2021.03.07
あえて“日本最後の秘境”小笠原でワーケーション、をオススメする理由とは?
品川ナンバーのクルマが走るれっきとした“東京都”でありながら、都心から行くのに片道24時間もかかる小笠原諸島。“日本最後の秘境”といわれるその島には、アフターコロナのワークスタイルのヒントがありました。
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文・写真/江藤詩文 取材協力/小笠原村観光局
そんななか注目されているスタイルがワーケーション。最近は半分仕事、半分バケーションという新しい旅のスタイルを、楽しんでいる方も多いようです。非日常的な空間への移動は、それだけで気分がリフレッシュするもの。「ワーケーション」ですから、ビーチフロントでリゾート気分を味わえればそれでよいのですが、もう一歩進んで新しいライフスタイルを見つけたい。そんな人におすすめの旅先が小笠原諸島です。
一般に、離島というと過疎化・高齢化が進んでいるイメージかもしれません。ましてや片道24時間以上かけて、何もない島へただのんびりしに行くのもな。そう思われるかもしれませんが、実は小笠原はちょっと違います。
ただの秘境ではない小笠原。アクティブに活動する人々も
また、宮川さんは小笠原カルチャーの発信者でもあり、彼が月に1度主催するファーマーズマーケットには、小笠原の農作物の生産者のほか、ヨーロッパ仕込みのハードパン(元・内地のロブションのパン職人が焼き上げます)、ガラス作家やクラフト作家のアートなども集まります。
小笠原でマンゴーの栽培にも初めて成功した「挑戦する農家」こと折田一夫さんは、無謀といわれた難題にたったひとりで挑み、10年以上かけて母島で初のカカオの栽培に成功しました。その東京産カカオを100%使ってつくる「東京カカオ」は、ビーントゥーバーならぬ「ツリートゥーバー」チョコレートとして、いまや世界から注目されています。
朝日と共に目覚め、夜は静寂と暗闇の中でぐっすりと眠る
そんな小笠原の人たちのライフスタイルは、内地とは大きく違います。島暮らしは天候に左右されやすいこともあり、スケジュールを詰め込まず、約束はゆるめ。多くの人が仲間たちといくつかの事業を立ち上げたり、副業を持ったりしながら、朝や夕方には海辺を散歩したり、サーフィンを楽しんだり、自然と共生しています。
▲ 小笠原は離島と言っても食事の充実ぶりも見逃せません。こちらは「島イタリアン」とファインワインを楽しめる島いちばんのダイニング「オーベルジュ サトウ」の「アオウミガメの燻製生ハム仕立て」
▲ 「島鮮魚のポワレ 島ポテトのカダイフ風 島育ちのパッションフルーツの香りをまとったオランデーズソースを添えて」。品質管理されたファインワインも楽しめます
▲ 「旅行者には島の魅力を、島の人たちにガストロノミーの楽しさを伝えたい」と、オーナーシェフの佐藤嘉恭さん
▲ 小笠原は離島と言っても食事の充実ぶりも見逃せません。こちらは「島イタリアン」とファインワインを楽しめる島いちばんのダイニング「オーベルジュ サトウ」の「アオウミガメの燻製生ハム仕立て」
▲ 「島鮮魚のポワレ 島ポテトのカダイフ風 島育ちのパッションフルーツの香りをまとったオランデーズソースを添えて」。品質管理されたファインワインも楽しめます
▲ 「旅行者には島の魅力を、島の人たちにガストロノミーの楽しさを伝えたい」と、オーナーシェフの佐藤嘉恭さん
小笠原も東京都のルールが適用され、とりわけ観光客が出入りする飲食店やショップでは、感染対策が万全に取られています。とはいえ、そもそも小笠原には、密になるほど人がいることがほとんどない。
そんなわけで筆者も、周囲に誰もいない森の中やビーチでは、マスクを外して深呼吸(小笠原でも原則はマスク着用)。この「自然の中で、見渡す限り誰もいない環境」が小笠原ならすぐ手に入るのです。こんなにリラックスできるのは、都内では小笠原だけかもしれません。
▲ 気軽な島グルメをカジュアルに楽しめる「チャーリーブラウン」の名物「島メカジキのステーキ」
▲ 小笠原がアメリカ文化の影響を受けてきた歴史の一端を感じる古きよき時代のアメリカンダイナーをモチーフにした店内(チャーリーブラウン)
▲ 小笠原ラムとカルピスを使ったカクテル「魅惑のジョンビーチ」(チャーリーブラウン)
▲ 島の代表的な郷土料理。白身魚を漬けにして、わさびではなく辛子で握る島寿司とウミガメの煮物
▲ 母島のウミガメは、日比谷のグランメゾン「アピシウス」でシグネチャーメニューのコンソメスープとして提供されています
▲ 気軽な島グルメをカジュアルに楽しめる「チャーリーブラウン」の名物「島メカジキのステーキ」
▲ 小笠原がアメリカ文化の影響を受けてきた歴史の一端を感じる古きよき時代のアメリカンダイナーをモチーフにした店内(チャーリーブラウン)
▲ 小笠原ラムとカルピスを使ったカクテル「魅惑のジョンビーチ」(チャーリーブラウン)
▲ 島の代表的な郷土料理。白身魚を漬けにして、わさびではなく辛子で握る島寿司とウミガメの煮物
▲ 母島のウミガメは、日比谷のグランメゾン「アピシウス」でシグネチャーメニューのコンソメスープとして提供されています
宿はWi-Fi完備で仕事環境も万全
アフターコロナのワークスタイルに大きなヒントに
小笠原を訪れること、それは都会とはまったく違う自然や人とのつながりの中に飛び込んで、それまでの仕事生活を一度リセットしてみる経験かと。そこで過ごす時間には、きっと、多くの発見があり、アフターコロナのワークスタイルにも大きなヒントを与えてくれるのではないでしょうか。あなたの仕事&生活観を変えるかもしれない小笠原でのワ―ケーション、この時期だからこそ一度検討してみてはいかがでしょう。
小笠原村観光局
●江藤詩文(えとう・しふみ)
世界を旅するライター。ガストロノミーツーリズムをテーマに、世界各地を取材して各種メディアで執筆。著名なシェフをはじめ、各国でのインタビュー多数。訪れた国は60カ国以上。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」(小学館)シリーズ3巻。Instagram(@travel_foodie_tokyo)でも旅情報を発信中。