2023.05.07
地獄どころか、天国! 「界 雲仙」の地獄パワーに、あぁ昇天!
長崎県・雲仙に開業した「界 雲仙」。実際に行ってみたら、驚いた! ボーボーとあちこちから白い煙が立ち上る噴気地帯、いわゆる“地獄”のど真ん中に建つ、なんという非現実感! 館内は一変して、女子ウケしそうなレトロで華やかな長崎文化。このギャップ、刺激的です。
- CREDIT :
文・写真/古関千恵子
地獄の只中に花開く、和華蘭文化の温泉旅館「界 雲仙」
「王道なのに、あたらしい。」をテーマに掲げ、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」。22番目の施設となる界 雲仙のコンセプトは、「地獄パワーにふれる、異国情緒の宿」です。
ちなみに、雲仙のある島原半島は海岸線に小浜、ここ雲仙、そして山を越えたところに島原の3つの温泉郷があり、同じマグマだまりから生じているものの、それぞれ泉質が異なります。しかも雲仙は2つの源泉が混じった“酸性、岩鉄‐単純温泉”。晴れた日は白く(硫黄成分が多い)、天候が崩れると茶褐色(鉄分が多い)など、1泊の滞在で異なる色の温泉が楽しめることも。
すべてご当地部屋。世界初かもしれない客室付き露天風呂とは?
客室数は51。界の各施設では“ご当地部屋”なる、その土地の文化を取り入れた客室がありますが、ここ界 雲仙はすべてがご当地部屋にあたる“和華蘭の間”になります。
▲ ハイエンドの特別室。ベッドルームからバスルーム、ウォークインクローゼットと抜けて、ぐるりと一周できる造り。
▲ 特別室のバルコニーから望む地獄。窓を開けると、硫黄の香り。
▲ こちらが客室付き露天風呂。湯上がり処と湯船がベッドルームよりも一段高くなっています。ベッドマットレスは寝心地が評判のふわくもスリープ。
▲ ハイエンドの特別室。ベッドルームからバスルーム、ウォークインクローゼットと抜けて、ぐるりと一周できる造り。
▲ 特別室のバルコニーから望む地獄。窓を開けると、硫黄の香り。
▲ こちらが客室付き露天風呂。湯上がり処と湯船がベッドルームよりも一段高くなっています。ベッドマットレスは寝心地が評判のふわくもスリープ。
ずばり、注目したいのは全51室中、16室を占める「客室付き露天風呂」! 客室スペースの半分以上が露天風呂のお部屋です。リビングを取り払い、露天風呂とベッドルームの境界に、チェアを置く湯上がり処をしつらえています。つまり主役は露天風呂で、客室に泊まることもできるので、“客室付き”なのです。これ、世界初かも⁉
別棟の大浴場も、地獄パワーと和華蘭文化
別棟に建っている大浴場は、2つの浴槽からなる内風呂と、露天風呂からなります。
そして和華蘭をエッセンスに取り入れた、外界との仕切りのステンドグラスが実にカラフル。光が差し込む午前中は、色とりどりの光が揺れるお湯が楽しめます。
一方、露天風呂は野趣あふれる岩風呂。雲仙地獄のたちのぼる湯けむりが愛でられ、背後の山容も見どころです。
湯上がり処には橙ほうじ茶と、びわ酢が置かれています。実は、長崎は枇杷の生産量が日本一なのです。
さらに温泉いろはでは、雲仙地獄へ行くフィールドワークも。この地域で100年前から利用されていた地熱を活かした給湯設備「燗付け」を見学します。実は、界 雲仙でも給湯や温泉の加温、空調などに燗付けを利用。地熱を有効活用することで、二酸化炭素排出を減らしています。ゆくゆくは自然エネルギー自給率50%を目指しているそうです。
長崎の名物や食文化を、コース料理でたっぷりと!
メインの台の物は「あご出汁 しゃぶしゃぶ」。あご出汁に和牛ロースや伊勢海老、フグをくぐらせ、いただきます。時に柚子の香りの“ゆべし”でアクセント。〆は島原うどんで決まりです!
コースを通して、長崎の名物が楽しめるメニュー構成。隠し味のように上品な甘みが取り入れられているのが印象的です。というのも、長崎は実は日本で最初に砂糖が持ち込まれた地。味覚を通して、長崎が感じられます。
活版印刷を体験し、アクティブに地獄を体感!
そのひとつ、「ご当地楽」では、その土地の文化を体験します。界 雲仙では活版印刷に挑戦。まず歴史やエピソードを知り、さて実践です。
様々な書体の活字から好みのものを選び、枠に並べ、配置します。そしてかつて実際に使われていた活版印刷機でカードに転写。かすれ具合も味わいの、カードの完成です。旅の記念になりますね。
続く「雲仙地獄パワーウォーク」では地下足袋をはき、特別な作務衣と、杖を手にして雲仙地獄を一周します。朝の雲仙地獄は観光客も見かけず、ほぼ貸し切り状態。たちのぼる噴気や白い湯気の中を、いつもより早足で、全身を使ってウォーキングします。地下足袋から伝わる地熱も、大地からパワーをもらっている気分。
■ 界 雲仙(かい・うんぜん)
住所/長崎県雲仙市小浜町雲仙321番地
TEL/予約050-3134-8092(9:30〜18:00)
HP/https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiunzen/