな「ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC」をご紹介します。

番組小学校をホテルに。80メートル続く東山の風景に圧倒される！

国内に４軒を展開しているザ・ゲートホテルブランドにおいて、関西初進出となったのが、2020年7月に開業した「ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC」。歴史的建造物である旧立誠小学校を、複合施設として再生するプロジェクト「立誠ガーデンヒューリック京都」の一画を担っています。

複合施設内には「ブルーボトルコーヒー」や漬物の「西利」が手掛ける「アマコウカフェ発酵CAFE＆BAR」といった話題のテナントや、立誠図書館、文化ホールなどもあり、新たなるカルチャーの発信地となりそうです。

/ 2

▲ ２階まで吹き抜けになったホテルロビー。
▲ グラウンドは芝生エリアに。地元の人も観光客にとっても、くつろぎの場に.

▲ ２階まで吹き抜けになったホテルロビー。
▲ グラウンドは芝生エリアに。地元の人も観光客にとっても、くつろぎの場に.

PAGE 2

そもそも「立誠小学校」とは、京都の町衆たちの自治組織によって生まれた日本初の学区制小学校“番組小学校”のひとつ。1869年に創設、一度火災に遭いつつも、1928年には日本初の鉄筋コンクリートの小学校として復活。1993年に閉校しましたが、この学び舎に通った人も多く、地元で親しまれる存在でした。

複合施設は旧小学校を丁寧にリノベーションした「Schoolhouse(スクールハウス棟)」と、新築した「Main（メイン棟）」の２棟をコネクトした造りになっています。この建物の２階以上をホテルが占めています。

チェックインはメイン棟の最上階８階にて。エレベーターの扉が開くと、床から天井までのフルハイトの窓から、バーンと東山の風景が広がります。このフロアには仕切りがなく、レセプション、ラウンジ、バー、レストランと横につながった造り。そのため、東山の眺望がなんと80mも続きます！八坂神社や知恩院、大文字山に清水寺に左手奥に比叡山のパノラマビュー。しかも８階の高さから、一望です。

PAGE 3

インスタレーションや映画を楽しむための客室も

客室は、西側のメイン棟に６タイプ164室、東側のスクールハウス棟に５タイプ20室。東山の絶景が広がるメイン棟、築約100年の学び舎の歴史をはしばしに感じるスクールハウス棟、どちらにするか、悩みどころです。

アート好きなら、一度は滞在してみたいのが、スクールハウス棟の「Lab」。彫刻家の樂雅臣さんと植栽家の村瀬貴昭さん、京都を代表するふたりのアーティストのインスタレーションを大胆に取り入れた３室です。

/ 2

▲ スクールハウス棟のLabの１室。ベッドサイドの窓を覗くとインスタレーション。
▲ オーストラリアから運んだ真っ白な砂が映えるインスタレーションも。

▲ スクールハウス棟のLabの１室。ベッドサイドの窓を覗くとインスタレーション。
▲ オーストラリアから運んだ真っ白な砂が映えるインスタレーションも。

ユニークな間取り（“釣り鐘型”と言われてもピンと来ない⁉）もさることながら、立体アートと寝泊りする経験はなかなか味わえないもの。部屋によってはミストが漂う仕掛けの作品も！スクールハウス棟は昔の建物を活かしたこともあり、天井が高く、窓が大きいのも特徴です。

メイン棟のハイエンドなお部屋は、ホテル名を冠する「ザ・ゲート」。63平方メートルの広さを誇るスイートタイプです。３～７階にある「クラッシー」は街の賑わいが感じられ、一部の部屋はベッドが東山に向いています。

/ 2

▲ メイン棟の３～７階に位置する「クラッシー」。東山方面を向いてベッドが配置されています。
▲ 映画を存分に楽しめる「シネマ」。

▲ メイン棟の３～７階に位置する「クラッシー」。東山方面を向いてベッドが配置されています。
▲ 映画を存分に楽しめる「シネマ」。

ザ・ゲートホテルの各プロパティでは特徴的な客室があり、京都では「CINEMA(シネマ)」がそれ。この地が映画の試写実験を成功させ、“日本映画原点の地”と呼ばれることからも、映画を鑑賞するためのお部屋が用意されました。65型の巨大スクリーンのテレビ、バング＆オルフセンのスピーカーを置き、高音質＆大迫力の映像が楽しめます。しかもVODが無料。また、ブルーレイで臨場感たっぷりにゲームやe-sportsを楽しむゲストもいるとか。

PAGE 4

季節の京の小鉢が16品も並ぶ、名物朝食「和食膳」

レストラン「Anchor Kyoto」は、眺望バツグンの８階にあります。おすすめは南座を間近に見る、２席のみのテラス席。サンライズとサンセット、両方が楽しめる絶景シートです。

/ 2

▲ レセプションから続くレストラン。圧倒的な眺め！
▲ 南座をすぐ近くに望む、2席のみのテラス。予約時に指定を。

▲ レセプションから続くレストラン。圧倒的な眺め！
▲ 南座をすぐ近くに望む、2席のみのテラス。予約時に指定を。

そしてザ・ゲートホテルといえば、お楽しみの朝食！シグネチャーのエッグベネディクトも魅力的だけれど、京都ではぜひ「和食膳」（30食限定）を。京都の食材を使用した小鉢が16種も並び、どれからいただこうか悩んでしまいそう。敷き紙にメニュー名が書いてあるので、ひとつひとつ料理名を確認することもできます。

ちなみに、総支配人の善方健さんのこだわりは打田漬物店の蜂蜜梅干し。小鉢のメニューは２～３カ月ごとに内容が変わりますが、梅干しは定番のようです。お米は「京の輝き」を使用し、おかゆも選べます。

宿泊ゲストが自由に利用できるラウンジ＆パティオは、ワインやソフトドリンクが無料で用意されていて（一部カクテルなどは有料）、滞在中に幾度となく訪れる場所。そして学び舎でもあるこのホテルで、読書を楽しむ機会を与えてくれるのも、このラウンジです。

壁にはBACHと、もう一方には立誠図書館がキュレートした本が並びます。

PAGE 5

/ 2

▲ ラウンジではワイン、コーヒー、紅茶などのドリンクとスナックなどがフリー。
▲ 蔵書は客室に持っていくこともOK。

▲ ラウンジではワイン、コーヒー、紅茶などのドリンクとスナックなどがフリー。
▲ 蔵書は客室に持っていくこともOK。

また、パティオにはファイヤーピットを用意。焼きマシュマロに挑戦、あるいは、ただ炎を眺めているだけでも、特別な時間になります。

/ 2

▲ パティオにはファイヤーピットが。揺れる炎を眺めているだけで不思議とリラックス。
▲ ファイヤーピットで焼きマシュマロに挑戦。とろける美味しさ！

▲ パティオにはファイヤーピットが。揺れる炎を眺めているだけで不思議とリラックス。
▲ ファイヤーピットで焼きマシュマロに挑戦。とろける美味しさ！

旧立誠小学校の面影を、ホテル内で探してみる

このホテルがかつての立誠小学校であったことの象徴的な存在は、「リトリートルーム」という60畳の大広間。かつて自彊室（じきょうしつ）として道徳や礼儀作法の授業が行われていた場所で、地元の人にとっても思い入れのある場所だったとか。畳と天井以外は残し、下足箱も当時のまま。この広いスペースでは、ヨガやイベントが開催されるそう。ただ、自分を見つめなおしに一人訪れてみるのもアリでしょう。

/ 4

▲ 60畳のリトリートルーム。ここに訪れるだけで、凛とした気分になります。
▲ 1階のロビーにあるグロトリアンのピアノも、90年以上ここにあるとか。
▲ 入口の表札に歴史を感じます。
▲ 施設の１階にある立誠図書館。ラウンジで貸出カードを借りることができます。

▲ 60畳のリトリートルーム。ここに訪れるだけで、凛とした気分になります。
▲ 1階のロビーにあるグロトリアンのピアノも、90年以上ここにあるとか。
▲ 入口の表札に歴史を感じます。
▲ 施設の１階にある立誠図書館。ラウンジで貸出カードを借りることができます。

また、メイン棟とスクールハウス棟の境も、床を見ると一目瞭然。メイン棟はカーペットなのに対し、スクールハウス棟は学校の雰囲気を踏襲して木製です。謎解きをするように、かつての小学校の形跡を探しながら館内を探検するのも一興です。

PAGE 6

■ザ・ゲートホテル高瀬川 by HULIC

住所／京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2
HP／https://www.gate-hotel.jp/kyoto/
TEL／075-256-8955

料金／シネマ2万4776円～、クラッシー3万492円～、ザ・ゲート6万5340円～、Lab3万9477円～（2名1室利用時の1室料金。税サ込、宿泊税別）