これは“時計芸術”のノウハウが失われることを防ぐために、ステファン・フォルセイとロベール・グルーベル、そして孤高の時計師フィリップ・デュフールが中心となって、時計師を育成するというものだった。

使用する機械は1920年代製で、歯車やねじも全て手作業で作りだした。工作機械が進化し簡単に正確なモノを作ることができる時代だからこそ、パーツのひとつひとつも手で作り出すことこそ伝承するためだ。

そしてこの壮大な「ガルド・タン」プロジェクトは最終的に、仕上げの異なる11本の時計を製作し、その時計を11か国11店舗で販売することになっている。その希少で時計の歴史的にも高い価値を持つ時計を手に入れることができる幸運な11名は既に決まっている。

この「ガルド・タン」プロジェクトの第一期は、時計の完成によって一旦は終了するが(時計の最終デリバリーは2018年を予定)、今度はミッシェル・ブーランジェが先生となり、彼の生徒たちに伝統的な時計技術を教えていくことになる。
さらにはロベール・グルーベルとステファン・フォルセイによる時計ブランド「グルーベル・フォルセイ」では、「ガルド・タン」プロジェクトにて講師として参加していた、グルーベル・フォルセイの創立時から活躍する時計師ディデイエ・クレティンともに、同様に手作業にこだわり抜いた時計「シグネチャー1」を完成させている。
ガルド・タン」プロジェクトによって生まれた、伝統的な時計技法を受け継いでいくという理念は、様々な形で結実しつつあるようだ。
とことんまで手作業にこだわった共作

●篠田哲生
グル―ベル フォルセイ・ヴィタエルーキス 銀座ギャラリー 03-6264-5685