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2021.03.27

第2回

「クオーツ式」腕時計のメリットは時間が正確、だけじゃない?

「クオーツ式」の腕時計は、リーズナブルで時間が狂いにくいと思ってる方、正解です。でも、どうして精度が良いのか、理由はわかりますか? その仕組みから近年の進化までマルッとご紹介します。

CREDIT :

文/高井智世

高精度で手間の少ないクオーツ式時計

ゼンマイがほどける力で動く「機械式」時計に対し、電池を動力源とするのが「クオーツ式」。パーツの緻密さや味わいを愛する機械式のファンは多いですが、実用性においてはクオーツ式のメリットも見逃せません。

放っておいても動き続ける便利さや、時間の正確さ、価格面、磁気や衝撃への強さなど、選ぶべき理由はいくつもあります。さらに、近年の進化も注目したいところ。クオーツ式のメリット・デメリットを押さえておくと、時計選びの幅も一層広がるはずですよ。

クオーツ式の特徴は?

▲ 「ミヨタ」のクオーツ式ムーブメントcal.2035シリーズは、世界中に普及。1999年には、累計生産数量17億個としてギネス記録に認定されました。
▲ 「ミヨタ」のクオーツ式ムーブメントcal.2035シリーズは、世界中に普及。1999年には、累計生産数量17億個としてギネス記録に認定されました。
クオーツ式とは、電池を動力源に、電圧をかけた水晶振動子が規則正しく振動する性質を利用した機構のこと。機械式では、正確に時を刻むために調速機のテンプというパーツを振動させていますが、クオーツ式でその役割を果たすのが、水晶振動子なのです。水晶振動子の振動は、電子回路によって電気信号に変換されてステップモーターに伝わり、歯車と針とを動かします。

振動数が多いと高い精度が出やすいのですが(ハイビートと言われます)、現在の機械式の振動数は一般的に毎秒5~10回であるのに対し、クオーツ式だと毎秒3万2768回。じっくりダイナミックなトルクを生み出す機械式に対して、クオーツ式はきめ細かく精密に時を刻みます

また、ゼンマイを巻く手間がかからず、長く放置しても正しく動き続けることも大きなメリット。特に、止まった場合に調整が必要なカレンダー付きモデルなどで、この恩恵を実感する人が多いはず。機械式よりも磁気や衝撃に強いのも、実用的ですね。

量産型クオーツウオッチを1969年に世界で初めて発表したのは、実は「セイコー」でした。当初は国産セダン車に匹敵する高額な価格帯でしたが、組み立てやすく生産性が高いため早期から量産化・低価格化が進み、まもなくクオーツ式は腕時計の主流となりました。
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近年ではソーラータイプにも注目が集まる

クオーツ式のデメリットを挙げるならば、電池交換の手間でしょう。電池の寿命は、平均的に3年前後と言われています。修理できないものも多く、故障の際はムーブメントごと交換する場合が多いです。さらに、電池が切れたままにしたため電池が液漏れを起こし、回路が故障して修理不能に……という話も少なくありません。
▲ 文字盤の下に配したソーラーセルで太陽光を駆動力に変えるクオーツ式も増えています。特に「シチズン」は、エコ・ドライブシリーズで厚さ1mmのエコ・ドライブ(光発電)ムーブメントまでも開発しました。
▲ 文字盤の下に配したソーラーセルで太陽光を駆動力に変えるクオーツ式も増えています。特に「シチズン」は、エコ・ドライブシリーズで厚さ1mmのエコ・ドライブ(光発電)ムーブメントまでも開発しました。 画像提供:シチズン
▲ 「ザ・シチズン」光発電エコ・ドライブ、SSケース(39mm)×ブレスレット。77万円/シチズン(シチズンお客様時計相談室)
▲ 「ザ・シチズン」Caliber0100、SSケース(39mm)×ブレスレット。77万円/シチズン(シチズンお客様時計相談室)
長時間の駆動が望まれた結果、光発電で動くクオーツ式も一般的になってきました。その場合、多くは文字盤の下や周囲にソーラーセルを搭載し、発電した電力を二次電池に蓄えるので、理論的にはいつまでも動き続けます。廃棄電池の量を減らせるため、近年ではエコの観点からも注目度が高まっています。

1974年、世界に先駆けてソーラーウォッチを発表したのは、「シチズン」でした。国産ブランドはクオーツ式ムーブメントを牽引してきたと言っても過言ではないのです。2019年に発表され、1年に1秒しか狂わないことで話題となったキャリバー0100にも、この技術が受け継がれています。
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クオーツも進化を続けている

▲ 「グランドセイコー」のクオーツ式ムーブメント、9Fクオーツのスタンダードモデル「9F82」。
▲ 「グランドセイコー」のクオーツ式ムーブメント、9FクオーツのスタンダードモデルCal.9F85。
これまでのクオーツ式の課題は、機械式時計に比べてトルク(=力)の弱いこと。太くて重い針を回せない、時刻表示以外の機能面を充実させられないなどの制約があったのです。しかし、時代とともにその弱点も克服されてきました。

その筆頭格が、「グランドセイコー」の手掛ける9Fクオーツです。制御モーターの技術向上によって、高い駆動力が発揮されるもので、機械式のような針を動かし、カレンダー表示を瞬時に切り替えることが可能となりました。さらに、世の中にあるほとんどのクオーツが自動組み立てされるのに対し、9Fクオーツは手作業で組み上げられるため、「最高級クオーツムーブメント」として世界的に評価されています。

また、軽量ケースの厚みを抑えられるのもクオーツ式の魅力。薄いケースは装着感を向上させ、スタイリッシュな雰囲気をまとわせることができます。近年ではカルティエなど、そのメリットをデザインに活かすブランドも増えつつあり、時計通にもクオーツ式を見直す向きが増えているのです。
※掲載商品はすべて税込み価格です

■ お問い合わせ

シチズンお客様時計相談室 0120-78-4807
セイコーウオッチお客様相談室 0120-061-012

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