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2023.01.07

“手の届くラグジュアリー”を追求する腕時計「フレデリック・コンスタント」の新戦略とは

“手の届くラグジュアリー”というコンセプトで、1988年にスイスで誕生した「フレデリック・コンスタント」。2018年からマネージング・ディレクターとしてブランドを率いるニールス・エガーディンさんに、ブランドの新戦略を聞きました。

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写真/大森 直(TRS) 文/渋谷康人

最先端からエントリーモデルまで、独自の魅力を放つ機械式時計を展開

フレデリック・コンスタントは、老舗揃いのスイス時計業界の中で、30余年で頭角を現した実力派ブランド。現在最速の超高振動ムーブメントを開発・製品化する高い技術力をもつ一方で、“手の届くラグジュアリー”のコンセプトを守り続け、時計通も納得するモデルの数々を展開しています。

その舵取りを担うマネージング・ディレクターのニールス・エガーディンさんに、フレデリック・コンスタントの魅力と、時計のプロも注視するこれからの製品展開について伺いました
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「起業家精神あふれるフレデリック・コンスタントの社風」

── ニールスさんは、2012年にフレデリック・コンスタントに入社される前から時計業界にいらしたんですよね。

ニールス・エガーディンさん(以下、ニールス) ええ。1998年、20歳で時計の販売会社でインターンを経験し、それがきっかけでスイスの時計会社から工場見学に招かれたことで、時計の美しさに目覚めました。その後、24歳でオランダの大学に入学し、卒業後に、スウォッチ グループでサーチナやラドー、ロンジンなどのセールス部門で計11年間働きました。

── その時、フレデリック・コンスタントの創業者で社長のピーター・スタースさんにスカウトされたとか。

ニールス ええ、ロンジンにいた時、当時世界最大の時計フェアだったバーゼルワールドで、ロンジンとフレデリック・コンスタントのブースが通路を挟んで向かい合っていて、スタースさんがロンジンのブースに新作時計をチェックしに来たんです。

スタースさんはオランダ生まれで、私もオランダのアムステルダム出身。だからオランダ語で「スパイしないでね」とツッコミを入れました(笑)。その後「ウチに来ないか」と誘われたんです。スタースさんはバーゼルワールドの時が初対面だと思ったそうですが、実は20歳でインターンしていた販売店で時計を売り込みに来た時に会っていたんです。

── フレデリック・コンスタントに入社を決断した理由は?

ニールス スタースさんが語る時計への情熱に意気投合しましたし、ブランドのビジョンにも惹かれました。起業家精神にあふれていてファミリー的な雰囲気にも好感を持ちました。この会社ならもっと成長できるし、仕事のやりがいがあると思い、2012年に営業副部長として入社したんです。
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「現代的なハイライフ コレクションを企画・開発しました」

▲ COSC公認クロノメータームーブメントを搭載したハイライフ コレクションの新作。「ハイライフ オートマチック COSC」自動巻き、SSケース(39mm)×ブレスレット。5気圧防水。27万2800円/フレデリック・コンスタント(フレデリック・コンスタント相談室)
▲ COSC公認クロノメータームーブメントを搭載したハイライフ コレクションの新作。「ハイライフ オートマチック COSC」自動巻き、SSケース(39mm)×ブレスレット。ラバーストラップが付属。5気圧防水。27万2800円/フレデリック・コンスタント(フレデリック・コンスタント相談室)
── 2014年にはグループの販売・営業部長に就任され、2018年から現職に就かれたわけですね。どんなことに取り組まれたのか、教えてください。

ニールス まず取り組んだのが2019年から発売を開始したハイライフ コレクションの企画・開発です。それまでフレデリック・コンスタントは、自社開発ムーブメントを搭載した時計愛好家向けのマニュファクチュール コレクションと、機械式時計の魅力を身近に楽しんで頂くためのクラシック コレクションの2つを展開してきました。

ですが、世界を周って3000ヵ所の販売ネットワークを築く仕事をしている中で、これまでとは違う新しい顧客向けに、スポーティシックな第3のコレクションが必要だと確信したんです。スタースさんは「自分にはピンと来ない」と言いましたが、私に任せて好きにやらせてくれました。

── ハイライフ コレクションは、ニールスさんの考えから生まれたんですね。確かに、“エレガント&スポーティ”といった見た目で、発表当初、それまでのフレデリック・コンスタントのモデルとは一線を画していると感じました。企画に当たってどんな点を重視しましたか。
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ニールス 近年、高級時計ブランドでは、直線的でエッジの効いたスポーツウォッチが人気です。

── いわゆるラグジュアリースポーツに分類されるジャンルですね。

ニールス 一方で、時計の定番として変わらぬ人気を誇るのが、丸型で柔らかなラインのクラシックウォッチです。ハイライフはその橋渡しをするデザインにしたいと考えました。スポーティにし過ぎず、あくまで基本はクラシックな曲線を基調にしています。

また、さまざまなシーンで着けて楽しんでもらえるように、ブレスレットやストラップを自分で簡単に交換できるインターチェンジャブルな構造にすることにもこだわりました。

── メンズモデルもレディースモデルもインターチェンジャブルストラップ&ブレスレット仕様ですね。ブランドのアイコンである、ムーブメントの脱進調速機の動きが楽しめるハートビート機構搭載モデルはもちろん、高精度なCOSC認定モデル、さらにはパーペチュアルカレンダーやスケルトンモデルも展開していますね。

ニールス 新型コロナ禍に見舞われる直前の2019年にスタートしたのですが、おかげさまで現在、売上の約40%がハイライフ コレクションです。

── ニールスさんに先見の明があったわけですね。
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「時計愛好家にも、初心者にも、もっと愛されるブランドに」

── マニュファクチュール コレクションには、通常のハイビートの10倍、毎時28万8000振動の独自のシリコン製オシレーターを搭載したスリムライン モノリシック マニュファクチュールのような革新的モデルもあります。その技術力はもっと高く評価されていいと思いますが。

ニールス 確かに、技術力は過小評価されているかもしれませんね。スイスでも、自社製ムーブメントを搭載したワールドタイムウォッチやパーペチュアルカレンダーウォッチを私たち以上に数多く生産している時計ブランドはあまりないと思いますし。
── 最後に、ニールスさんが考えている今後の新製品の方向について、教えてください。

ニールス 今後の新作展開については、2つの方向を考えています。ひとつは、ハイエンドなマニュファクチュール コレクションをさらに強化して、より時計愛好家の皆さんから愛されるブランドになること。そのために、2019年にはジュネーブのプラ・レ・ワットの自社工場を拡張して、これまで年1〜2個が目標だった新型ムーブメントの開発ペースを、年2〜3個に増やせる体制を整えました。さらにハイエンドなモデルを準備していますので、今後の展開にご期待ください。

── 機械式時計ならではの魅力が味わえる複雑系を充実させるのですね。では、もうひとつの方向とは?

ニールス もうひとつはハイライフ コレクションやクラシック コレクションのようなミドルレンジの製品を充実させていくことです。今、ライバルとなる時計ブランドは、どんどんハイエンドな高額モデルにシフトしていますが、私たちは今後も“手の届くラグジュアリー”という創業以来のコンセプトを変わらずキープして行きます。

今、ミドルレンジのマーケットは縮小していますが、私の息子らZ世代のことを考えると、ハイエンドに加えて、ミドルレンジ、どちらの製品も大切です。機械式時計の入口となるブランドであり続けたいと思います。

● ニールス・エガーディン

1978年オランダ・アムステルダム生まれ。アイントホーフェン大学で経営学を学びながら時計業界で働き始め、スウォッチ グループに11年間勤務した後、2012年にフレデリック・コンスタント・グループに入社。2014年に販売・営業部長に就任。2018年から現職、フレデリック・コンスタントのマネージング・ディレクターに。

※掲載商品はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ

フレデリック・コンスタント相談室 0570-03-1988

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