2021.03.27
第2回
「クオーツ式」腕時計のメリットは時間が正確、だけじゃない?
「クオーツ式」の腕時計は、リーズナブルで時間が狂いにくいと思ってる方、正解です。でも、どうして精度が良いのか、理由はわかりますか? その仕組みから近年の進化までマルッとご紹介します。
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文/高井智世
高精度で手間の少ないクオーツ式時計
放っておいても動き続ける便利さや、時間の正確さ、価格面、磁気や衝撃への強さなど、選ぶべき理由はいくつもあります。さらに、近年の進化も注目したいところ。クオーツ式のメリット・デメリットを押さえておくと、時計選びの幅も一層広がるはずですよ。
クオーツ式の特徴は?
振動数が多いと高い精度が出やすいのですが(ハイビートと言われます)、現在の機械式の振動数は一般的に毎秒5~10回であるのに対し、クオーツ式だと毎秒3万2768回。じっくりダイナミックなトルクを生み出す機械式に対して、クオーツ式はきめ細かく精密に時を刻みます。
また、ゼンマイを巻く手間がかからず、長く放置しても正しく動き続けることも大きなメリット。特に、止まった場合に調整が必要なカレンダー付きモデルなどで、この恩恵を実感する人が多いはず。機械式よりも磁気や衝撃に強いのも、実用的ですね。
量産型クオーツウオッチを1969年に世界で初めて発表したのは、実は「セイコー」でした。当初は国産セダン車に匹敵する高額な価格帯でしたが、組み立てやすく生産性が高いため早期から量産化・低価格化が進み、まもなくクオーツ式は腕時計の主流となりました。
近年ではソーラータイプにも注目が集まる
1974年、世界に先駆けてソーラーウォッチを発表したのは、「シチズン」でした。国産ブランドはクオーツ式ムーブメントを牽引してきたと言っても過言ではないのです。2019年に発表され、1年に1秒しか狂わないことで話題となったキャリバー0100にも、この技術が受け継がれています。
クオーツも進化を続けている
その筆頭格が、「グランドセイコー」の手掛ける9Fクオーツです。制御モーターの技術向上によって、高い駆動力が発揮されるもので、機械式のような針を動かし、カレンダー表示を瞬時に切り替えることが可能となりました。さらに、世の中にあるほとんどのクオーツが自動組み立てされるのに対し、9Fクオーツは手作業で組み上げられるため、「最高級クオーツムーブメント」として世界的に評価されています。
また、軽量でケースの厚みを抑えられるのもクオーツ式の魅力。薄いケースは装着感を向上させ、スタイリッシュな雰囲気をまとわせることができます。近年ではカルティエなど、そのメリットをデザインに活かすブランドも増えつつあり、時計通にもクオーツ式を見直す向きが増えているのです。
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シチズンお客様時計相談室 0120-78-4807
セイコーウオッチお客様相談室 0120-061-012