2020.07.19
世界三大ラグスポ時計ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」のルーツは…
2016年に第三世代へと進化したヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ」。1996年の登場から進化を続けるロングセラーモデルの歴史に迫ります。
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写真/蜂谷哲実(hachiya studio) 文/鈴木裕之
なぜ、"ラグジュアリースポーツ"が高級時計の定番となったか
その御三家と呼ばれるのが、約半世紀のロングセラーを誇るオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」、パテック・フィリップ「ノーチラス」、ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」。
今回は、御三家の中で最もドラスティックな変化を繰り返してきた、ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」の歴史を振り返ります。
創業222年を記念したモデルが原点
先行したロイヤル オークや、パテック フィリップの「ノーチラス」が、主にイタリア市場からの強いリクエストから生まれたのと異なり、222はシンガポールを中心としたアジア市場からの要望が強かったといいます。
もうひとつ「222」で決定的に違うのはデザイナーです。当時のヴァシュロン・コンスタンタンは、このデザインを新進気鋭のヨルグ・イゼックに託しました。大先輩のジェラルド・ジェンタが2ピースケースを上下ネジ留めする手法を好んだのに対し、イゼックはもっとシンプルな解決方法に辿り着きました。それはベゼル全体をねじ込み式とすること。
222のベゼル外周にある無数の窪みは、専用工具を引っかけるためのミゾでもあったのです。そして何より、イゼックがねじ込みベゼルという手法を採ったことで、222には「シンプルなラウンドフェイス」という最大の特徴が加わりました。
そして1996年に、222の直接的な後継機となる「オーヴァーシーズ」を誕生させるのです。新たな命を吹き込まれたオーヴァーシーズのコンセプトは、その名が示すとおりの旅時計でした。つまりトラベルウォッチに最低限必要なタフネスさこそが、オーヴァーシーズのデザインをスポーティにしている所以なのです。
進化を続け、オンオフともに"より使える"モデルへ
2016年に第3世代へと進化した現行オーヴァーシーズは、スポーツウォッチらしいゴリゴリしたエッジ感を持っていた第2世代を、より現代的にソフィスティケートしたものだと彼らは語ります。同時にインターチェンジャブル式のブレスレットをスポーツラグジュアリーにいち早く採り入れるなど、時代を先取りする感性も優れていたのです。
■ お問い合わせ
ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755