世界最薄記録を更新し続けるブルガリのウォッチメイキングをレポート

そしてニューヨーク、ジュネーブ、パリ、モンテカルロなどにブティックを展開する中、そこでの販売を中心にした時計の開発、製造を統括する「ブルガリ・タイム」社を1982年にジュネーブに創設しました。
そして2005年に、ダイヤルメーカーの「カドラン・デザイン」社とメタルブレスレットメーカーの「プレステージ・ド・オール」社を買収することで、高品質のダイヤルとSSやプレシャスメタルのブレスレット製造を可能にしました。さらに2007年にはハイエンドのケース製造で知られる「フィンガー」社を獲得し、盤石の体制を築いたのです。
長い伝統を誇るスイス時計から見れば、ブルガリのウォッチメイキングの歴史はまだ浅いといえるかも知れません。しかし現代の技術革新のスピードからすれば、1975年のブルガリ・ローマからの半世紀もかつての倍以上に匹敵するでしょう。そしてそれは時計技術にも大いなる進化をもたらしているのです。
デザイン、パーツ製造、組み立てまで……
3つの工房で作られるブルガリの時計

今回訪れたのは、このうちムーブメント工房と本社。まずムーブメントの技術開発や製造の中枢であるル・サンティエの工房に訪れました。
そこでは主にCal.BVL138をベースとしたオクト フィニッシモや、最新の小型ムーブメントのピコリッシモ(Cal.BVL100)、さらにトゥールビヨンやミニッツリピーター、グランソヌリといったグランドコンプリケーションを製作しています。

それぞれ一人の担当者が専任し、たとえば2019年に発表したオクト ローマ グランソヌリ プチソヌリ パーペチュアルカレンダーでは、デザインスケッチから設計の最終決定まで約2か月を要しました。最新のデジタル技術を駆使するとはいえ、担当するにはマイクロテクニクスのスキルはもちろん、時計師としての技術を修得し、手作業の基礎があった上で初めて取り組めるといいます。
組み立て工房では、スタンダードムーブメントの精度や持続時間などの検査を並行して行なう一方、複雑機構のトゥールビヨンや最新のピコリッシモは別のスペースで組み立てられます。これはより高度な技術が求められることに加え、新しいムーブメントではより効率的な製造プロセスを検討するため。
ブルガリが得意とする“鳴り物”ムーブメントの工房がコチラ
▲ 本館の最上階では、スイス時計のマニュファクチュールでも唯一といえる、カリヨンやグランソヌリといったハイエンドのストライキングウォッチが組み立てられています。作業は数週間から数ヶ月に及びます。
▲ コンプリケーションの他、「オクト フィニッシモ」に搭載されるBVL191を始めとする極薄ムーブメントや2022年に発表した自社製マイクロムーブメント「ピコリッシモ」の組み立て、検査が行なわれます。
▲ 本館の最上階では、スイス時計のマニュファクチュールでも唯一といえる、カリヨンやグランソヌリといったハイエンドのストライキングウォッチが組み立てられています。作業は数週間から数ヶ月に及びます。
▲ コンプリケーションの他、「オクト フィニッシモ」に搭載されるBVL191を始めとする極薄ムーブメントや2022年に発表した自社製マイクロムーブメント「ピコリッシモ」の組み立て、検査が行なわれます。
▲ 極薄でありながら、ミニッツリピーターを備えた「オクト フィニッシモ ミニッツリピーター」は2016年に誕生し、チャイミングウォッチの最薄記録を打ち立てました。搭載するCal. BVL362はなんと3.12mmの薄さ。
▲ 「オクト フィニッシモ ミニッツリピーター」は、チタンケースで約6.85mm厚を実現し、豊かな音量を発揮するため、インデックス類をオープンワークで仕上げました。2020年登場の18Kローズゴールドケースでも厚さはほぼ変わりません。
▲ 極薄でありながら、ミニッツリピーターを備えた「オクト フィニッシモ ミニッツリピーター」は2016年に誕生し、チャイミングウォッチの最薄記録を打ち立てました。搭載するCal. BVL362はなんと3.12mmの薄さ。
▲ 「オクト フィニッシモ ミニッツリピーター」は、チタンケースで約6.85mm厚を実現し、豊かな音量を発揮するため、インデックス類をオープンワークで仕上げました。2020年登場の18Kローズゴールドケースでも厚さはほぼ変わりません。
未来のブルガリウォッチを生み出す「ブルガリ ウォッチ オルロジュリー工房」

プレゼンテーションルームには、これまで手がけたエポックメイキングとなる名作が時系列で紹介され、世界的な時計賞の受賞歴には権威あるGPHG(ジュネーブウォッチグランプリ)での100回に渡る栄誉も。そのうち85件はオクトが受賞したというのも驚かされます。
同じフロアにはファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニのデザインアトリエもありますが、それはトップシークレット。まさに未来のブルガリウォッチの揺籃です。
最後は、熟練の職人による完璧なケーシング

それでも作業に就くには、4年間時計学校で学び、ブルガリでは3年間ケースポリッシングなど経験を積んだと担当者はいいます。さらにムーブメントのケーシングでは15年近いキャリアも必要とか。
最終組み立て後には防水、振動数、精度の検査の上、外装の目視やリュウズの動作も実際に手作業で確認します。もし検品で基準に満たない場合もパーツ単位から担当者が紐付けられるので原因も究明しやすく、品質管理はより向上しています。
こうして完成後はパッキングとタグ付け、ギャランティカードがセットされ、デジタル管理された後、世界へと送り出されるのです。
▲ 「オクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズ ウォッチ」。厚さ2.5mmの手巻き式Cal.BVL199SKを搭載し、極薄にも関わらず8日間の駆動時間を誇ります。スケルトナイズされ、その精緻な美しさもひと際。
▲ 洗練された「オクト ローマ」のケースに、261パーツからなる24都市表示のムーブメントをケーシングします。現代的なワールドタイマー機能に、モノトーンのダイヤルは複雑になりがちな時差表示でも視認性に優れます。
▲ 「セルペンティ セドゥットーリ トゥールビヨン」は、世界最小クラスのトゥールビヨンムーブメントBVL150を搭載。ブラックスピネルとダイヤモンドのラグジュアリーなセッティングはまさにメゾンの真骨頂です。
▲ 「オクト フィニッシモ スケルトン エイトデイズ ウォッチ」。厚さ2.5mmの手巻き式Cal.BVL199SKを搭載し、極薄にも関わらず8日間の駆動時間を誇ります。スケルトナイズされ、その精緻な美しさもひと際。
▲ 洗練された「オクト ローマ」のケースに、261パーツからなる24都市表示のムーブメントをケーシングします。現代的なワールドタイマー機能に、モノトーンのダイヤルは複雑になりがちな時差表示でも視認性に優れます。
▲ 「セルペンティ セドゥットーリ トゥールビヨン」は、世界最小クラスのトゥールビヨンムーブメントBVL150を搭載。ブラックスピネルとダイヤモンドのラグジュアリーなセッティングはまさにメゾンの真骨頂です。
垂直統合を構築したマニュファクチュール体制の確立から約15年を経た今もブルガリの製造現場は進化を続けています。そこから生まれるオリジナリティ溢れる革新的な技術やスタイルは他の追随を許さず、唯一無二の存在として輝きをさらに増すのです。
■ お問い合わせ
ブルガリ・ジャパン 0120-030-142