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2025.04.25

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極薄時計を作り続ける「ブルガリ」の秘密は工房にあり

今年ウォッチズ&ワンダーズのデビューとなったブルガリは、そのスタートを『オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン』で華々しく飾りました。史上最薄トゥールビヨンの座を再び奪取し、超薄型のトップランナーとして牽引するだけでなく、ブルガリは独自のウォッチメイキングを追求します。それを支えるのがスイスにある3つの工房。その最新のマニュファクチュールの現場をレポートします。

CREDIT :

文/柴田 充 編集/津坂泰輔(LEON)

世界最薄記録を更新し続けるブルガリのウォッチメイキングをレポート

2021年に登場した「オクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダー」が搭載するCal.BVL138は、2.23mmという極薄を実現するため、マイクロローターを採用します。自動巻きの実用性に約60時間の持続時間を誇ります。
▲ 2021年発表の「オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー」に搭載されたCal.BVL305。ムーブメント厚2.75mmという極薄を実現するためにマイクロローターを採用し、パワーリザーブは約60時間を誇ります。
ウォッチズ&ワンダーズ 2025のオクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨンで、ブルガリは10度目の世界最薄記録という偉業を成し遂げました。超薄型時計は、ハイコンプリケーションに匹敵する高度な技術を要し、いわばマニュファクチュールの証であるとともに、オリジナリティを極める精神の象徴にほかなりません。これに到るブルガリの軌跡をまず紐解きましょう。
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ブルガリのウォッチメイキングの歴史は1918年代に遡ります。やがて1948年に初代セルペンティを発表し、1975年には優良顧客向けのギフト用に作ったブルガリ・ローマが評判を呼び、1977年にブルガリ・ブルガリが誕生しました。

そしてニューヨーク、ジュネーブ、パリ、モンテカルロなどにブティックを展開する中、そこでの販売を中心にした時計の開発、製造を統括する「ブルガリ・タイム」社を1982年にジュネーブに創設しました。
ウォッチメイキングの垂直統合化へと大きく舵を切ったのは2000年のことです。同年まずジェラルド・ジェンタとダニエル・ロートというふたつの名門ブランド関連の製造施設を所有する「マニュファクチュール・ド・オートオルロジュリー」社の株式を100%取得し、新たに「ダニエル・ロート&ジェラルド・ジェンタ・オート・オルロジュリー」社を設立。機械式ムーブメントのノウハウを獲得します。

そして2005年に、ダイヤルメーカーの「カドラン・デザイン」社とメタルブレスレットメーカーの「プレステージ・ド・オール」社を買収することで、高品質のダイヤルとSSやプレシャスメタルのブレスレット製造を可能にしました。さらに2007年にはハイエンドのケース製造で知られる「フィンガー」社を獲得し、盤石の体制を築いたのです。
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この垂直統合化を果たしたマニュファクチュール宣言として、2009年に初の自社製モジュールである「デート・レトログラード・インディケーター」を発表し、ついに2010年に初の自社開発製造の自動巻きムーブメントCal.BVL168が誕生しました。以降、躍進は現在へと続きます。

長い伝統を誇るスイス時計から見れば、ブルガリのウォッチメイキングの歴史はまだ浅いといえるかも知れません。しかし現代の技術革新のスピードからすれば、1975年のブルガリ・ローマからの半世紀もかつての倍以上に匹敵するでしょう。そしてそれは時計技術にも大いなる進化をもたらしているのです。

デザイン、パーツ製造、組み立てまで……
3つの工房で作られるブルガリの時計

ル・サンティエにあるブルガリ ウォッチ オルロジュリーのムーブメント工房。本館とその左に新館が並びます。本館は19世紀末に建てられた歴史的建造物の外装を維持し、ウォッチメイキングの伝統を継承します。
▲ ル・サンティエにある「ブルガリ ウォッチ オートオルロジュリー工房」。本館とその左に新館が並びます。本館は19世紀末に建てられた歴史的建造物の外装を維持し、ウォッチメイキングの伝統を継承します。
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現在、ブルガリ ウォッチ オルロジュリーではヌーシャテルの本社に加え、セーニュレジェにダイヤルとケースの工房、ジュウ渓谷のル・サンティエにムーブメント工房を構え、同社のスイス部門では約600人のスタッフが従事しています。

今回訪れたのは、このうちムーブメント工房と本社。まずムーブメントの技術開発や製造の中枢であるル・サンティエの工房に訪れました。
ジュウ渓谷にある人口1900人の街ル・サンティエは、スイス時計産業において最も重要な場所になっています。前述の通り、工房はジェラルド・ジェンタとダニエル・ロート関連の製造施設を前身に、1890年に開業した本館と2007年に設立した新館の2棟からなり、現在約150人がムーブメントの研究開発から最終組み立てに従事します。

そこでは主にCal.BVL138をベースとしたオクト フィニッシモや、最新の小型ムーブメントのピコリッシモ(Cal.BVL100)、さらにトゥールビヨンやミニッツリピーター、グランソヌリといったグランドコンプリケーションを製作しています。
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▲ 本館とは独立した形で2007年に新たに建てられた新館は、よりコンテンポラリーな外観に最新鋭の設備を整え、ムーブメントの設計開発からプロトタイプの試作、プレートやブリッジの製造から最終組み立てを担います。
まず案内された新館の試作部門では、ウォッチ デザイン部門を率いるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニのデザインを設計に落とし込み、3Dでの試行錯誤を繰り返した後、プロトタイプ製作へと進めます。

それぞれ一人の担当者が専任し、たとえば2019年に発表したオクト ローマ グランソヌリ プチソヌリ パーペチュアルカレンダーでは、デザインスケッチから設計の最終決定まで約2か月を要しました。最新のデジタル技術を駆使するとはいえ、担当するにはマイクロテクニクスのスキルはもちろん、時計師としての技術を修得し、手作業の基礎があった上で初めて取り組めるといいます。
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次に訪れたパーツ製造では、バー旋盤、CNC、電解加工機を用いて、プレート、ブリッジ、ギア、ピニオン、カム、板バネなどが製造されています。これらはマシニングによって製作された後、面取りやペルラージュなどの装飾は主に熟練を要する手作業で施され、次の工程へと送られます。

組み立て工房では、スタンダードムーブメントの精度や持続時間などの検査を並行して行なう一方、複雑機構のトゥールビヨンや最新のピコリッシモは別のスペースで組み立てられます。これはより高度な技術が求められることに加え、新しいムーブメントではより効率的な製造プロセスを検討するため。

ブルガリが得意とする“鳴り物”ムーブメントの工房がコチラ

白眉ともいえるのが本館にあるストライキングウォッチ専門の組み立て工房で、グランソヌリまで自製するスイス時計業界でも現在唯一のマニュファクチュールです。
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2ハンマーのオクト フィニッシモ ミニッツリピーター、3ハンマーのオクト ローマ カリヨン トゥールビヨン、4ハンマーのオクト ローマ グランソヌリ パーペチュアルカレンダーを製作し、なかでもグランソヌリは900パーツを組み込むのに約3週間を要し、在籍する6人の時計師でも2人しか作れないそう。さらに音色を磨き上げ、最終的なケーシングまでには平均6ヶ月かかります。
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未来のブルガリウォッチを生み出す「ブルガリ ウォッチ オルロジュリー工房」

スイス時計産業の聖地であるヌーシャテルでは、多くの名門ブランドが生まれました。ブルガリ ウォッチ オートオルロジュリーは1991年に開業し、本社機能始め、設計、技術部門、組み立て、アフターサービスを担います。
▲ スイス時計産業の聖地であるヌーシャテルでは、多くの名門ブランドが生まれました。「ブルガリ ウォッチ オルロジュリー工房」は1991年に開業し、本社機能始め、設計、技術部門、組み立て、アフターサービスを担います。
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ブルガリのウォッチメイキングの本丸として、すべての起点であり終点の場所となるのが、ヌーシャテルにある「ブルガリ ウォッチ オルロジュリー工房」です。1991年にそれまで「ブルガリ・タイム」のあったジュネーブから移転し、当時19人だったスタッフも現在では約160名が設計や技術開発、組み立て、アフターサービスに従事します。

プレゼンテーションルームには、これまで手がけたエポックメイキングとなる名作が時系列で紹介され、世界的な時計賞の受賞歴には権威あるGPHG(ジュネーブウォッチグランプリ)での100回に渡る栄誉も。そのうち85件はオクトが受賞したというのも驚かされます。

同じフロアにはファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニのデザインアトリエもありますが、それはトップシークレット。まさに未来のブルガリウォッチの揺籃です。

最後は、熟練の職人による完璧なケーシング

▲ ル・サンティエのムーブメント工房、セーネレジュのダイヤルとケース工房で製作されたムーブメント、ケース、ダイヤル、ブレスレットはここに集約され、最終組み立てがされます。まさにヘッドクォーターです。
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まず各工房で製作されたムーブメント、ダイヤル、ブレスレットなどの検品が行なわれ、組み立ての工程に進みます。ここでは担当者の割り当てがリスト化され、工程の可視化に加え、湾曲したダイヤルにも正確にインデックスを植字する最新設備も導入されています。

それでも作業に就くには、4年間時計学校で学び、ブルガリでは3年間ケースポリッシングなど経験を積んだと担当者はいいます。さらにムーブメントのケーシングでは15年近いキャリアも必要とか。

最終組み立て後には防水、振動数、精度の検査の上、外装の目視やリュウズの動作も実際に手作業で確認します。もし検品で基準に満たない場合もパーツ単位から担当者が紐付けられるので原因も究明しやすく、品質管理はより向上しています。

こうして完成後はパッキングとタグ付け、ギャランティカードがセットされ、デジタル管理された後、世界へと送り出されるのです。
残念ながら今回訪れることができなかったのですが、第3の要となるのがセーニュレジュにある工房です。2019年にケースとダイアルの生産を統合した外装工房として設立し、昨年メティエダール部門を追加拡充しました。現在約130名が従事します。
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3軸および5軸フライス加工、ダイヤモンド研磨、旋削加工、洗浄といった最新鋭の製造部門に、サテン仕上げやサンドブラスト加工、レーザー彫刻および装飾といった手作業とオートメーションを組み合わせた研磨仕上げ部門を備えます。
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さらに新設のメティエダール部門では、ジェムセッティング、ジュエリー製作、マイクロペインティング、ハードストーンや羽根を用いたマルケトリといった伝統的な技法の研鑽と創作が続けられています。

垂直統合を構築したマニュファクチュール体制の確立から約15年を経た今もブルガリの製造現場は進化を続けています。そこから生まれるオリジナリティ溢れる革新的な技術やスタイルは他の追随を許さず、唯一無二の存在として輝きをさらに増すのです。

■ お問い合わせ
ブルガリ・ジャパン 0120-030-142

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