2019.08.29
高級時計にも寿命がある!? プロの時計修理師が解説するメンテナンス術
機械式時計を長年愛用するには、定期的なメンテナンス(オーバーホール)が欠かせないってご存知でしょうか? もしかすると、「メンテナンスってナニ?」という人も、いらっしゃるでしょう。そこでプロの時計修理人にメンテナンスの重要性を伺いました。
- CREDIT :
写真/内田裕介 文/長谷川 剛(04)
業者も駆け込むプロのメンテナンス術とは?
今回お話を伺ったのは、八重洲で時計修理会社・ゼンマイワークスを運営する佐藤 努(さとう・つとむ)さん。一新時計で修理部門の責任者のキャリアを持ち、2014年に独立。
スイス大御所メーカー直伝のリペア・メンテナンスのノウハウは、本邦屈指のもので、ほとんどの修理依頼は断らずに受けてくれる凄腕の時計師です。

もちろん、修理内容によっては多少高額になる場合はあります。コストと気持ちの問題から修理を諦めたり、他社を検討されたりするケースもありますが、弊社に持ち込まれるお客様はコストを覚悟していらっしゃる方がほとんどです。
── それほど真の時計愛好家から信頼を寄せられているというわけですね。ゼンマイワークスの技術のベースは、スイスの老舗ブランドのノウハウだとか。
佐藤 はい。ウチが行なう修理やオーバーホールの代金は、他と比べて安くはありませんが、機械式時計は繊細なバランスの上に成り立っている精密機械。注油工程ひとつ取っても、機体の個性や経年変化などの具合を見ながら適切な処理を加えつつ行なうため、作業内容も実は一律ではありません。それゆえ、きちんとしたサービスを行なうには時間がかかりますし、その分代金にも影響することは知っておいていただきたいです。

専門店でも、メンテナンス費用にバラツキがあるのはなぜか?
佐藤 昨今はコストを気にされる方も多いのでしょう。コストカットに注力しているショップも多く見受けられます。もちろん、高い=良い、安い=悪いとは一概には言えませんし、お客様にとってリーズナブルなメンテナンスは確かなメリットです。
とはいえ、コストカットのみを追求した結果、修理が行き届かない場合もあります。コスト面以外にも、業界内には「時計を壊すのは時計屋」(=間違った修理によって時計を壊す時計師もいる)という言葉もありますし、確かな知識と経験を備えた、信頼の置ける修理店を見つけるのが重要でしょう。

オーバーホールのタイミングは3〜5年に一度
佐藤 手巻きや自動巻き、クロノグラフといった基本スペックに加え、個体の使用頻度も関係してくるので、一概には断定できません。ただし、だいたい3〜5年に一度はオーバーホールしておくのが良いと考えます。また弊社では磁気帯びや防水、精度チェックを行なう簡単な検査サービス(1回3000円)も行っています。
こういった“健康診断”を普段から行っておくことで、オーバーホールの適正なタイミングも把握しやすくなりますし、また、普段から時計の“健康”を気遣っておけば、大きな故障を事前に防ぐことにも繋がります。
世界で1本の時計を叶える、カスタムサービスも

他にもケースへのセラミックコーティング(セラコート)に加え、文字盤やハンドなどをドレスアップする「MOD(モディファイ)」もご好評いただいています。

● 佐藤 努(さとう・つとむ)
1968年大阪生まれ。1989年より一新時計株式会社サービス部に勤務。その間にパテック・フィリップ、ショパールなどの海外研修を受ける。2014年ゼンマイワークスを始動。現在、代表取締役社長。
■ ゼンマイワークス
住所/東京都中央区八重洲2-11-7一新ビル2階
営業時間/10:30-12:30、13:30-18:00
URL/http://www.zenmaiworks.jp/
お問い合わせ/03-6262-3889
※依頼の際は事前予約をすると、スムーズに対応可能