2017.07.21
“旅行比較サイトを比較する”- 「トリバゴ」「トラベルコ」等の選び方を旅行ジャーナリストに聞く
トリバゴ・トラベルコ等の旅行比較サイトは「値段」以外のどこを見て選ぶべきか?「各サイトの特徴」「メリット・デメリット」「選択時のポイント」などを、旅行ジャーナリストの村田和子さんに伺いました。
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文/TeamA

もちろん、安さ最優先でホテル選びをするわけではないけれど、同じ部屋が違う値段で出ているなら安いに越したことはありません。というわけで、本格的な旅行シーズンを前に、「トリバゴ」を始めとする旅行比較サイトについて調べてみました。
ホテル料金比較サイトの仕組みとは

現在、世界200社以上の旅行予約サイトやホテルチェーンと提携し、130万軒以上の宿泊施設の料金が比較できるそう。サービスは世界55カ国、33言語で展開、毎年約14億人の利用があるといいます。
ビジネスモデルは、ユーザーが掲載サイトをクリックする度に、そのサイトから手数料が入るクリック課金制。利益の多くをテレビCMなどの広告費に当てていることもあり、世界各国で知名度は急上昇中です。
「trivago.jp」のPCサイトのトップページは、検索バーだけ。そこに宿泊地やホテル名を打ち込み、宿泊日や人数の選択をすれば、予約可能なホテルと予約サイトの価格が表示されるのです。表示は全体的にシンプルで、素早く最安値の予約サイトにアプローチでき、またSNSに情報を送りやすいのも特徴です。

料金比較サイト、それぞれの特徴とは
例えばアメリカ系の「トリップ・アドバイザー(Trip advisor)」、日系では、価格コムグループの「フォートラベル(4travel)」、ベンチャーリパブリックが運営する「トラベルジェーピー(Travel.jp)」「ホテルジェーピー(Hotel.jp)」など。
それぞれ特徴もあり、口コミサイトからスタートした「トリップ・アドバイザー」は5億以上の豊富な口コミから、宿泊施設だけでなく、周辺のレストランや観光スポットもチェックできます。
また「フォートラベル」は、日本人だけの口コミや旅行記を集めているため、日本人目線の情報収集が可能。「トラベルジェーピー」は旅の専門家が現地取材し、オススメを寄稿する旅行ガイドメディア<タビネス>を運営、その情報に紐づけられた旅行プランが検索できます。

比較サイトのメリット、デメリットとは
「比較サイトは、あくまで予約の入り口。基本的なことですが、実際に契約するのは、プランを販売する旅行会社や予約サイト、その先にあるホテルです。旅行や宿泊でトラブルがあっても、比較サイトそのものは責任がなく、対応は期待できません」
旅行会社、旅行予約サイト、ホテルは、それぞれ契約条件などが違います。特に外資系の旅行会社や予約サイトの中には、日本語のカスタマーサポートがない場合もあるそう。
「数百円、数千円安くても、トラブルの時に頼りにならなければ困ります。自分が最終的に契約し、支払いをするのはどこなのか、きちんと把握しておきましょう」
海外の旅行会社は、日本の旅行業法の管轄外なので、信頼度を見極める必要もあります。また、支払い・決済方法もチェックしておきたい項目。
「“事前決済”でキャンセルできないのを条件に、安く宿泊プランを提供しているケースもあります。予定が変わる可能性があれば、少々高くても“現地決済”のプランを選ぶ方がいいかも知れません」
比較サイトでは日本円で表記されていても、実際の支払いがドルやユーロの場合は為替変動により、支払い時期により価格が大きく変わる場合もあることも頭に入れておきたいところです。
日本最大手の比較サイト「トラベルコ」の実力
金髪美女ならぬ、水着美女やスーツ美女が登場するテレビCMも展開しています。こちらは創業20周年を迎える比較サイトの先駆けで、情報量の多さはもちろん、そのきめ細かさも際立っています。
例えば、海外のホテルの場合、1泊当たりの料金、連泊時の合計料金の両方を表示。(「トリバゴ」は連泊の場合も、1泊料金で表示)。マウスポインタを合わせると別ウインドウで、表示料金の内訳(宿泊費以外に加算されるリゾートフィーの料金など)が分かる(一部プランは除く)。
他にも、カスタマーサポートが日本語対応していない海外サイトに飛ぶ場合は、その旨をアラートしてくれるなど、前項で村田さんが「気をつけるべき」と指摘する点をフォローする仕組みがあるのです。
「旅行のニーズは細かくなっていますが、それに合わせてサイトを複雑にすると、ユーザーが使いにくくなる。多様な情報を盛り込みながら、使いやすくする。長年、それを課題にサイトを作ってきました」(オープンドア 広報担当者)


結局、最安値はどこ? 比較サイトの比較
両社が提携する旅行サイトは、重複しているものも多く、ときに異なる価格が出ることがあります。これはおそらく連携サイトの価格変動を反映させるタイミングが、比較サイトにより異なるためのよう。
また同じ旅行サイトでも、両社に、必ずしも同じプランを掲載しているわけではないこともわかりました。つまり究極の最安値を調べるなら、“比較サイトを比較する”必要があるのです。
「サイトに経由での予約には手数料がかかるので、繁忙期は公式サイトだけで価格を公開したり、超特価プランは自社のSNSだけで公開する、というホテルもあります。つまり“最安値”は、あくまで比較サイトの中の目安。価格だけでは見えないメリット・デメリットもあるので、最安値にこだわりすぎるより、自分にとって使い勝手のよい比較サイトを選んで、それを十分活用する方がいいでしょうね」(前出・村田さん)
比較サイトは、まず、いくつかを比較して使い勝手をチェック。そのうえで、好きなホテルがあれば個別に公式サイトやSNSを調べること。そんな最低限の手間暇を惜しまないことがリーズナブルに旅を楽しむ王道のようですね。
● 村田 和子 / 旅行ジャーナリスト
WEB、新聞、雑誌、テレビなどで幅広く情報提供をする他、旅行サイト・宿のコンサルも行う。新しい家族旅行のスタイルを提案する「家族deたびいく」(http://tabi-iku.jp/)
も運営。