ひとつは、間口が広いこと。社長の佐藤努さんは凄腕の時計師だが、実に気さく。そのためいつもお客さんがいる。
筆者も時々立ち寄るが、大変な時計マニアがいると思えば、電池交換に来た、普通の人がいたりする。修理屋さんと聞くと敷居が高そうに思えるが、全然そんなことはないのである。
ではなぜ、ゼンマイワークスではすべてのネジにこういう仕上げを与えるのか。ネジを丁寧に磨くのは、時間もコストもかかるように思えるが?
佐藤さん曰く、その理由は「ネジがちゃんとしていれば、きちんとしたメンテナンスを受けたことがわかるから」。つまり、次に時計を直す時計師への、無言のプレッシャーというわけだ。もちろん、ネジが笑わないよう、丁寧にドライバーを使えばこその、鏡面仕上げである。
文字盤やケースといった外装は直せる場合が多いが、ムーブメントの部品がなければ、時計は動かない。そこでゼンマイワークスでは、時々欠けた歯を埋めるという。正直、修理費も時間もかかるが、どうなっても直せるというのは心強い。
また、ゼンマイワークスでは、修理の過程をきちんと記録している。これも手間だが、どう修理されたかわかるのはありがたいことだ。
ではそんな佐藤さん、よほどの時計マニアなのかというと、腕時計にはさして興味がないという。「時計を直すのは大好きだけど、時計自体に興味はありませんね」。ともあれ、八重洲にある名店、ゼンマイワークス。時計に関するよろず相談所を目指しているそうなので、時計で困ったら是非お立ち寄りあれ。

1968年大阪生まれ。1989年より一新時計株式会社サービス部に勤務。その間にパテック・フィリップ、ショパールなどの海外研修を受ける。2014年ゼンマイワークスを始動。現在、代表取締役社長。

ゼンマイワークス
2014年からスタートした時計修理会社。修理の腕は都内随一、いや世界でも屈指のスキルを誇ります。
依頼の場合、予約いただけるとスムースです。
住所/東京都中央区八重洲2-11-7一新ビル2階
営業時間/10:30-12:30、13:30-18:00
URL/http://www.zenmaiworks.jp/
問い合わせ/☎︎03-6262-3889