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2023.01.29

灯るランタンが大人を夢心地にさせるベトナム旅【ダナン・ホイアン編】

コロナ禍もひと息ついて、そろそろ旅に出たいと思っている人は多いはず。そこで、非日常を味わえる身近な国としてベトナムをご提案。前編でお伝えしたホーチミンに続いて、ダナンのビーチリゾートと古都ホイアンの楽しみ方をご紹介。

CREDIT :

文・写真/大石智子

前編でお伝えしたホーチミン(コチラ)のあとは、ダナンのビーチリゾートと古都ホイアンの楽しみ方をご紹介。大都市の喧騒から一転、緩やかな空気のなかで癒しのひとときを過ごせます。ホイアンの幻想的なランタンの灯りも忘れられない光景となるでしょう。

ダナンの前に“ラウンジフォー”を召し上がれ

ダナンはベトナム中部に位置する海沿いの街。ホーチミンからはベトナム航空で毎日10便以上が出航しており、1時間20分で到着します。

ビジネスクラスの利用であれば、食前のフライトだったとしても「ロータスラウンジ」でフォーや南国スウィーツをいただけることがメリットです。“ラウンジカレーおじさん”ならぬ、“ラウンジフォーおじさん”はレアキャラ。ビア・サイゴンとセットで撮れば完璧ですよ。飛行機好きとしてはラウンジと機体の距離がかなり近かったのも高ポイント!

川沿いに恋人たちが集う街で懐かしい気持ちに浸る

ダナンはビーチリゾートと繁華街が隣接している動きやすい街。ホーチミンよりレトロな街の賑わいを一度は見ておきましょう。ハン市場では地元民の日常を覗けますし、ド派手な電飾が煌めくドラゴン橋周辺は毎日が大晦日のようなムード。川沿いに恋人たちが集まるのは万国共通だと体感するのも楽しいです。周辺にはダナン版マーライオンと言われる「鯉の滝登り像」もあるので、ベタな記念撮影を決め込んでくださいませ。
ベトナム ハン市場
▲ 市民の台所であるハン市場。生活に必要なあらゆるものが売られています。
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川沿いは記念撮影にいそしむカップルだらけで、みな照れずにカメラに収まります。現地でさまざまなベトナムカルチャーを教えてくれた政府観光局のフンさんによると、ベトナムの人たちはロマンティックな話が大好きとか。その気質から好まれているもののひとつが「塩コーヒー」。古都フエの名物ですが、近隣都市のダナンでも味わうことができます。塩コーヒーの逸話をフンさんが教えてくれました。
▲ ドラゴン橋のかかるハン川沿いは王道のデートスポット。
「ある漁村で、心優しい聡明な男性が、美人でお金持ちの女の子のお別れパーティーに招待されました。でも彼はシャイでただもの静かに座っていた。その様子に彼女はコーヒーを渡そうとして、“コーヒーには何を入れますか?”と聞くと、彼は緊張して“塩”と答えてしまった。緊張を悟られまいと、“うちは貧乏だから塩を入れるけど味も好きで”と嘘をついた。

それがきっかけでふたりは付き合って結婚。奥さんはいつも彼に塩コーヒー出していました。年老いて最後、“塩コーヒーの話は嘘だったけど、僕はそれ以外は君に嘘をついたことがない”と言って亡くなった。だから塩は恋愛の証明とされています」
ベトナム The Dark House
▲ ふらりと入ったカフェ「The Dark House」でも塩コーヒーをおすすめされました。 25 Trần Bình Trọng, Phước Ninh, Hải Châu, Đà Nẵng
いい話だなと聞いていたら、これはベトナムで有名な作り話だとか。でもそこから塩コーヒーが流行るのも微笑ましい。コーヒーに塩を入れるとまろやかになる作用もあるので、ダナンのカフェで見かけたら試してみては?
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意外と攻めているダナンの夜遊び

面白い隠れ家バーも存在するダナンで注目なのは「UNITED」。バインミーの屋台と見せかけ、実はそれはバーの扉というからくりです。恐る恐る扉を開けた時のギャップが大きく、ふたりで盛り上がること間違いなし。自家製スピリッツや南国のフルーツを使ったカクテルが豊富なので、夕食の前後にぜひ訪問あれ。
バインミー 屋台
▲ どうみてもバインミーの屋台ですが、シルバーのバーを引いてみてください。
ベトナム THE CRAFTSMAN
▲ 屋台の向こう側は艶やかなカウンター。実はオーナーは日本人だとか。@unitedbar.dn
代わって「THE CRAFTSMAN」は「インターコンチネンタル ダナン」にいた腕利きのバーテンダーが開いた店で、カクテルがとても洗練されていました。ライムを搾って食べる自家製ビーフジャーキーまで美味しい。

店内の壁にはレコードがずらりと並び、私が行った時はソウルミュージックがかかり、自分がどこの街にいるのか忘れてしまう不思議な雰囲気。東京にあったら通うなと思ったバーでした。
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ベトナム The Craftsman Cocktail Bar
▲ 週末にはライブイベントも行っている。 @thecraftman.danang
海辺のルーフトップバーならホテル「Four Point by Sheraton Danag」に入っている「Horizon Bar」がおすすめ。美しいサンセットとともにベトナムのクラフトビールを味わうことができます。
ベトナム Horizon Bar
▲ プールとバーが隣接した「Horizon Bar」。 
そして、ダナンで目覚めたのがベトナムの地鶏。いま日本全国にはハイレベルな銘柄地鶏が揃っていますが、「LUK LAK」で食べた地鶏はそのどれとも似ていなかった。少し硬くて噛むほどにジビエのような滋味深さが出てくる。ケンカが強そうな筋力と言いましょうか、いまどき珍しいワイルドな鶏。帰国後も「あの鶏をまた食べたい。でも、ない……」と回想してしまいます。
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ベトナム LUK LAK 地鶏
▲ 「柔らかい」が肉の褒め言葉になることが腑に落ちない人は好きなはずの地鶏。約2000円。
ベトナム LUK LAK 店内
▲ ベトナムの葉笠“ノンラー”が吊るされた「LUK LAK」の店内。
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個性が際立つダナン随一のリゾートホテルは半島の先にあり

街も必見と言っておきながら、空港から直で半島の先にある「インターコンチネンタル ダナン」にチェックインしたらお籠り気分にもなってしまう。そこは、正直、「インターコンチネンタル」というブランドのイメージが変わる場所でした。
ベトナム ダナン 山に抱かれ海に繋がる最高のロケーション
▲ 山に抱かれ海に繋がる最高のロケーション。ダナンの中心街からはクルマで約20分。
グローバルスタンダードでどこも同じ印象があったのが、ダナンでは個性が全開。というのも、デザイナーはバンコクの「The Siam」などを手掛けたビル・ベンスリーだったのです。「The Siam」といえばバンコク随一のスタイリッシュなホテルで、「インターコンチネンタル ダナン」も裏切りません。
インターコンチネンタル ダナン ロビー
▲ ロビーの天井からして異世界。
入った瞬間、ロビーの頭上には黄金の巨大パイナップルが並んでいますし、メインダイニングのテラス席は1テーブルごと宙に浮くコマのような造り。ここでココナッツジュースでも飲めば南国気分が100%満たされます。奔放なセンスと大自然が絶妙に融合し、歩く度にフォトスポットが訪れます。
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インターコンチネンタル ダナン メインダイニング テラス席
▲ 浮遊感抜群のテーブル。モデルは前編のホーチミンに続きRemiさん(@remi_912)。
どの客室もデザイナー自らが絶景に興奮して考えたような窓の取り方が素敵。ベッドから大自然を一望するスイートもありますし、ブランコ付きプライベートプール、おとぎ話みたいな大理石のバスルーム、高すぎる天蓋付きベッドetc.客室ごとにロマンティックな要素が炸裂しているので、HPを吟味して部屋を選んでくださいませ。私は予算が許すなら海辺の岩の上に立つ「1ベッドルーム シーサイド ヴィラ・オン・ザ・ロック」にいつか泊まってみたいものです。
ブランドロゴ入りココナッツジュースや朝食ビュッフェのディスプレイ方法からも、芸が細かいホテルだと分かります。フランス人ペストリーシェフによるアーモンドクロワッサンもとても美味しく、つい朝食を食べすぎてしまう。そのあと部屋で昼寝をして午前中を潰してしまうなんて過ごし方もここではご愛嬌です。
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山の上に位置する客室とビーチを繋ぐトロッコは眺めもよくて童心にかえる楽しさ。次第にラグジュアリーな大人のテーマパークのように思えてきます。
インターコンチネンタル ダナン トロッコ
▲ トロッコからの眺めは海と草花。
トロッコの線路のサイドにお花を植えているのも気が効いている。そういった点も含め、好立地を引き立てるディテールまで抜かりない。流石、海外の旅雑誌で「アジアのトップリゾート」の上位常連になっているだけあります。できれば3泊はしたいホテル。次にご紹介する古都ホイアンへの往復もここからの送迎サービスを利用すれば楽々です。
1ベッドルーム シーサイド ヴィラ・オン・ザ・ロック プライベートビーチ
▲ 目の前にあるプライベートビーチの散歩もお忘れなく。

インターコンチネンタル ダナン

料金/1泊1室450USD〜
HP/https://www.danang.intercontinental.com/ja/

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古都ホイアンではランタンの灯りに酔いしれる

「インターコンチネンタル ダナン」からクルマで約1時間に位置するホイアンは世界遺産に登録されている古都。もともとは16世紀から各国の船が来航していた国際貿易港があり、中学の教科書に載っていた「朱印船貿易」が行われていた地です。
今年は大河ドラマ「どうする家康」が始まりましたが、徳川家康が征夷大将軍になってからベトナム北部・中部との国交が開かれ、朱印船が送られました。ホイアンには日本人街も作られたものの、徳川家光が鎖国すると繋がりは消滅。19世紀末には貿易港としては衰退しますが、大切に維持された街並みのおかげで、いまは観光地として再び世界中からの旅人を集めている。そんな復活劇も頭にとどめてノスタルジックな街を歩いてみましょう。
ホイアン 市場
▲ これくらいの明るさの頃には川沿いに向かうべし。  
日が暮れ始める頃にはトゥボン川沿いへ。ホイアンといえば幻想的なランタンの灯りが旅人たちを魅了する地でもあります。街のそこかしこに鮮やかなランタンが吊るされ、川にはランタンを灯すボートが多く行き交う。ゆったり進むボートの灯りが川面に反射するのも美しく、ここまで来た甲斐があったと身にしみます。
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川沿いで食事、ボートに乗船など、ランタンの楽しみ方はいろいろですが、個人的には屋台で気になる軽食を買ってぶらぶら歩くのが一番と感じました。

お祭りの賑わいで道ゆく人がみんな幸せそうに写真を撮っているので、そのモードが伝播して歩いているだけで高揚する。映える場所がこれでもかとあり、普段は写真が苦手な人もついノリノリで被写体になってしまう。ランタンが灯る街にはそんなマジックがありました。
ホイアン デザート TAU PHO
▲ 仙草ゼリーや豆花、フルーツが入ったホイアンの定番デザート「TAU PHO」。温かく甘さ控えめでかなり美味しい!
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本音をいえばホイアンにも泊まりたい

今回はダナンからホイアンに日帰りで向かいましたが、昼食をとった「Anantara Hoi An Resort」がよかったので次回はここに一泊しようと計画中。コロニアル様式の白い建物が美しく、川沿いに立つのでホテルのボートでのクルーズも試したい。木々に囲まれたプールも気持ちよさそうですし、ターコイズを効かせたお部屋も可愛いらしいです。
代わって郊外の「Tra Que Vegetable Village」はフットマッサージと昔ながらの農業体験、クッキングクラスがセットになったアクティビティを提供する施設。時間があればここにも寄ってみましょう。
お土産で一番満足したものもホイアンにあり、それはオーガニックコスメブランドの「taran.(タラン)」のオイル。万能薬としてさまざまな肌トラブルに使用されてきたタヌマオイルが評判のブランドです。ここのタヌマオイルは高い保湿力でいま現在冬の乾燥から肌を守ってくれていますし、ヘアオイルも良質。ジャスミンの香りが心地よく、髪のごわつきを抑えられるので重宝しています。
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ダナン taran.
▲ 「taran.」は2017年に日本人女性がダナンで起業したブランド。ベトナムの農家を巡って選んだ良質な原料を使用しています。
以上がダナンとホイアンを巡るベトナム旅の後編。優雅なリゾートあり、エキゾチックな街歩きあり、多彩なベトナムカルチャーに溺れる時間となりました。地方都市の魅力にハマり、いつか古都フエも含めて一週間ほどベトナム中部で過ごしたいと思うこのごろ。刺激的なホーチミンとのコントラストも相まって、濃厚な旅となることは間違いなし。

さらにベトナム料理はハーブや野菜、発酵食品を多用するから腸活も期待できますし、個人的には旅を終えたら身体がスッキリ軽くなっていました。やはり舌や身体が素直に喜ぶ国はリピートしたくなる。みなさまも、ぜひ2023年の旅先にベトナムをご検討くださいませ!
大石智子 LEON.JP

● 大石智子(おおいし・ともこ)

出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。スペインと南米に行く頻度が高い。柴犬好き。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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