2017.06.09
シンデレラタイムはミニッツリピーターとともに
- CREDIT :
取材・文/持田 慎司
シンデレラから学びたいふたつのこと。
グリム童話『シンデレラ』といえば、女性ならだれもが一度は憧れた物語でしょう。美しいドレスとガラスの靴で着飾ったシンデレラは深夜0時を過ぎると魔女との約束を守るべく、後ろ髪を引かれつつも、王子さまに背を向け、駆け足で舞踏会の場を立ち去ります。
さて、この物語から我々オトコたちが学ぶことはふたつ。まず、どんなに楽しませていても、女性というのは先約を優先させるのだ、ということ。もうひとつ、そんな別れがあってこそ、その後の劇的な再会がある、ということ。つまり、別れ際がとても大事、ということ。
別れ際をスマートかつ、ドラマチックに演出できるか?
これは次へつながるか、否、つなげるための大事なシーンなのであります。
ミニッツリピーターが告げるドラマのはじまり?!
シンデレラに深夜0時を告げたのは、城の大きな鐘の音でした。
その鐘が鳴り響くなか駆け出す姿は、とてもドラマチック。
そう、あんなドラマが作りたい、わけです。そこで、小さな小さなこんな鐘の音はどうでしょう? ゼンマイオヤジならピンときましたね? そう、ミニッツリピーターです。中世を舞台にした童話の世界にも通じる、すべてが職人の手によって組み立てられた直径4センチにも満たないケースのなかに、シンデレラの物語のようなドラマチックな世界が広がる、機械式時計のなかでも最高峰の技術がつまったアレであります。おっと、こういう話はオトコ同士のネタですね。

バーですこしいい感じになった頃合い、ふと鳴り出す小さな鐘の音。
その音をきっかけにこちらに目をむける彼女。
言葉はいりません。
清らかな鐘の音をBGMに静かに別れのひとときを堪能してください。
本特集で再三にわたってお伝えしている、興奮と安定の効果も一挙に得られるこのテクニック、名付けて〝逆シンデレラ現象を演出する真夜中の鐘の音〟。それに必須といえる、ドラマチックなミニッツリピーターを、ズズズイッとご紹介させていただきます。
◆ ヴァシュロン・コンスタンタン
パトリモニー・エクストラフラット・キャリバー1731

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー・エクストラフラット・キャリバー1731/手巻き、18KPGケース(41㎜)、アリゲーターストラップ。時価/ヴァシュロン・コンスタンタン
薄さと美しい音色を保証する傑作
1810年に最初のポケットウォッチにミニッツリピーターを製造してから二世紀以上にわたって受け継がれてきた伝統を守りつつ、2013年に4年の歳月をかけて新たに開発したのがキャリバー1731。驚異の65時間のパワーリザーブを備える本作は、当時生産されていた手巻きのミニッツリピーターウォッチとしては最薄の8.09㎜(ムーブメントも最薄の3.9㎜)を達成。音色はそれぞれ1時間、15分、1分単位で時を奏でます。ちなみに同社の時計は工房から出荷される直前にチャイムの音を厳重に保管。「サウンドプリント」としてアーカイブ登録されるため、それぞれのモデル本来の音色を修理の度に忠実に復元することが可能です。
◆ IWC
ポルトギーゼ・ミニッツ・リピーター

IWC ポルトギーゼ・ミニッツ・リピーター/手巻き、Ptケース(44㎜)、アリゲーターストラップ、世界限定500本。1140万円/IWC
開発に5万時間を費やした超複雑リピーター機構
200以上のパーツからなるリピーター機構は、「オール・オア・ナッシング」というスライダーが完全に押し上げられた時のみチャイムが作動するという仕組みを採用します。
ポルトガルの船乗りたちが、抽象的な時の概念を音色に変換したものが船鐘であり、そこにインスパイアされたモデル、という点もオトコ心をくすぐります。
◆ フランク・ミュラー
トノウ カーベックス™ インペリアル トゥールビヨン ミニッツリピーター

ゼンマイヲタクも納得のコンプリてんこ盛り
天才時計師フランク・ミュラーの名に恥じぬこの意欲作は誤作動を防ぐセーフティーシステムを開発するなど、進化を続ける同社を象徴する一本です。リピーターはそれぞれのチャイムで、1時間、15分、1分単位で時を知らせてくれます。
◆ ショパール
L.U.C フル ストライク

ショパール L.U.C フル ストライク/手巻き、18KフェアマインドRGケース(42.5㎜)、アリゲーターストラップ、世界限定20本。3002万円/ショパール(ショパール ジャパン プレス)
音量・音質ともに世界最高峰のリピーター
一体化させたゴングと風防をひとつのサファイアのブロックから削り出すという革新的な構造を採用する、同メゾン初のミニッツリピーター。クリスタル製のゴングと聞くと耐久性を心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、本作は、150万回の衝撃テストをクリアしているため、その点も問題なし。このサファイアがスピーカーの代わりとなり、音量・音質ともに、これまでにはない音を奏でます。その音色はまるでクリスタルのボヘミアングラスをシルバーのナイフでそっと叩いたかのよう。ショパール マニュファクチュール設立20周年を記念するにふさわしい、時計史に名を刻む一本と言えるでしょう。
◆ ウブロ
クラシック・フュージョン トゥールビヨン カテドラル ミニッツリピーター

ウブロクラシック・フュージョン トゥールビヨン カテドラル ミニッツリピーター/手巻き、Tiケース(45㎜)、ブラックアリゲーター×ブラックラバーストラップ、世界限定99本。2563万円/ウブロ
微細に穿ちつつ二大を搭載する
トゥールビヨンとミニッツリピーターというふたつのグランドコンプリケーションを搭載する本作は、約85時間のパワーリザーブと3気圧防水を兼ね備えることで、実用性もしっかりと考慮されています。デザイン面でのハイライトは、クラシック・フュージョンのベゼルラグとミニッツリピーターのスライダーを完璧の統合した点。外装の美しさを損なうことなく、超絶複雑機構をふたつも併載し、さらに使い勝手にも気を配るところは、さすがのひと言。
ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755
IWC 0120-05-1868
フランク ミュラー ウォッチランド東京 03-3549-1949
ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922
ウブロ 03-3263-9566