ジョージ・カーンCEOが考える、コロナ後の時計業界とは?
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ジョージ・カーンCEO(以下A):これまでもSARSや世界的な金融危機で、経済の落ち込み、とりわけラグジュアリー業界は大きな影響を受けてきました。ですが、そのあと必ずリバウンドという消費行動があるものです。今は高級品を買い控えていても、時が来たら買おうと思う消費者が必ずいる。
短期的に消費が落ち込むことは不可避ではありますが、旅行も行けず、自分たちの気持ちを高めてくれる何かを買いたいという人は少なくない。危機を乗り越えたタイミングで購入しようという層がいる。こうした人たちは自分たちのマーケットに必ず返ってくると強く信じています。
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A:いや変わります。私は以前より消費者の意識の変化について認識していましたが、このコロナ危機でその傾向がますます強くなったと感じています。すなわち、単にラグジュアリーなだけでなく、真に価値あるプロダクトを、エコロジーやサスティナブルに配慮するなどきちんと社会貢献意識を備えながら提供しているブランドに関心が寄せられている。これはとくに若い世代に顕著。
そして最近のブライトリングの方向性はこうした意識の変化にマッチするものだと自負しています。健全な海と綺麗な海岸を守る“オーシャン・コンサーバンシー”とのパートナーシップ締結や、リサイクルマテリアルを用いたストラップの作成などはその一例ですね。
Q:新しくECサイトを整備したのも、コロナ禍の消費者の購買行動に即したものと言えそうですね。
A:いま消費者が時計の購入を決定する場合の情報の70%は、オンラインから得ているという調査があります。それを考えると、コロナ云々を抜きにしてもECサイトに力を注ぐのは当然でしょう。
個人的にも高級時計はやっぱりリアルショップで実際に現物をチェックしたほうがいいと考えていますし、ブティックなどの正規販売店での体験は当然求められていますし非常に重要です。ただそのあたりはあくまでも消費者が決めることですから、我々はオムニチャンネルを用意しなければならない。つまりブティック、リテイラー、そしてEコマースのすべてが充実したブランドですね。
CEOのお気に入りは、最新型のクロノマットでした
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Q:カーンさんがCEOに就任して以降、ブライトリングはセグメントごとに整理され、とてもわかりやすいラインナップとなりましたが、この中で1本だけ無人島に持っていくなら、どのモデルになりますか?
A:その質問、昔からメディアの人によく聞かれます(笑)。以前は答えに迷っていましたが今は喜んで「クロノマット B01 42」と答えることができます。
Q:先ごろ登場したクロノマットの新型のことですね。
A:従来クロノマットは航空クロノグラフの最高峰というイメージでしたが、じつはさまざまな分野で使われてきた歴史があります。新作もベゼルのライダータブを使ってカウントダウン/アップができ、パイロットウォッチとしてはもちろん、モータースポーツやセーリングなどにも活躍してくれます。
さらにスタイル面も万能。スポーティでありながらしっかりシックな雰囲気があり、スーツからジーンズ、さらにタキシードにも似合います。まさに究極のオールパーパスウォッチです。
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A:クロノマットはブライトリングのアイコニックな要素を最も多く秘めたコレクションです。今回の新作ではそうしたアイコン性を今一度強く打ち出すように考えました。もちろんディテールの隅々まで現代の最新技術でブラッシュアップ。
たとえばルーローブレスに関しても、デザイン的には約40年前のオリジナルに似ていますが、質感も装着感も全く違うものになっています。実際に手に取った方々からも、ソフトで心地よい装着感に感動したという声を聞きます。
Q:新型クロノマットの世界的な評価はいかがですか?
A:まずオンラインで発表したのですが、驚くほど多くの反響がありました。しかもそのほとんどが高評価。私はラグジュアリー時計業界に長くいますが、そのキャリアの中で発表直後にここまで反響を得たモデルは初めてかもしれません。
もともとクロノマットコレクションは審美眼の高い日本の時計ファンの間で常に人気ですが、その中でも極め付けの人気を博しそうな予感がしています。ぜひ多くの人に実物に触れていただき、ブライトリングの“今”を感じ取っていただきたいですね。
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ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011
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