2021.09.20
原田泰造の「気持ちいい〜」サウナの話
バラエティ番組での活躍はもちろん、俳優としても活動しているネプチューン原田泰造さん。この夏、テレビ東京ほかにて放送のドラマ25『サ道2021』で主演を務めた原田さんの「気持ちいいコト」は、やっぱりアレでした。
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文/大塚綾子
LEON編集部にも続々とサウナーが誕生するなか、大注目の本作は、実在のサウナを舞台に、偶然さん(三宅弘城)やイケメン蒸し男(磯村勇斗)といったおなじみのメンバーに加えて、多彩なゲストが登場。サウナを通してそれぞれの人生が描かれる物語です。
劇中、サウナでの原田さんのふるまいは演技というにはあまりにも自然で、まるで普段の姿を垣間見ているよう。このこなれた仕草は、よほどのサウナ通に違いないと見込んで、「気持ちいいサウナ」について教えていただきました。
原田 ありがとうございます。そう、映像に救われていますよね。普通にあのドラマ、おじさんたちの裸ばっかりだから(笑)。映像がきれいなおかげで、こちらも助かっています。
——原田さんにとっての「気持ちいいコト」は、やっぱりサウナなのでしょうか?
原田 そうですね。サウナは僕にとってもう日常なので、「どこが気持ちいい?」と改めて聞かれると、ちょっと説明しにくいんですよね。お風呂が気持ちいいのと同じで、当たり前のことなんです。サウナ→水風呂→休憩の1セットを2回、3回と繰り返していくと、いつのまにかスキッとするというか、ふんわりするというか……、すごく気持ちがいい。いわゆる“ととのう”んですよね。
——“ととのう”ってどんな感覚なんですか?
原田 僕の中での“ととのう”は、眠りと覚醒の真ん中の気持ちいいところで、ずーっと目を閉じているような感じかな。でも、必ずしもいつも同じではなくて、ととのい方も毎回違うんです。ととのうって瞬間ではなく、サウナ→水風呂→休憩の流れを繰り返す、その行為そのものが、とにかく気持ちいいんですよ。
例えるなら子供の頃、真夏の暑い日にみんなでプールに行って、帰りにアイスを食べているような。夏の暑さがサウナで、プールが水風呂。上がってから風に吹かれてのんびりアイスを食べているのが休憩で、僕にとって最高に気持ちよくて贅沢な時間です。
原田 通い始めたのは20代ですね。ちょうどスーパー銭湯ができ始めた頃で、身近にサウナが増えてきて。給料が入ったらサウナに行って、アカスリをするのがすごく贅沢だった。
当時は東村山や所沢に住んでいたので、横須賀に住んでいた健(堀内健さん)と中間地点の新宿のサウナで待ち合わせをして、サウナや休憩所でネタを作ったり。ファミレスでネタを作って、サウナに泊まることも何度か。はじめは水風呂も苦手で入れなかったけれど、いつからか気持ちよくなってきましたね。
——サウナ歴はかなり長いんですね。これまでに訪れたサウナは何軒くらいですか?
原田 えー、わからないなあ。地方ロケに行く時も、空き時間や仕事が終わった夜は、必ずと言っていいほどその土地のサウナに行っていましたし、ちょっと数えられないですね。今では全国のサウナが検索できるサイトがあるから便利だけど、昔は宿泊先のホテルや地元の方におすすめを聞いて探していましたね。
印象的なのはレギュラー出演しているテレビ朝日『ナニコレ珍百景』で紹介された、富山のスーパー銭湯「よつやのゆ」。多分オープンしてもう30年ぐらいかな。そこは2階にあるサウナ室を出たら、ウォータースライダーに乗って1階のプールに入るの。
——えっ! すごいですね。
原田 でしょ! それを見てうれしくなっちゃって、「行ってみよう!」って奥さんと車で富山に向かったんですよ。行ってみたら、もう、すっごくよかったです! 何回もウォータースライダーで、プールに飛び込んじゃいましたね。こういうサウナに出会うと作ったオーナーさんのことを、本当に尊敬しちゃいます。失敗する可能性とかは考えなかったのかなとか。いい意味で発想が子供みたいでいいよね。
——原田さんも童心に返って楽しんでいたんですね。ところで、サウナにはどんな時間配分で入りますか?
原田 僕の場合は大体トータルでサウナに30分入るようにしています。3回に分けるなら12分、10分、8分。100℃を超える高温だったら8分、8分、8分、6分とか。この配分だと、最後の8分や6分がものすごーく楽しみになるんですよね。
施設によって温度も湿度も違うから、目安として30分と決めたんですけれど、人それぞれ全然違います。タイマーをまったく見ない人もいるし、絶対にタイマーが一周して12分経つのを見届けてから出る人もいる。みんな自分なりの流儀があるんですよね。
原田 ドラマ内でもあったけど、コロナ禍で“黙浴”が徹底されていて、みんなしゃべらないからけっこう静かですよ。気づかれたとしても「あ、どうも」と会釈するくらいかな。映画館みたいに、サウナ内もソーシャルディスタンスがしっかり守られていますね。
パッと入ってパッと帰るのに最高なのが、笹塚の「マルシンスパ」ですね。笹塚って聞いたら、反射的に“マルシンスパ”って脳内に浮かぶぐらい(笑)。ここにはずっと通っていました。
比較的コンパクトな造りなんだけど、水風呂がいいんですよね。ちょうどいい感じの広さと深さで水質もいい。サウナもやわらかくて、気持ちいいんですよ。それと都心の夜景をのぞむベランダ。ここでの外気浴が最高なんです。
天空のアジト マルシンスパ
住所/東京都渋谷区笹塚1-58-6 マルシンビル10F
TEL/03-3376-5225
営業/※清掃のため、平日8:00~10:00、土日祝8:00~9:00は閉店
元旦、第1月曜休(祝祭日を除く、変更の可能性あり)
料金/(90分コース)1530円(土日祝1730円)、(3時間コース)2040円(土日祝2240円) (ナイトプラン22:00~8:00)2550円(土日祝2750円) ※24:00~4:00は深夜割増料金1020円を加算
http://marushinspa.jp
※2021年9月現在の情報です。最新の情報はHPをご覧ください。
——それはすごい! まさに偶然ですね。
原田 その時に三宅さんから「タナカカツキさん(『サ道』の原作者)に会ったことある?」って聞かれてね。「ないです」と答えたら、「『サ道』っていう漫画の作者なんだけど、今度会ったら話しかけてみなよ」と言われて。
それからずいぶん経って、ドラマにキャスティングされた時にはすごくうれしかったです。偶然さんを演じるのが三宅さんだと聞いた時には、ぴったりだと思いました。撮影の休憩中もお互いに情報交換しているんですけれど、彼は本当にサウナに詳しくて、絶対に勝てないです。「○○○行ったことあります?」と聞くと、だいたい「あるよ」って返ってきますからね。
——三宅さんも役柄の偶然さんそのものですね。他にも好きなサウナはありますか?
原田 3人のホームサウナとして、毎回ドラマに登場している上野の「サウナ&カプセルホテル 北欧」も大好きです。
ここは外気浴のスペースが素晴らしいんですよね。ビルの屋上にあるから、昼間の太陽の下でのんびりするのも気持ちがいいし、夜空を眺めながら休憩するのもたまらないです。特に満月の日は、すごくきれいですよ。男性専用ですが、年に数回レディースデーもあって、その日はあっという間に埋まるとウワサです。
サウナ&カプセルホテル 北欧
住所/東京都台東区上野7-2-16
TEL/03-3845-8000
営業/24時間営業 ※現在はコロナウィルス対策の一環として、サウナの営業は5:00〜10:00(予約不要)、12:00〜23:00(完全予約制)
料金/(3時間コース)1400円(休前日・土日祝・特定日1600円)
https://www.saunahokuou.com
※2021年9月現在の情報です。最新の情報はHPをご覧ください。
原田 サウナーに人気の長崎の「サウナサン」。焼肉が食べられる茨城の「ザ・グランドスパ南大門」あたりかな。富山の「スパ・アルプス」にも行ってみたいです。
ドラマで訪れた佐賀の「御船山楽園ホテル らかんの湯」も、すごくいいってウワサには聞いていてずっと行ってみたかったんですよね。去年行こうと思ったんですが、コロナ禍になってしまって諦めていたんです。それが『サ道2021』の撮影で行けることになってうれしかったです。
ここは、サウナ施設がすごいんです。男性のメディテーションサウナは中が薄暗く、スピーカーからずっと静かに音が響いてくる。実は御船山の森の中にマイクが設置してあって、森の環境音をライブで流しているんです。夜になると獣の声が聞こえることもあって、すごく面白い。
水風呂にも武雄温泉の源泉を冷やして使っているから、水がやわらかくて気持ちいい。露天風呂のあるウッドデッキの外気浴スペースも、広々としていて気持ちよかったです。しかもホテルには、サウナ付きの客室まであるんですよ。
御船山楽園ホテル らかんの湯
住所/佐賀県武雄市武雄町武雄4100
TEL/0954-23-3131
営業/(日帰り入浴・予約制)1部:15:00~17:30(男女各10名) 2部:17:30~20:00(男女各10名) ※詳細はホームページで確認を 無休
料金/(日帰り入浴)3850円
https://www.mifuneyama.co.jp
※2021年9月現在の情報です。最新の情報はHPをご覧ください。
【ほかに紹介の記事はコチラ】
“整う”そしてモテる! このサウナ行っとく? 5選【後編】
原田 『サ道2021』にも出てくるんですけれど、「今日はやっちゃったな」とか「あの人にこんなこと言っちゃった」とか、頭の中でずっと引っかかってしまうことってあるじゃないですか。1日の仕事が終わって、家に帰ってご飯を食べて寝るまでの間でうまく消化できればいいんだけど、それができなくてずっと頭から離れない時もありますよね。
そんな時にサウナでただ暑い、ただ冷たい、ただ気持ちいいを繰り返すと、頭で考える世界から、皮膚を通した“感覚”だけの世界にいける。するとずっと悩んでいたことが、すーっと遠くなっていくんですよ。“ととのう”って、あれがすべてじゃないかなって思うんですよね。
● 原田泰造(はらだ・たいぞう)
1970年3月24日生まれ、東京都出身。「ネプチューン」のメンバーとして活躍する一方、俳優として数々の作品に出演。主な出演作は「編集王」(00・CX)、NHK大河ドラマ「篤姫」(08)「龍馬伝」(10)、NHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」(13)、映画「ミッドナイト・バス」(18)、「未満警察 ミッドナイトランナー」(20・NTV)「はぐれ刑事三世」(20・EX)「夜がどれほど暗くても」(20・WOWOW)「六畳間のピアノマン」(21・NHK)映画「夏への扉」(21)、映画「キネマの神様」(21)など多数。