2022.07.02
高級時計の未来を担う、注目の独立時計ブランド「アクリヴィア」が日本初上陸!
時計業界で今、もっとも注目されるキーパーソン、独立時計師のレジェップ・レジェピさんに自身のブランド「アクリヴィア」と、時計作りへのこだわりについて伺いました。時計通なら絶対に見逃せないマイクロメゾンです。
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取材・写真・文/渋谷康人
世界中の時計通が注目する「アクリヴィア」が日本初上陸!
レジェピさんは35歳にして、時計師としてのキャリアはなんと20年! スイスの時計業界の中でも、異色かつ華麗な経歴をもったレジェピさんの時計作りへのこだわりを特別に伺いました。
「時計の歴史に燦然と輝く、そんな機械式時計を作りたい」
そんなレジェピさんとアクリヴィアの名が一躍知られるようになったのは2018年末。新作の前身であるレジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅰ(ワン)が、“時計界のアカデミー賞”ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでメンズウォッチ賞を受賞した時からでした。
「時計作りの伝統を尊重しながら、未来を先取りした新しい機械式時計を作りたい。時計の歴史に燦然と輝き、後世に残る時計です。時計作りをしている時に、どんな時よりも幸福を感じます」と、レジェピさんは笑顔で語ります。
「12歳で、生まれ故郷を離れてジュネーブへ」
「私の時計に関する最初の記憶は、父が愛用していた時計です。当時からモノづくりや機械が好きだった私は、父の身に付けていた時計という機械の不思議に魅力を感じていました。
そして12歳の時、到着したジュネーブ空港で時計の広告をたくさん目にして『ああ、ここは時計の国なんだな』と思いました。思えばその時から、時計師への道を歩き始めていたのでしょう」
言葉と文化の壁に戸惑いながらもレジェピ少年は、時計ブランドの研修を受けて時計師を目指します。部品のヤスリがけなど当初はまったくできなかったそうですが、努力を続けるうちに才能が開花。15歳で、数百人の研修生の中からわずか数名という狭き門を突破して名門 パテック フィリップの見習いとなり、時計師の技能資格も取得します。
「パテック フィリップでは時計作りの基本のすべてを学ぶことができました。そして、独立時計師になろうと思ったのもパテック フィリップの研修生だった16歳の頃。当時発表された10日巻きトゥールビヨンモデルに触れて『自分でもいつかこんな時計を作ろう』と決めたのです」
伝説の工房を経て独立時計師の世界へ
そして2012年、25歳で独立。「AKRIVIA」とは古代ギリシャ語で精度を意味する言葉です。
「機械式時計は芸術作品であると同時に、時間を正確に刻み、表示するもの。それが時計の本質だと思います。だから、人は機械式時計に魅了され続けるのでしょう」
ただ、独立当初はなかなか売れなかったそう。
「人生は思い通りにならない。そのことを思い知らされました。当初は、他社の仕事を請け負ったりもしましたね」
そして、テイ氏の勧めで製作し、レジェピ氏のキャリアの大きな転機になったのが、先述のレジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅰでした。文字盤に初めて自分の名を記したこのモデルは、1940年代の将校用時計にインスパイアされたクラシックなスモールセコンドタイプの高精度時計です。
テンワと3番車のサイズを同径にしたシンメトリーな設計のムーブメントは、その美しさと機能性によって業界に大きな衝撃を与えました。
ひとつの時計をすべて自分の手で作り上げるこだわり
▲ 今回発表された新作。3年を要して開発された、まったく新しいムーブメントCal.RRCC02を搭載する。「レジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅱ」手巻き、プラチナケース(38mm)、カーフスキン。世界限定50本。価格未定/アクリヴィア(アワーグラス銀座店)
▲ 「レジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅱ」手巻き、5Nローズゴールドケース(38mm)、カーフスキン。世界限定50本。価格未定/アクリヴィア(アワーグラス銀座店)
▲ 今回発表された新作。3年を要して開発された、まったく新しいムーブメントCal.RRCC02を搭載する。「レジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅱ」手巻き、プラチナケース(38mm)、カーフスキン。世界限定50本。価格未定/アクリヴィア(アワーグラス銀座店)
▲ 「レジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅱ」手巻き、5Nローズゴールドケース(38mm)、カーフスキン。世界限定50本。価格未定/アクリヴィア(アワーグラス銀座店)
ムーブメントの前作との最大の違いは、クロノメーターモデルにふさわしく、秒針が1秒ごとにステップ運針する「デッドビートセコンド機構」が組み込まれていること(※)。まさに、1秒1秒を“高精度”で表示するというわけ。
しかも時計の時間精度にこの機構が一切影響を与えないように、別の歯車輪列で組み込まれている。つまりは、クラシックな外装に、革新的なクロノメータームーブメントを搭載した次世代のモデルなのです。
「本質を極めた時計には、時代を超える価値があります」
▲ ジュネーブの旧市街にあるアクリヴィアの工房。時計製造へ親しみを感じてもらうために、歩道から工房内を覗ける配置にしている。 ©Yasuhito Shibuya
▲ ジュネーブの旧市街にあるアクリヴィアの工房。時計製造へ親しみを感じてもらうために、歩道から工房内を覗ける配置にしている。 ©Yasuhito Shibuya
▲ ジュネーブの旧市街にあるアクリヴィアの工房。時計製造へ親しみを感じてもらうために、歩道から工房内を覗ける配置にしている。 ©Yasuhito Shibuya
▲ ジュネーブの旧市街にあるアクリヴィアの工房。時計製造へ親しみを感じてもらうために、歩道から工房内を覗ける配置にしている。 ©Yasuhito Shibuya
引退していたもののレジェピさんの求めに応じて2019年に復帰したハグマン氏はここで、金属の円盤から伝統的な機械でケースを削り出す古典的なケースメイキングの技をレジェピさんらに応じて伝授しているのです。
最高峰の職人技による時計作りにこだわるレジェピさんとアクリヴィア。私たちは幸運にも、その芸術的で独創的なクリエーションを同時代で目撃できる立場にあります。時計好きの方にはぜひ気にかけてほしい存在です。
● レジェップ・レジェピ
1987年生まれ。独立時計師。15歳からパテック フィリップにて研修を開始。その後、BNPコンセプト、F.P. ジュルヌで活躍し、2012年に「アクリヴィア」を創設。2018年、レジェップ・レジェピ・クロノメトル・コンテンポラン Ⅰが、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでメンズウォッチ賞を受賞した。
■ お問い合わせ
アワーグラス銀座店 03-5537-7888