【2023年 新作時計】色と素材の最先端を行く「ウブロ」

ウブロの新作でまず目を惹いたのは、2016年から取り組む透明なサファイアクリスタルケースの新色。人工衛星技術分野で開発されたSAXEMを応用した第2弾で、昨年のグリーンに続き、今回はイエローネオンが登場しました。

透明に輝くイエローは、まるで内側から光を放っているかのよう。さらにカーボン素材にもブラック×スカイブルーの新色が登場しています。

また、色に遊ぶ一方で、クラシック・フュージョンは創業当時のデザインにインスパイヤされた新作が誕生。インデックスのないプレーンなブラックダイヤルは、エレガントな大人の色香を漂わせます。

天然のサファイアとルビーは、実は、どちらも酸化アルミニウムが幾何学的に結晶化したコランダムと呼ばれる物質です。色が異なるのは、結晶化の際、混ざる金属が違っているから。

サファイアクリスタルは、純粋な酸化アルミニウムの人工コランダム。その生成の際、ウブロはさまざまな金属を混ぜ込み、これまで、ブルーやパープル、オレンジなどを実現してきました。

そのニューカラーが、イエローネオン。モデル名にあるSAXEMとは、酸化アルミニウムにレアメタルを加えて生成したことを意味します。透明な蛍光色のイエローは、どこかシトラスキャンディにも似て爽やか。2021年から使われるマイクロローター式の自社製自動巻きトゥールビヨンも、各パーツをサファイアクリスタルで支え、豊かな透明感を手に入れています。

カーボン素材も得意とするウブロは、合成素材を混ぜ合わせ加熱圧縮したフォージド系新素材を自社開発してきました。こちらは、スカイブルーの合成素材を用いた新色。マーブル調にスカイブルーとブラックとが混ざり合う様子は、カモフラージュ柄にも似て、スタイリッシュです。

縦方向にカーブしたトノー型ケースは、フィット感抜群。切削加工が難しいカーボン素材を、こんな立体的に削り出せる技術をウブロは研鑽してきました。

ケースにキッチリと収まるトゥールビヨン・ムーブメントは、むろん自社製。フレーム構造による透明な設えがいかにもウブロらしく、オフセットしたダイヤルの左側に、5日間のパワーリザーブ計を装備しています。

ウブロの創業者カルロ・クロッコは、1980年にゴールドケースとラバーストラップとを初めて組み合わせた先駆者。“The Art of Fusion（異なる素材やアイデアの融合）”とのコンセプトは、創業当時からすでに発揮されていたのです。彼のデザインは、現在のクラシック・フュージョンにも色濃く受け継がれています。

さらに新作では、“オリジナル”の名の通り、当時のデザインをより強く写し取っています。最も特徴的なのは、インデックスがないプレーンなブラックダイヤル。ラッカーを塗り重ね、丁寧に研ぎ出したグロッシーなブラックは、どこかセクシーな印象です。

オリジナルに基づくイエローゴールドに加え、今のウブロらしいチタンとブラックセラミックとをラインナップ。素材による印象の違いも、楽しめます。