2022.02.14
第19回
意外と知らない「腕時計の防水性能」。壊さず使うための基本のキ!
腕時計の最大の敵となるのが「水」です。水分がケース内に入ると部品にサビが生じるなど、精度に影響を与えるのはもちろんのこと、致命的なダメージを与えることにもつながりかねません。防水性能を知って、正しく使うのが大切なのです。
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文/渋谷康人 イラスト/林田秀一
防水性能を超えた使い方は、腕時計の故障の原因
その後、防水性能を向上させる試みが各社で行われ、現在では大きく日常生活用防水、日常生活強化防水、スポーツ用防水、そして潜水用防水に分類することができます。
一度でも防水性を超えた使い方をすると、時計の内部に水が入ってすぐに壊れてしまいます。時には、修理不能なレベルまで壊れます。ですから、そんな悲しい事態を起こさないよう、自分の時計の防水性をしっかり確認して、その性能を超えない使い方をすることが大切です。
また、どんなに防水性の高い時計でも、時刻合わせのためにリュウズを引き出した状態では防水性は確保されません。時刻合わせの時以外、リュウズは必ず押し込んだ状態にしておきましょう。
付けたまま手洗いができる「日常生活防水」
日常生活防水や3気圧防水の時計は、手を洗った時に少し水がかかったり、汗や水滴、雨で時計ケースが濡れたりする程度なら、時計の中には水や水分が入ることはありません。だから日常生活で安心して使えます。
ただし、蛇口から勢い良く流れる水道水や、浴槽などの深い水の中に腕を突っ込んだりするような使い方は想定していません。日常生活防水や3気圧防水は、あくまでも“水に濡れても大丈夫”程度の防水性と考えておきましょう。
続いて、水仕事程度なら耐えられるレベルの防水性が、日常生活強化防水です。5気圧防水や50m防水と表記されます。ただ、この防水性は水泳やスキンダイビングなどのウォータースポーツに使うにはギリギリのレベル。表記の通り、日常生活の範囲内での着用を心がけましょう。
アンティークウォッチは「非防水」なので要注意
非防水とは文字通り、防水性能がまったくないということ。アンティークウォッチの多くはケースの裏ブタがパチンとはめ込むだけのスナップバック式になっているなど構造的に防水性能が圧倒的に低く、また、防水性の要であるパッキンが長い年月の間に劣化している可能性が高いのです。
非防水の時計は、汗をかいたり、手洗いや水仕事で水滴がかかったり、雨に濡れたりするだけで、内部に水や水蒸気が侵入し、それだけで内部が錆びて壊れてしまう可能性が充分にあります。特に高温多湿な日本の夏は注意が必要です。
ですから、汗をかくような状況、また水がかかるような状況では使わないのが基本。もし、少しでも水がかかったり、水分が内部に入ったりした可能性がある場合は、すぐに水分を乾いた布などで拭き取って、それから専門の時計師のチェックやメンテナンスを受けましょう。
次回は、スポーツ用防水と潜水用防水について解説します。