2019.05.25
【検証】ロレックスが売れ続ける三つの理由とは?
一般に、高級時計と聞いて真っ先に思い浮かぶブランドが「ロレックス」ではないだろうか。なぜ数々の時計メーカーがあるなかで一人勝ちを続けられるのか。その理由を『クロノス日本版』編集長・広田雅将氏に伺った。
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文/広田雅将(『クロノス日本版』編集長) イラスト/Isaku Goto 協力/高級アンティーク時計専門店メルシーウォッチ
ではなぜロレックスは、今のような立場を築けたのか。いくつかあるその理由をあげていこうと思う。
1. 質を落とさずに価格を抑える生産プラン
ロレックスはさまざまなモデルを発表しているが、ケースやムーブメントの種類は決して多くないことにお気づきだろうか。つまり、少ないモデルを大量生産することでひとつあたりの生産コストを抑え、質を大きく高めているわけだ。
例えば、ロレックスが採用する904Lステンレス。この素材はアレルギーが起こりにくく、傷もつきにくいが、価格が高く、加工も大変に難しい。しかし、大量生産することでロレックスはこの素材を、特別なモデルではなく通常ラインのモデルに採用することに成功している。
加えてロレックスは、大量生産の時計にうまく個性を加えた。時計というのはケースやムーブメントが同じでも、文字盤を変えるだけでまったく別の時計に見えるものだ。そこでロレックスは、ひとつのモデルに対して、さまざまな種類の文字盤を用意したのである。他人と被らないよう、モデルのバリエーションを増やすメーカーが多いなか、ロレックスは文字盤でそれをかわしたのだ。この戦略もまた「アップルウォッチ」のソレと似ている。さまざまなストラップを用意することで、同一のプロダクトに個性をもたせているのがその最たる例だ。これは2社の意外な共通点だし、ロレックスの先見の明と言えるだろう。
また、モデルにサブネームを設けるのも、ロレックスが広めた手法だ。同じような見た目のモデルに「バイセロイ」や「ロイヤル」、「スピードキング」というサブネームを与えることで、他のモデルとは違う印象を与えることに成功した。
2. 巧みなマーケティング術
3. 販売店を味方につける修理体制の充実
きちんと直せるならば、販売店は安心して時計を売れる。結果、ロレックスは、世界中の販売店から歓迎される存在となったのだ。
■ 協力
高級アンティーク時計専門店メルシーウォッチ
URL/https://www.melsy.com/
■ 広田雅将
1974年生まれ、大阪出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍し、2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。また、一般・時計メーカー・販売店向けなど、幅広い層に対して講演も行う。
高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]