ブルガリの腕時計が人々を魅了する理由

オクトの開発背景、そしてブルガリの時計作りの根幹にあるもの何か? そんなお話を伺いました。
腕時計の表現に一石を投じた『オクト』コレクション

時計デザインの巨匠、ジェラルド・ジェンタ氏が考案した8角形フォルムを下敷きにしつつ、現代的なスポーツウォッチの要素を取り入れたデザインは従来の腕時計の表現にはないもので、たちまち全世界で大ヒットしたのは、読者の皆さんもご存知の通りでしょう。
—— 一体、このオクトはどのような経緯で誕生したのでしょうか?
ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニさん(以下、ファブリツィオ) オクト誕生以前のスポーツウォッチは、モータースポーツや航空界、ミリタリーの世界などとの密接な関係を持つマッシブなデザインのものが人気を博していました。
しかし、ファッションのトレンドが移り変わるに伴い、分厚くて大きい時計ではなく、手首にフィットする薄型の時計を市場が求めはじめた。ブルガリの強みはイタリアンスタイルの洗練デザインですから、そうした市場のニーズに完璧に応える時計ができると考え、2012年にオクト オリジナーレを開発したのです。

ファブリツィオ 根底にあるのは、新しいコンプリケーションウォッチの提案です。以前のコンプリケーションウォッチは、ラウンドケースに白文字盤を装着し、ストラップはアリゲーターといった具合の、いわゆる古典的なタキシードウォッチが主流でしたよね。
私はそれをオクト フィニッシモの超薄型多層構造ケースで打破したかった。ケースと一体化するインテグレーテッドブレスレットもそうですが、こういうスタイリッシュな造形のコンプリケーションはそれまでありませんでしたから。
—— 確かに、複雑系は保守的なデザインが多かったと思います。
ファブリツィオ ちなみにシンプルな3針モデルであっても、オクト フィニッシモのように超薄型ムーブメントを積み、超薄型ケースで仕立てたものは立派なコンプリケーションだと考えています。
—— 今ではありとあらゆる分野で世界最薄記録を達成しましたが、薄さはこれからも追求していくのでしょうか?
ファブリツィオ これは結果です。私たちが薄さを極め続けているのは、ブルガリの時計作りが機能美も大切にしているからでもあります。世界最薄レコードはともかく、これからも薄さにこだわったモデルを発表していくでしょう。
最近では、最近いろんなブランドが薄さに関して追随してきた。これはとても喜ばしいことだと考えています。真似されてこそ本物ですから。ただし、トゥールビヨンの開発などに関してはまだまだ他ブランドが真似できないと自負していますが(笑)。
コラボレーションによってもたらされる新たな刺激

ファブリツィオ ブルガリの時計デザインのインスピレーションは、いろんなところから得ています。特に、私の場合は時計業界ではなく、外の世界からインスパイアされるものが多い。ブルガリはローマのブランドですから、もちろんローマの歴史的建造物からも大いに影響を受けています。
アーティストとコラボを行うのもその流れ。話題性ではなく、純粋に彼らの感性から刺激を受けて新しいウォッチメイキングをしたいからです。
—— 最近では、世界中に熱狂的信者を持つイラストレーターの空山基さんとコラボしたブルガリ アルミニウム ウォッチ 空山基 限定モデルを発表しました。彼を指名したのはファブリツィオさんですか?

ちなみに空山さんとのお話があった時は、すぐに彼に電話しました。メールより先に電話を。なぜなら空山さんは、若い頃から私がマスター(師)と仰ぐ存在でしたから。それですぐにオンラインミーティングをセッティングし、プロジェクトを煮詰めていきました。
目の前でお互いにデザインラフを書いて、「これでOK?」「いや、ここはこうしたほうがいいね」なんて感じに。とても刺激的な時間でした。
▲建築家の妹島和代さんとコラボした「オクト フィニッシモ 妹島和代 限定モデル」。ケースとブレスには丹念にポリッシュ加工が施され、文字盤には強いミラー効果を放つサファイアクリスタルをセット。その表面には細かなドットパターンが施され、妹島さんがテーマとするビジブルとインビジブルを感じさせる。「オクト フィニッシモ 妹島和代 限定モデル」自動巻き、SSケース(40mm)×ブレスレット。100メートル防水。177万1000円。世界限定360本/ブルガリ(ブルガリ ジャパン)
▲優美なティアドロップ型のケースと、手首に巻きつけるブレスレットを特徴とするレディスウォッチのアイコン「セルペンティ」にも魅力的な新作が登場。左はケースとブレスにブラックセラミックを用いた「セルペンティ スピガ セラミック」。右は超小型のトゥールビヨン・ムーブメントを搭載し、パヴェダイヤモンドとオニキスを散りばめた「セルペンティ セドゥットリ トゥールビヨン」。左から「セルペンティ スピガ ウォッチ」クォーツ、セラミックケース(35mm)×ダブルスパイラルブレスレット。30m防水。209万円。「セルペンティ セドゥットリ トゥールビヨン」手巻き、18KWGケース(34mm)×ブレスレット。30m防水。2337万5000円/ともにブルガリ(ブルガリ ジャパン)
▲建築家の妹島和代さんとコラボした「オクト フィニッシモ 妹島和代 限定モデル」。ケースとブレスには丹念にポリッシュ加工が施され、文字盤には強いミラー効果を放つサファイアクリスタルをセット。その表面には細かなドットパターンが施され、妹島さんがテーマとするビジブルとインビジブルを感じさせる。「オクト フィニッシモ 妹島和代 限定モデル」自動巻き、SSケース(40mm)×ブレスレット。100メートル防水。177万1000円。世界限定360本/ブルガリ(ブルガリ ジャパン)
▲優美なティアドロップ型のケースと、手首に巻きつけるブレスレットを特徴とするレディスウォッチのアイコン「セルペンティ」にも魅力的な新作が登場。左はケースとブレスにブラックセラミックを用いた「セルペンティ スピガ セラミック」。右は超小型のトゥールビヨン・ムーブメントを搭載し、パヴェダイヤモンドとオニキスを散りばめた「セルペンティ セドゥットリ トゥールビヨン」。左から「セルペンティ スピガ ウォッチ」クォーツ、セラミックケース(35mm)×ダブルスパイラルブレスレット。30m防水。209万円。「セルペンティ セドゥットリ トゥールビヨン」手巻き、18KWGケース(34mm)×ブレスレット。30m防水。2337万5000円/ともにブルガリ(ブルガリ ジャパン)
ファブリツィオ 妹島さんとのコラボは、何度もディスカッションを重ねて実現したものです。彼女の作品は、見えるもの(ビジブル)と見えないもの(インビジブル)とのコントラストに着目したものが多い。
今回は景色を写り込ませて走る鏡面の電車というイメージが浮かび、そこからケースの加工や仕上げについてさまざまなチャレンジを行うことになりました。オクトのDNAを保ったまま、まったく新しい表現ができたと感じています。
ブルガリ流のタイムレスな時計を追求し続ける

ファブリツィオ 先ほどもお話しした機能美を、様々な角度からピュアに追求していくことでしょうか。それでいて今まで存在したどの時計よりもコンテンポラリーで、ブランドの背景にあるイタリアやローマのデザイン様式を反映した時計を作り続けたい。それでこそブルガリらしい真のタイムレスな時計ができると信じています。どうぞご期待ください。

● ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ
1971年イタリア・ナポリ生まれ。ブルガリ プロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター。工業デザイン大学ローマ校を卒業。フィアット・スタイル・センターを経て、ブルガリに移籍。2007年より開始されたオクトコレクションのデザイン開発を一貫して指揮・統括している。
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ブルガリ ジャパン 03-6362-0100